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第一章:神の暇つぶし
63話ー【殺人事件の謎】ボロボロのラベンダー
しおりを挟む「「「「す、すげぇ……」」」」
外の探索エリアに着いた四人は、その広さに言葉を失っていた。
立ち尽くして目を点にしている四人に、冬華はクスリと笑うと外の探索エリアの案内を始める。
「ふふっ……ここ広いですよね。私も初めて見た時、皆さんと同じ様な反応をしました。……と、話が脱線してしまいましたね。今から皆さんに、ここの案内をします。こちらへどうぞ」
まず最初に四人が案内されたのは家庭菜園場。
家庭菜園場からは肥料の匂いがして、キャベツやトマトなどの野菜が植えられている。
「ここで採れた野菜達は、よく皆で食べるんです。結構瑞々しくて美味しいんですよ?」
「ホントに美味しそう……このトマト食べても良い?」
「良いですよ、陽葵さん!」
「じゃあ僕も」
「うわ、ずりぃ!俺も!」
「そんなに横着しないの……私もー!」
「「「綾華もじゃねーか!!」」」
「テヘペロッ!」
「ふふっ……トマトは逃げませんよ?トマトを食べながら次に移りましょう。こちらへどうぞ」
押し合いながらトマトを巡って争っている四人に、冬華は可笑しそうにクスリと笑うと手先で方向を示す。
その方向には花壇があった。
屋敷へと続く出入口付近にある花壇には、バラやラベンダーなどの花が植えられている。
「ここの花壇には左側から順番に赤、黄、青のバラと、ラベンダーが植えられていますねちなみにここの家庭菜園場と花壇、全部お母さんが一人でしているんですよ?」
ガブ、ブチュリ……。
と、そんな咀嚼音を出している四人が冬華の説明を聴きながら色々見ていると、冬華が足を止めて声を荒らげる。
「お母さんの趣味らしい、です……って!何ですかこの有り様は?!」
冬華の視線の先には綺麗なラベンダーが……いや、ボロボロなラベンダーがあったのだ。
花壇の土には足跡があり、ボロボロになった原因が踏み付けられたことだと分かる。
土に散り、土で汚れているラベンダーの花弁。
ポッキリと折れているラベンダーの茎。
抉られた様に荒らされている花壇の土。
それらを目の当たりにした冬華は泣き崩れ、四人はトマトを食べるのを辞めた。
「何でこんなことになってるんですかぁ……このラベンダーは奈津子様が俊夫様を想って大事にしていたモノだったのにいいいいいいいいいいい!!!!」
「「「「………………」」」」
四人からは言葉が出ない……いや、出せなかったのだ。
こんなにも泣いて悲しんでいる女の子に、安い慰めの言葉を掛けられるだろうか?
──否。
少なくとも四人には掛けれなかったのだ。
しかしそんな四人は、膝をついて泣いている冬華の高さまでしゃがむと、それぞれがトマトを持っていない左手で冬華の頭を、冬華の背中を、冬華の肩を優しく摩った。
ボロボロのラベンダーに横目を向けながら。
ーーー
【死体の状態】
〇縄に首を吊られた状態
〇頭が膨張しており、顔が赤黒くなっている
〇首が伸びて黒くなってる
〇死斑が中毒性を示す赤色
※自殺に見立てた他殺。一酸化炭素中毒と青酸中毒での毒殺の可能性あり
【写真から見た現場】
〇部屋の窓が閉まっており密室状態
〇争った形跡もなく部屋は綺麗だ
〇パソコンと本が入っている本棚がある
【登場人物】
〇西園寺 奈津子(30歳)
▶︎被害者の妻
▶︎豪華な装いを着ている
〇西園寺 俊夫(32歳)
▶︎被害者
▶︎奈津子の夫
〇西条 由紀子(38歳)
▶︎中年女性のメイド
▶︎冬華の母
〇西条 冬華(18歳)
▶︎女子のメイド
▶︎冬華の娘
【探索エリア】
『外』
○家庭菜園場
▶︎ キャベツやトマトなどの野菜が植えられている
○花壇
▶︎ バラ(赤黄青)やラベンダーなどの花が植えられている
▶︎ 踏みつけられてボロボロなラベンダー
○倉庫
『一階』
○調理室
○ダイニングホール
○談話室
○由紀子の部屋
○冬華の部屋
『二階』
○奈津子の部屋
○俊夫の部屋
▶︎パソコン
▶︎本棚
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