神とゲームと青春を!~高校生プロゲーマー四人が神様に誘拐されて謎解きする~

初心なグミ

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第零章:日常

1話ー日常

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 無造作にツタが絡み付いた風通しの良い廃墟と、割れたコンクリートの道路が特徴の、市街地エリア。
 それらが世紀末を想像させる市街地エリアで、二つのチームが離れた所から睨み合っていた。
 片方は、ガトリングガン二基と、アサルトライフル二基を装備している、ゴリゴリな男の四人組。
 もう片方は、サブマシンガンだけを装備している、男女二人ずつの四人組。
 それぞれが銃を手に睨み合っていると、リーダーと思わしきゴリゴリな男が口を開く。

「お前等のその名前、ゲーマーチーム「AIHA」か」

「おー、すっげ。良く知ってんな?」
 
「当たり前だ、ゲーマーなら知らない奴は居ない。高校生四人組のプロゲーマーチームであり、ゲームのジャンルは選り好みせず、数々のゲーム界隈で伝説を残している。ゲームセンスもそうだが、一番世間を驚かせているのは、そのプレイ時間。土日の二十四時間プレイは当たり前、何故か授業中であるだろう時間帯にもログイン。そこから感じられるゲーム愛を賞賛し、みなが口を揃えて言う。アイツらは、頭のネジと青春をゲームに捨てた、日本トップクラスのゲーム廃人、と」

「「「「照れるなあ……」」」」

「「「「褒めてねーよ!?」」」」

「コホンッ……と、それは良い。ガキは三時四十分おねんねの時間だぜ?俺たちがミンチにして、安眠をプレゼントしてやんよ。感謝しな」

 カチャッ。
 ゴリゴリの男四人が構えを取る。

「そりゃどーもオッサン。俺ら、このゲームを勝ったら十連勝目だからよ、寝れんだわ。だからよ、オッサン。挽肉になってくれや」

 カチャッ。
 男女四人が構えを取る。
 涼しい風が頬を掠り、風に乗って来た木の葉が地面に落ちた時、両者八人は満面の笑みを浮かべ、喊声を上げた。

『行くぞ!!!』

 その声と共に男女四人組が走り出し、ゴリゴリの男四人組が銃を乱発する。
 ドドドドドドドドドドドド…………。
 ドゥドゥドゥドゥドゥドゥ…………。
 射程距離が長いため、退きながら撃つゴリゴリの男四人組に対して、男女四人組は、極限まで強化されている脚で弾幕を避けていく。
 一メートル、また、一メートルと近づくと、男女四人組のリーダーと思わしき男子が、他の三人に合図を出した。

「俺と陽葵ひまりは弾幕を避けながら行く!いつき綾華あやかは建物を影に、横から攻めろ!!」

「「「あいよ!!」」」

あお!陽葵!気をつけてね!」

「「任せろ!!」」

 その掛け声で樹と綾華が横の建物に飛び込むと、残った蒼と陽葵は銃を仕舞って、真っ直ぐに突っ込む。
 それを見たゴリゴリの男四人組のリーダーは、他の三人に合図をし、蒼と陽葵に対する集中攻撃を命じた。

「はっ!馬鹿かよ!ガトリングガンとアサルトライフルの集中攻撃を、避けれる人間なんて居る訳ねーだろ!!」

 その言葉を聴いた蒼と陽葵は、ニヤリと笑う。

「陽葵、飛ばすぞ!」

「蒼の方こそ、あたしに付いて来なさいよ!」

「あぁ!!」

 その言葉と共にジャンプをした蒼は、廃墟に絡み付いているツタを掴むと、遠心力で回転し、電柱に飛び移る。
 自分に撃たれた銃弾を電柱で回避すると、電線の上を走って敵の元へと肉薄。
 敵の銃弾を確認した蒼は、電線から一瞬落ち、全弾を回避すると、電線を掴んでいる手を捻らせ回転し、電線の上に再度乗る。
 カチャッ……カチャッ……。
 敵が弾切れなのを確認すると、サブマシンガンを右手に装備し、電線を両足で蹴り、敵の懐へと飛び込んだ。
 
