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第一章:神の暇つぶし
12話ー【干支の謎】探索:綾華
しおりを挟む四方を四人それぞれで探索することになり、皆で適当に振り分けた結果南側の方を担当することになった綾華は、棚の隅から隅までを念入りに探索していた。
「中々それらしいものが無いわね……」
木製の棚を次々と開けながらボソボソと小言を呟く。
「多分、こっちにカレンダーがあるはず何だけどねぇ…」
蒼が担当している所には銅像が、樹と陽葵が担当している所には何かしらのヒントが、そして私が担当している所にはカレンダーがある筈なのだ。
まぁ、私の方にカレンダー以外のヒントが無いとは限らないのだが……。
「ニャル様缶バッジ、ニャル様アクリルスタンド、ニャル様キーホルダー、ニャル様抱き枕…っ?!抱き枕!?」
棚には色々な物が入っており、それはどう仕様にも役に立たなそうな誰得アイテムばかりだ。
「これ、誰得かしら……要らないわね」
要らないとニャル様グッズを次々と投げ捨てる綾華。
その様は子どもの部屋が散らかってる時に、あれやこれやを独断と偏見でゴミ袋行きにする母親のようだった。
綾華が高速で作業をしていると、あるものを見つける。
「これも要らない、これも要らない、これも要らな……見つけたあああ!!」
優に二十を超える誰得アイテムを投げ捨て、掴んだ先にあったのは目当てのカレンダーだったのだ。
「流石にカレンダー以外がこれじゃあ、使えそうなアイテムは無さそうね……んーでもまぁ、念の為に全部回収しときましょうか」
誰得アイテムはダミーで、他に必要なアイテムが巧妙に隠されている可能性もあるため、慎重に探索することにした綾華。
しかし結果として使えそうな物はカレンダーしかなく、骨折り損になったのは言うまでも無かった。
「やっぱりこれだけみたいね……棚の中が二重になってる可能性もまぁ無さそうだし、私の方はこれで終わりね」
探索を終えた綾華が席に戻ろうとすると、名状しがたき光景がそこにはあった……。
「か、可愛い……」
―――
○今ある情報
・紙とペン一本
▶︎紙は謎解きの問題
▶︎4人分無いのは不自然
▶︎ペンはカレンダーに印を付ける用?
・カレンダー
▶︎謎解き用アイテム
▶︎南側にある棚の中にあった
▶︎大きさは手持ちサイズで小さめ
・銅像
▶︎謎解き用アイテム
▶︎順番を元に戻すと良さそう
(矢印の向き的に左から右▶︎▶︎▶︎に、っぽい)
▶︎恐らく奥の方にある銅像
「馬」「虎」「龍」「犬」「猫」「牛」「鳥」「兎」「蛇」「猿」「鼬」「鼠」「羊」「猪」
▶︎動物の種類に既視感がある
・神
▶︎ニャル様とは関係なさそう
▶︎動物の順位毎に恩恵を与える存在?
▶︎謎解きに必要な情報かは分からない
・猫と鼠
▶︎赤い本
▶︎ページ数は少なく、中身は絵本
▶︎いつもは宿敵な猫と鼠も手を取り合うことがあるらしい
▶︎何故『猫と鼠』がヒントになると蒼は思うのか?
【謎解き】
昔昔のこと、競走をした【14匹の動物】がいる。
その中の1匹は、【愚かな動物】。
その中の1匹は、【優しき動物】。
その中の1匹は、【狡き動物】。
勘違いした優しき動物は【神】の温情により報われた。
しかし、騙された愚かな動物には神の手は差し出されなかった。
愚かな動物は狡き動物を許さない。
怒った愚かな者は狡き者の銅像の順番を1番最後にした。
順番を弄った後、満足し愚かな者は帰った。
次の日【真っ直ぐな動物】が本当の順位に直そうとしたため、自分の動物を1番最初に置いた。
次の日順番が変わった自分の銅像を、狡き者は見つけた。
本当は1位なはずの自分が1番最後にいて、そうでない動物が1位にいることに怒り、全体的に変更させた。
次の日全体的に順番の違う銅像を優しき者が見つけた。
優しき者は何も言わずに元の順番に戻した。
それを見て遊び心の沸いた【ニャル様】が順番をバラバラにした。
順番がバラバラになってる銅像を見て全員喧嘩した。
特に愚かな動物と狡き動物の喧嘩は酷かった。
月の出る夜、狡き動物が怒り狂った愚かな動物に傷つけられた。
日の出る朝、優しき動物が狡き動物の怪我を見つけた。
優しき動物は悲しんだ。
皆に狡き動物が怪我したことを伝えると、愚かな動物にすぐ白羽の矢が飛んでいった。
愚かな動物はすぐに後悔し、認めた。
もうこんな争いは起きてはいけない。
だから仲直りした、皆全員で。
この日は皆で手を取って楽しく笑った。
1年に1回は絶対楽しくしよう、皆で誓った。
しかし仲直りしていつも楽しく過ごしていると、その日のことを忘れてしまったのだ。
思い出した者は【カレンダー】に、私達の物語の起源となったその日に印をつけて欲しい。
そして、【銅像の位置】が違う時は直してやって欲しい。
さすれば新たな道が貴方の前に現れるだろう。
1つ忠告するのならば、まずは【月日の主】を探すが吉。
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