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第一章:神の暇つぶし
39話ーブラックジャック再開
しおりを挟む蒼のカードは♥️の七と♣️の十……合計十七。
ニャル様が♠️の九と♥️の二……合計十一。
テーブルの上のカードを確認した蒼は、手前にあるチップの数を見ると顎に手を当てて思考する。
(確かマイナスだから、マイナス三か)
陽葵が見ている中ジャラジャラとチップで遊ぶ蒼を視界に入れつつ、ディーラーの樹は伏せられている二枚のカードの内一枚だけを捲り、♥️の四が表向きになる。
♥️の四が表向きになると、チップをシャッフルして遊んでいた蒼は手前にあるチップを二枚した。
それを隣でじーっと見ていてた陽葵は蒼の耳元に口を寄せると、他の誰にも聞こえないようなコソコソ話をし始める。
「ねぇ、蒼。もしかしてカウントしてる?」
「うぅっ……さぁ、何のことですかね?」
「長い付き合いでしょ?このあたしを欺けると思わないでよね」
「さいですか……」
陽葵の吐息が当たったことで蒼は身体を震わせつつも、くすりと笑って聞いてきた陽葵にポーカーフェイスでうやむやに答えた。
そんな、一見陽葵のことも騙そうとしているとも捉えられる蒼の答え方に、ムスッとむくれた表情で自慢げに返答してくる陽葵に満更でもない蒼を、他の三人がニヤニヤして見ている。
「なんだよ……」
「別に?なんでも無いわよ?ねぇ樹?」
「そうだよ……くすっ……なん、でもないよ」
「蒼っちったら、可愛いんだからもう!」
「えっ、何?なんのこと!?」
「お前らなぁ……さっさとアクションに移るぞ……ゲームは真面目に、だろ?」
揶揄う三人と、特に何にも気づいていない陽葵。
そんな四人に呆れた蒼が※アクション(※ヒットとスタンド、そしてサレンダー等の特殊ルールを使用すること)への移行を促すと、樹、綾華、陽葵の三人は、先程までとは打って変わった真面目な表情をする。
「そうだね……それじゃあ蒼、ヒットする?」
「いいや、スタンドで」
「ニャル様はヒットする?」
「そうだなぁ……ボクはダブルでいこうか。二倍で」
「OK」
蒼はスタンド、ニャル様はダブルを宣言。
ニャル様がオリジナルチップと同額のチップを足すと樹はカードを一枚、表向きにしてニャル様の所に置いた。
そのカードは♦️の九だ。
「お?これ強くね?流石ボクって感じ」
「ニャル様、結構運良いよな」
「確かに。さっきニャル様がディーラーした時も、ブラックジャックだったしな」
「何それ凄……」
「もはやインチキね……それはそうと、樹の手札は何かしら?私が捲っても良い?」
「うん、良いよ」
ニャル様がブラックジャックを引いていた事実に皆はドン引きしつつ、見ているだけで暇だった綾華がディーラーの樹に伏せられているカードを捲って良いか聞くと、樹から許可を貰えたのでカードを表向きにする。
「えいっ!」
表向きになった二枚目のカードはハートの六だ。
「ねぇ綾華、もう一回引く?」
「良いの?自分で引かなくて」
「うん、綾華が引いてよ。僕、綾華のこと信じてるから」
「そ、そう……えへへ。分かったわ……えいっ!」
二人だけの世界に入って無意識イチャイチャをする綾華と樹に、残りの三人はニヤニヤとした表情で見ているが二人だけの世界に入っている為か、そのニヤニヤとした視線に二人は気づかない。
そんな……照れた表情の綾華が勢いよくカードを一枚表向きにして置くと、その場に居た全員が驚きを隠せずにおり、特に蒼とニャル様は目が上を向き白目になる。
「「……………………」」
「あちゃー…………」
「やったわよ樹!」
「綾華凄いよ!!愛してるううう!!!」
蒼のカードは♥️の七と♣️の十で合計十七。
ニャル様のカードは♠️の九と♥️の二、♦️の九で合計二十。
樹のカードは♥️の四と♥️の六、そして……♥️のエースで合計二十一。
つまり……このラウンドのプレイヤー二人は、ディーラーである樹に負けたのだ。
―――
♣️2❌ ♣️3 ♣️4 ♣️5 ❌ ♣️6
♣️7 ♣️8 ♣️9
♣️10❌ ♣️J ♣️Q ♣️K ♣️A❌
♦️2 ♦️3 ♦️4 ♦️5 ♦️6
♦️7 ♦️8 ♦️9 ❌
♦️10 ♦️J ♦️Q❌ ♦️K ♦️A❌
♥️2 ♥️3 ♥️4❌ ♥️5 ♥️6 ❌
♥️7❌ ♥️8 ♥️9
♥️10❌ ♥️J ♥️Q ♥️K ♥️A❌
♠️2 ♠️3 ♠️4 ♠️5 ♠️6❌
♠️7 ♠️8 ♠️9 ❌
♠️10 ♠️J ♠️Q ♠️K ♠️A❌
※すみません。ガタツキが出てしまいました……
〇ランニングカウンティング(蒼がやってるやつ)
23456の低い数を➕1
789の中間を➕0
A10JQKの高い数を➖1
として出た数字を数え、累積させるカウント方法。
➖が多い程低い数が出やすくなっている為、十七になるまで引かなければならないディーラーが、21を超えないように小刻みに数字を引きしやすいので有利。
※蒼は忘れないように、重ねたチップの数でカウントを記録していた。
〇トゥルーカウンティング(今回は使わない)
カジノでよく使われるカウント方法。
基本カジノではランニングカウンティングの対策として、複数のデッキ(トランプカードのジョーカーを抜いた52枚のセットを1デッキという)を使う。
そのため、使われているカードのデッキ数をランニングカウントで割った本当のカウントをトゥルーカウントと言うのだ。
式)ランニングカウント➗デッキ数(残っているトランプカード➗52)=トゥルーカウント
※ただ、これらのカウントをしていることがバレると、カジノを出禁にされます。その位に強いです。そして、最近では機械でシャッフルするカジノもあるため、トゥルーカウントが出来ないところもあります。
【ブラックジャック】
※wiki等サイトからの引用、参照あり
〇ブラックジャックとは?