「ちっ……!ガトリングガン二人はそれを捨ててピストル出せ!!来るぞ!!!」

 その掛け声で二人が、蒼と陽葵に向けてガトリングガンを投げ捨てると、一瞬で代わりのピストルを取り出す。
 が、時既に遅し。
 ピストルを装備した二人の目前には、ガトリングガンを避けた蒼と陽葵が、引き金を引いていたのだから。
 サブマシンガンによる高速射撃を、男は身体を捻じることで回避し、反撃とばかりにピストルの引き金を引く。
 引き金を引いたのを確認した瞬間、蒼と陽葵はサブマシンガンを上の方に投げ、それと同時にしゃがんで肉薄し、銃身バレルを右手で抑え、弾倉マガジンを敵の手ごと左手で抑える。
 右手に力を入れると自分の方に引っ張り、体勢が崩れた敵の腹に膝蹴りを一撃入れ、姿勢の低くなった敵の項に肘を打ち落とす。
 ダウンした敵をアサルトライフル組に投げ捨てると、丁度よく落ちて来たサブマシンガンをキャッチし、二人でアサルトライフル組みに、サブマシンガンを乱射しながら肉薄する。
 サブマシンガンの銃弾を避ける為に、それぞれが横の建物に入ろうとした瞬間、回転によって勢いの付いた回し蹴りを建物の中から喰らうと、建物外に吹き飛ばされ、丁度良く立っている蒼と陽葵に、脳天をぶち抜かれて死んだ。
 鮮血を垂らしながら倒れている、アサルトライフル組二人の頭上には、赤色のドクロマークが浮かび上がる。
 それはキルされたことの証であり、それが浮かび上がらなかったピストルの二人組は、生きているのだ。
 その二人が奇襲とばかりに物陰から出てくると、建物から出て来た綾華と樹に、それぞれが脳天をぶち抜かれる。
 二人にもドクロマークが浮かび上がり、どうやら、無事に勝つことが出来たようだ。
 四人はふっ、と息を吐くと、グータッチする。
 最後の一チームになった四人の頭上に、大きくて綺麗な花火が打ち上がり、「チャンピオン」の六文字がデカデカと表示された。
 それを見た四人は、満面の笑みで歓声を上げる。

「「「「グッドゲームGG!!!」」」」

「これで十連勝達成!」

「そうだね……これで、ようやく寝れるよ……」

「あぁ……みんな、付き合ってくれてありがとな!」

「「「おうよ!!」」」

「ふぁあ……それじゃあ、早速寝ましょう。私達、明日も学校だもの」

「そうだね、僕も眠いよ」

「それじゃあログアウトしましょう」

「あぁ、そうだな」

「「「「おやすみ!!」」」」
 
◆◆◆
 
 ピンポーンッ!
 何時ものチャイム音で、俺は目を覚ます。
 毛布の温もりに抗いながら布団を出ると、クローゼットに閉まってある制服をパパっと着て、予め準備した荷物を片手に、駆け足で下に降りた。
 
「母さん父さん、おはよう」

 下には、朝ご飯を作り終えてるお母さんと、シャツに着替えて食事をしているお父さんがいる。
 両親に俺が挨拶をすると、お母さんが近寄って来て、何時も学校の弁当と、朝ご飯のトーストをくれるのだ。

