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第一章:神の暇つぶし
45話ーくだらない大切な時間
しおりを挟むニャル様と樹は飛び跳ねながら喜んでいる蒼の肩に手を置き、ニコリと笑ってサムズアップする。
「「ナイスゲーム」」
「二人共サンキューな!」
「はーあ……でもボクの魅せ所、最初のブラックジャックだけというね……」
「ブラックジャック出してたのね……まぁ、そういうこともあるわ」
「ブラックジャックって基本運ゲーだもんね」
蒼が称賛してくれたニャル様と樹に心底嬉しそうにしてお礼を言うと、ニャル様は溜息をついて冗談交じりに後悔を語った。
そんなニャル様の冗談を知りながら綾華と陽葵は慰めるがその口調は笑っており、本当のところはただ冗談にのっただけなのだろう。
そんな二人にニャル様がニコリと笑いながらトランプとチップを片付け始めると、ブラックジャックをした蒼と樹も片付けに参加する。
「はいこれ、チップ集めといたぞ」
「トランプもあるよ」
「うん!蒼っちといっちゃんありがと!」
トランプとチップをそれぞれ集めていた二人からニャル様が受け取ると、ニャル様以外の四人のお腹から大きな音が鳴り響いた。
「「「「ぐぅ────…………」」」」
それは空腹を知らせる為の合図であり人間が生き抜く為の危険信号なのだが、こと現代においては空腹の音が鳴ることに羞恥心を抱く傾向があるのだ。
それは陽葵と綾華も同じで……何とも無い反応の蒼と樹とは違い、陽葵と綾華は羞恥心からか頬を赤らめながらモジモジとした態度をとっている。
「そーいや腹減ったな……」
「僕もお腹ぺこぺこだよ……」
「「『陽葵・綾華』もでしょ?」」
「「う、うるさ───い!!!」」
「「えぇ…………」」
女子二人の音も聞こえた男子二人はそれぞれの方を向くと、女子二人それぞれの名前を呼んで空腹への同意を求めた。
それに対して恥ずかしそうにしながら女子二人が怒ってきたが、何故怒っているのか分からないノンデリ男子二人には困惑を隠しきれない。
そんな四人のやり取りを見聞しながら、集めたトランプとチップを異空間にしまったニャル様は「ふふっ……」と微笑むと、ソファーから立ち上がる。
「さて、と……それじゃあさ皆空腹の様だし、少し遅くなったけどご飯を食べようか」
「「「「賛成!!」」」」
「「ふーん…………」」
少し遅い夜ご飯を食べようと提案したニャル様に、つい先程までノンデリ男子二人を睨みつけていた女子二人も何の迷いも無く賛同した。
そのことに女子二人を男子二人がジト目で見ると、ご飯というワードに釣られた女子二人は冷や汗を垂らして目を泳がせる。
「「…………あっ。え、えーと……」」
「「ジ──………………」」
「まぁまぁ……女の子というのは、色々とデリケートな生き物なんだよ!!知らんけど……」
四人で痴話喧嘩の様なものをしていると、ニャル様は女子と男子の間に割り込んでは、まぁまぁ……と宥めた。
しかし、考えて見れば原因は小さなことであり、そもそもそんなに気にしていなかったからか……この茶番にのったかと思われたニャル様が、いきなり「知らんけど」と放棄し始めたので四人は思わず吹き出し、それにニャル様も釣られ一緒になって吹き出す。
一見くだらない事の様にも思えるが五人にとっては楽しくそれでいて面白いことであり、仲間と一緒に笑って過ごす大切な時間だ。
幸せを笑いで噛み締め終えると、ニャル様は四人に対して笑って話し掛ける。
「はぁ……それじゃあさ、早速行こっか!」
「「「「了解です!!」」」」
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