ブラックジャック:別名21は、ディーラー(ゲームの進行役)との駆け引きを楽しむ対戦型ゲームであり、シンプルながらも奥が深いゲーム性が人気なカードゲーム。
〇基本ルール
プレイヤーはディーラーよりもカードの合計が21点に近ければ勝利で、賭け金毎に勝利した分の配当を得ることができる。
ただしプレイヤーの「カードの合計が21点」を超えると、その時点で負けて賭けたチップを全部失う。
〇カードの数え方
2……9までの数字はそのまま点数となり、10と絵札の(J:ジャック、Q:クイーン、K:キング)は10点で、A:エースは1点か11点の好きな方を選べる。
〇特別な役
最初に配られた2枚のカードがAと絵札……合計21点が完成していた場合を『ブラックジャック』といい、その時点でプレイヤーの勝ちで、配当は3 to 2の1.5倍。
但し、ディーラー側もブラックジャックだった場合は引き分けとなる。
〇簡単なゲームの流れ
①ゲームスタート。
②チップを賭ける。
③賭け終了。
④ディーラーがカードを2枚ずつ配る(ディーラーのは1枚目を表に、2枚目を裏向きに)。
⑤ディーラーがプレイヤーに対して順番に、カードを追加するか聞く。
何枚でもヒットできるが、21を超えると失格する。
要らなければ手を横に振って、要らないことを示す。
⑥ プレイヤー全員が選択を終えた後、最後にディーラーがカードをめくり、17点以上になるまでカードを引き続けて勝負となる。但し、ディーラーが21点以上になった場合はディーラーの負けとなり、バストせずに残っているプレイヤー全員の勝利。
⑦ ディーラーよりも21点に近いプレイヤーは勝ち、賭け金と同額の配当を得ることができる(つまりは2倍になって返ってくる)。逆にディーラーよりも21点に遠いプレイヤーは負けとなり、賭け金は没収されます。同点の場合は引き分けとなり、賭け金が返ってくる。
【特殊ルール】
〇ダブリングダウン(ダブル)
▶︎ チップを元々の賭け金と同額まで上乗せ(最大に2倍に)して賭けることが出来る。ただしカードは1枚しか引けない。
〇スプリッティングペアー(スプリット)
▶︎ 最初の二枚のカードが同数なら、オリジナルベットと同額の賭け金を追加することで、二手に分けて勝負することが出来まる。ただしAのスプリットのときは、追加カードは一枚のみ。スプリットをした後にもスプリットをすることができ、そのことをスプリットアフタースプリットと言う。
〇インシュアランス
▶︎ディーラーの見せ札がAの時、ディーラーのブラックジャック(初手21)に対して、オリジナルべットの最大半分まで保険をかけることが出来る。ディーラーがブラックジャックだった場合は、オリジナルべットを失って保険金の2倍の配当を得る……つまり-1+0.5×2=0のプラスマイナス0になる。また、ディーラーがブラックジャック以外だった場合は保険金を失い、オリジナルべットで続行出来る。
〇イーブンマネー
▶︎プレイヤーがブラックジャックで、ディーラーのアップカードがAだった場合、プレイヤーはディーラーの二枚目のカードを確認せずに1倍の配当を得る。ちなみに、互いがブラックジャックだった場合は配当がなく、相手がブラックジャックじゃなかった場合は配当が1.5倍になる。
〇サレンダー
▶︎降参すること。始めの2枚のカードが配られた時点で、賭け金の半額を放棄し、残りの半額だけを返してもらい勝負を降りることができます。
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