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第一章:神の暇つぶし
69話ー【殺人事件の謎】談話室の探索
しおりを挟む「結局さ、六時四十五分十三秒って何だろうな」
冬華を先頭に次の探索場所である談話室に向かっている途中に、頭の上で手を組んでいる蒼が呟いた。
それは、移動する前に四人で話し合ったのだが、どれも推測の域を出ず推理が難航していたのだ。
「僕は素直に死亡時間だと思ったけどなあ」
「それっぽくはあるけれど、別に死亡推定時刻を答える必要無いじゃない?なら、何かの暗号だと思うのだけど」
「でもさ、どっちも推測の域を出ないよね。なんならさ、今のところあたし達が持っている確実性のある情報って、被害者の椅子が無くなったことだけじゃない?」
「後は住人の名前と、ここの舞台が日本ってことだな」
「「「「はぁ…………」」」」
四人は確実性のあるヒントが少ないことに、デカイ溜息をついた。
そんな四人の方に冬華はクルリと回転をすると、背中で手を組みながら後ろ歩きをする。
「そんな落ち込まないでください。「私」に出来ることがあれば、何だって手伝いますから。ファイ、オー!です」
「「「「かわよ…………」」」」
「そ、そうですか?えへへ……と、着きましたね」
冬華ははにかみ笑うと、談話室へと繋がるドアの前で立ち止まり、談話室への道を開けた。
「ここが談話室です。あまり何もありませんが」
談話室には冬華の言う通り、特に何も無さそうだ。
ザ、談話室という感じである。
──七月を指しているカレンダー。
──新聞紙がはみ出てる本棚。
──枯れたラベンダーの花瓶。
──テーブルとソファー。
本棚から新聞紙がはみ出ているのを確認した陽葵は、ゆっくりとそちらの方へ向かった。
「ねね、新聞紙見つけた。何か分かるんじゃない?」
陽葵の声に他の三人が集まって、じっくりと見る。
その新聞は、どうやら七月二十七日に出版したらしい。
それ以外は特に分からず、陽葵は見終わった新聞紙を丸め、蒼のズボンのポケットに突っ込んだ。
「あのー、陽葵さんや。これは何用で?」
「ん?何かで使うかもしれないでしょ?だからだよ?」
「はぁ……さいすか…………」
きょとんとしている陽葵に、蒼は溜息をついた。
そんな二人を尻目に、テーブル上にある、枯れたラベンダーの花瓶へと移動した綾華が、冬華に質問をする。
「ねえ冬華」
「はい、何でしょうか?」
「このラベンダーって、前から枯れてたのかしら?」
綾華は、ラベンダーの花瓶を手に持って、冬華に見せた。
それに対して冬華は、何かを含んだような表情を見せる。
「いえ、そのようなことは……ここは毎日、奈津子様が管理していますので」
「そう……それで冬華、ここにあるラベンダーは、外にあったラベンダーよね?」
「はい。外で育てた花はよく飾ってますよ?俊夫様は飾っていませんが」
「なるほどね……ありがとう」
綾華の質問が終わると、後ろの方から、蒼と陽葵の声が聞こえてきた。
「綾華、どーかしたのか?」
「何か分かったのー?」
「まあ、ちょっとね」
綾華が手に持っていた枯れたラベンダーの花瓶をテーブルに置くと、一人であっちこっちを探索していた樹が、四人の所に戻ってくる。
「カレンダーには、特に何も無かったよ。次いでに本棚も」
「特にめぼしい物は無かったよな。強いて言えば、これくらい」
樹がぼんやり呟くと、蒼は、ズボンのポケットに入っている新聞紙を、軽く叩いた。
それを横目で見た綾華は、顎に手を当て、ゆっくりと口を開く。
「ねぇ皆……私、気づいたことがあるの」
「「「ん?」」」
「直接的かは分からないけれど、この謎解き、花が関係しそうじゃない?」
と、何かを見据えながら。
―――
【死体の状態】
〇縄に首を吊られた状態
〇頭が膨張しており、顔が赤黒くなっている
〇首が伸びて黒くなってる
〇死斑が中毒性を示す赤色
※自殺に見立てた他殺。一酸化炭素中毒と青酸中毒での毒殺の可能性あり
【写真から見た現場】
〇部屋の窓が閉まっており密室状態
〇争った形跡もなく部屋は綺麗だ
〇パソコンと本が入っている本棚がある
【登場人物】
〇西園寺 奈津子(30歳)
▶︎被害者の妻
▶︎豪華な装いを着ている
〇西園寺 俊夫(32歳)
▶︎被害者
▶︎奈津子の夫
〇西条 由紀子(38歳)
▶︎中年女性のメイド
▶︎冬華の母
〇西条 冬華(18歳)
▶︎女子のメイド
▶︎冬華の娘
【探索エリア】
『外』
○家庭菜園場
▶︎ キャベツやトマトなどの野菜が植えられている
○花壇
▶︎ バラ(赤黄青)やラベンダーなどの花が植えられている
▶︎ 踏みつけられてボロボロなラベンダー
○倉庫
▶︎使われて少なくなっている農薬
▶︎土が付着しているスコップ
▶︎様々な植物の種
▶︎肥料
『一階』
○調理室
▶︎冷蔵庫
・家庭菜園で採れた野菜
・魚
・肉
・調味料
▶︎水面台
▶︎食器
▶︎包丁(錆なし)
○ダイニングホール
▶︎大きなテーブル
▶︎三つしかない椅子(左奥だけ無い)
▶︎豪華な時計(6時45分13秒で止まっている)
▶︎シャンデリア
○談話室
▶︎カレンダー(7月)
▶︎本棚
・7月27日の新聞紙が見つかる
▶︎枯れたラベンダーの花瓶
○由紀子の部屋
○冬華の部屋
『二階』
○奈津子の部屋
○俊夫の部屋
▶︎パソコン
▶︎本棚
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