10 / 98
第一章:神の暇つぶし
8話ー【干支の謎】心意気
しおりを挟む「なあ……お前らはコレの意味分かったか?」
「強いて言えば……十四匹の動物が居て、その中でも優しい動物、愚かな動物、狡い動物、真っ直ぐな動物、この四匹がピックアップされてるね」
「ついでに、ニャルラトホテプとか名乗った自称神が、自分のことをニャル様って書く、痛いヤツだってことも分かったわね」
「じゃあこれからはニャル様って呼んだ方が良いかな?」
「可愛いから良いんじゃね?ニャルラトホテプって、氏名レベルで長い名前だし」
「あ……そんなことよりさ、一回現状について話し合わない?」
「「「賛成」」」
この短い時間で四人には到底信じられない様な非日常的な現象が起こってしまったのだ。
そんなどうしようも無い現実を受け入れるには、人生の多くを共に歩み、今同じ境遇にいる仲間との話し合いが一番だった。
「ここってゲーム世界じゃないって言ってたけどさ。ゲームじゃあんな焼けるような痛みはしないじゃん?」
「まぁ、しないね。ゲームに合わせた痛みを感じちゃったら現実の脳に負荷が掛かるからね……だから実際問題、そこら辺は政府の許可が無いと発売出来ないからね」
「でも、これが現実だっ!って言われても……って感じするよね。現実味がある夢って言われた方が納得できるし」
「それはそうね……それと、皆はあの自称神の事はどう思う?」
「神を自称するなんて、本物か厨二病かのどちらかじゃないかな?」
「神なんて今まで見たこと無いから……信じれって言うのが無理あるよ…………蒼はどう思う?」
「………………」
自称神を名乗る存在は自分の事をニャルラトホテプと言った。
確かに自分の事を神だ悪魔だと名乗る様な奴は、永遠に治ることのない不治の病……厨二病の患者だと思われるだろう。
しかし……感覚が存在するフルダイブ型VRゲームを通して様々な修羅場を経験した……いやそれ以前に、根底に天性の才能があるからなのだろう、蒼だけが自称神に対して違和感を感じたのだ。
「俺は、本物だと思った……」
「それはどうしてかしら?神なんて荒唐無稽なモノを信じる様な蒼じゃないと思うけれど」
「まずさ、俺たちはゲームをしようと思ったらここに飛ばされただろ?それ自体はゲームという前提下なら何でもない普通の事だけど、ゲームでも無い現実世界だとしたらそれこそ神業なんじゃないか?」
「確かに、そうかもしれないね……」
「それに……俺、直感でアイツが危ないって、そう思ったんだよ」
「そういえば蒼、一瞬敬語になったもんね」
「蒼の直感ねぇ……確かに蒼は勘が良いから、蒼が言うならそうなのかもしれないわね……もうそういうことにしましょう……霧がないわ」
「それじゃあ今までの事をまとめるね。まず僕達は、皆でゲームする為にディテクティヴ・タイムズにログインしたら、失明させられつつ知らない所に飛ばされた。それは神ニャルラトホテプの仕業で、その理由は自分の暇つぶしに付き合え!というもの。ただ、ゲームが終わった暁にはプレゼントがある。そしてその神の通称はニャル様で、とっても美人……と」
「「「「は?」」」」
非現実的な現象を受け止めれたとしても、荒唐無稽なことであり、何回聞いても意味の分からないことには変わりはなかった。
「こんなの頭おかしくなるわ……」
綾華が頭を抑えていると、陽葵がバンッ!と机を叩き立ち上がった。
「あっ!分かった!!」
「どうした?」
「これさ……あたし達が考えすぎたら駄目なんじゃね?」
「と、言いますと?」
陽葵から考えすぎというワードが出てくる事に驚きを隠せない蒼だが、それはそれとしてどういう意味なのか気になる所ではあった……が。
「あたし達、馬鹿になれば良いんだよ!!」
「「「はい?」」」
馬鹿になる????んんんん?????
「だーかーらー!今はゴチャゴチャ考えないで!ゲームをクリアした後に直接色々聴いてやれば良いんだよ!!」
「「「確かに……」」」
「だからさ…この挑戦状を隅から隅まで解き尽くして、神に叩き返してやろうぜ!!!」
陽葵の力強い言葉で、四人の方針…心意気が決まった。
「「「おう!!!」」」
―――
○今ある謎解きの情報
・紙と一本のペン
▶︎紙は謎解きの問題
【謎解き】
昔昔のこと、競走をした【14匹の動物】がいる。
その中の1匹は、【愚かな動物】。
その中の1匹は、【優しき動物】。
その中の1匹は、【狡き動物】。
勘違いした優しき動物は神の温情により報われた。
しかし、騙された愚かな動物には神の手は差し出されなかった。
愚かな動物は狡き動物を許さない。
怒った愚かな者は狡き者の銅像の順番を1番最後にした。
順番を弄った後、満足し愚かな者は帰った。
次の日「真っ直ぐな動物」が本当の順位に直そうとしたため、自分の動物を1番最初に置いた。
次の日順番が変わった自分の銅像を、狡き者は見つけた。
本当は1位なはずの自分が1番最後にいて、そうでない動物が1位にいることに怒り、全体的に変更させた。
次の日全体的に順番の違う銅像を優しき者が見つけた。
優しき者は何も言わずに元の順番に戻した。
それを見て遊び心の沸いた【ニャル様】が順番をバラバラにした。
順番がバラバラになってる銅像を見て全員喧嘩した。
特に愚かな動物と狡き動物の喧嘩は酷かった。
月の出る夜、狡き動物が怒り狂った愚かな動物に傷つけられた。
日の出る朝、優しき動物が狡き動物の怪我を見つけた。
優しき動物は悲しんだ。
皆に狡き動物が怪我したことを伝えると、愚かな動物にすぐ白羽の矢が飛んでいった。
愚かな動物はすぐに後悔し、認めた。
もうこんな争いは起きてはいけない。
だから仲直りした、皆全員で。
この日は皆で手を取って楽しく笑った。
1年に1回は絶対楽しくしよう、皆で誓った。
しかし仲直りしていつも楽しく過ごしていると、その日のことを忘れてしまったのだ。
思い出した者はカレンダーに、私達の物語の起源となったその日に印をつけて欲しい。
そして、銅像の位置が違う時は直してやって欲しい。
さすれば新たな道が貴方の前に現れるだろう。
1つ忠告するのならば、まずは月日の主を探すが吉。
20
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる