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第一章:神の暇つぶし
57話ー【殺人事件の謎】選択肢とトラウマ
しおりを挟むことゲームにおいて選択肢が現れたとき、その選択を誤ると答えに辿り着けなくなるものがある。
例えば、恋愛シュミレーションゲーム。
これは樹が得意とするところで、VR上の女の子と話し合いながら物語を進めて最終的に付き合ったり、もしくはそれに近しいことを目的とするゲームである。
本来であればセーブポイントを作ることで途中からやり直すことが出来るのだが、樹が買ったドキドキ☆マイ!ラブストーリー!!において、四人は選択肢に対する度し難いトラウマを植え付けられていた。
そのため女性警官の問にゲーム性を取って肯定するか、リアル性を取って否定するかの二択に囚われたのだ。
そんな悲しきクソゲーの餌食となった四人は、円陣を組んで現状について話し合う。
「おいどうするよこれ!?」
「僕、選択肢にはトラウマがあるんだよ!!」
「「「それは全員だよ!!」」」
「そー言えばそうだった……」
急に円陣を組み出した四人に対して、マジマジと見つめていた二人の警官は面白そうに微笑む。
『面白そうっすね』
『あぁ……』
二人の警官の微かな呟きは、四人には聞こえなかった。
そんな四人は二人の警官のことなどを、お構い無しに話し合いを進める。
「てかマジでどうする?メタ的には探偵じゃない?」
「でもさ……これで嘘ついて、僕ら豚箱エンドとかありそうじゃない?」
「「「「クソゲーの所為で手遅れかもしれない」」」」
「でもさ、良くよく考えてみたら……ニャル様がそんな事すると思う?」
四人は話題に上がったニャル様のことを思い出した。
四人が想像したニャル様は共通して皆、意味深な笑みを浮かべてニヤついている。
「「「「う、うぜぇ……」」」」
「でもしなそうではあるよね?」
「まぁ……するかしないかでなら、しないのかな?」
「よし、じゃあココは肯定だな?」
「「「OK!!」」」
話をまとめた四人が円陣を解いて二人の警官の方に身体を向き直すと、後ろで手を組みながらピューピューと口笛を吹いていた女性警官に答える。
「「「「探偵です!!!」」」」
口を合わせてイエスの選択肢を取った四人に、二人の警官はにこやかな笑顔で微笑んだ。
「おぉ……!やはりそうだったか!!と、なると……上が応援を頼んだのだろうな」
「多分そうっすよ!!やりましたね!!!」
((((せ、正解だったぁ…………))))
―――
ちなみに四人が悩んだこの選択肢「いやいや、照れなくても良いんスヨ?大丈夫です、知ってますから!」と、ゴリ押しで探偵設定になる模様。
【本作のドキドキ☆マイ!ラブストーリー!!の定義】
ジャンル:恋愛シミュレーションゲーム
舞台:学園
ヒロイン数:十人
運営が何をとち狂ったのか分からない。キャラ毎に数千とある選択肢の内、それぞれのハッピーエンドに繋がるルートが一つのみ。大概がバットエンド。しかもセーブをすることが出来ないクソ仕様の為、ルートを途中から続けることが出来ないという頭バットエンドなものだ。しかしそれらは、あまりに自由度が高過ぎた為の副産物であり「ちょっと試しに、ゲームで恋愛してみよーかなー?ニチャア」程度のライト層からは神ゲー扱いされている。そんなガチ勢とエンジョイ勢で評価が真っ二つに割れるカオスを、運営は世に解き放ってしまったのだ。ちなみに、運営による遊び心でハーレムエンドが実在しており、ひた隠しにされていたハーレムエンドを見つけネットに上げたのが樹であり、恋愛シミュレーションゲーム界隈から樹は『天然ハーレム王』等と囁かれている。
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