「はいコレ、お弁当とトースト。トースト持っててあげるから、早くお弁当を、カバンに入れちゃいなさい」
 
「うん、ありがとう」

 カバンに弁当を入れると、お母さんからトーストを受け取った。
 それらが終わると、こっちのことをチラチラと見ていたお父さんが、何時ものセリフを口にした。

「蒼、楽しんでこいよ!」
 
「うん、楽しんでくる!行ってきまーす!!」
 
「陽葵ちゃんを困らせるんじゃないわよー!」
 
「はーい!」

 蒼は手を振りながらお母さんに返事をすると、踏みつけるように靴を履き、そのまま勢いよく玄関のドアを開け、待ってくれている大親友に、挨拶をする。

「陽葵、遅くなってごめん!おはよー!」
 
「おはよう、蒼。まったく……高校生になっても寝坊するんだからなぁ……あと、急ぐのは良いけどさ、ちゃんと靴履いた方が良いよ?それ」

 陽葵は、高校生になっても寝坊をする蒼に呆れつつ、蒼の靴を右手の人差し指で指摘した。
 蒼はその指摘を受けて下を見ると、スリッパの様に踏みつけられている靴を直す。

「あぁ……待たせると悪いと思って急いで来たから、靴踏んでたわ……ちょっと待った……」

 蒼は足を後ろの方に上げると、トーストを持ってない方の右手で、潰れている踵の部分を片方ずつ直した。
 靴を直し終えると、トントンとつま先を叩き、にこりと陽葵に微笑む。

「よし、行こうぜ」

「うん」

 ──様々な色や形の家が並ぶ街並み。
 ──塀の上に丸まって欠伸をする子猫。
 ──小学生の楽しそうな笑い声。
 ──海のように澄んだ青い空。
 ──朝の涼しい風に揺らされた木々のざわめき。
 ──キツくも緩くも無い丁度いい具合の坂道。
 これらの普遍的な景色を横目に、取り留めのない会話をしながら登校するのが二人にとっての日常だ。

「んーんんえばさ、陽葵」

「ふふっ。トーストを食べながら喋るなー!」

 トーストを食べながら喋ったため何を言ってるのか分からない蒼に、陽葵はくすりと笑ってツッコミを入れる。
 いつもは身長も高くて、言葉遣いも男の子っぽさが少しある陽葵。
 でも、太陽に照らされてる長い黒の髪は艶やかで、蒼に微笑む姿は見惚れる程に可愛くて愛おしい。
 そんな陽葵に、蒼は心を奪われていた。

「うん?どーしたん?」

「別に、何でもねーよ……そんなことより、今日発売される新作ゲームあるじゃん?謎解きの奴」

「あー、あるね。今日の放課後、綾華たちと買いに行くゲームでしょ?」

「そう、それ。VR初の推理ゲー。難易度も色々あるらしいし楽しみだよな」

「ホントに楽しみだよねぇ!でもさ、蒼。一番最初に謎を解くのは、あたし、だからね?」

「ほーん……格ゲー以外微妙な陽葵がよく言うじゃん。その挑戦、受けて立ってやろうじゃねーか!!絶対負けねーからバーカ!!」

「はっ!?バカって何よ!!ちょっ?!待ちなさい!!」

 二人で今日やるゲームについて盛り上がっていると、あっという間に学校に着いていた。
 蒼が寝坊をしたと言っても、それは待ち合わせの約束の時間である。
 その待ち合わせの時間自体が早いため、二人が学校に着く頃は生徒をチラホラとしか見かけない。
 しかし、早朝から野球部やサッカー部は朝練に精を出してるのだ。
 蒼達はそんな彼等を内心で労いつつ昇降口に入り、外靴から上靴へと履き替える。

「陽葵、もう二人はいると思う?」

「綾華たち結構早いからねぇ……蒼が待ち合わせの時間に寝坊したからいるんじゃね?」

 陽葵のストレート正論パンチに蒼は反論できず、唐突に食らったダメージに狼狽えながらも素直に謝る。

「うぐっ!すみましぇん……」

「良いって良いって!蒼はあたしが居なきゃ駄目なんだからさっ!あーはっはっはっ!!」

 ──陽葵が居なきゃ起きれない。
 ──陽葵が居なきゃ楽しくない。
 ──陽葵が居ない生活が思い浮かばない。
 
「確かに……」

「……っ!?冗談のつもりだったのに……バカッ」

 素直な俺の感想に顔を赤らめて「……バカッ」と恥ずかしがりながら呟く陽葵。
 そんな陽葵の姿は蒼が、
 ──なんて言うか……俺のこと好きなんじゃね?
 ──もしかして相思相愛なんじゃね?!
 と、舞い上がってしまうレベルの破壊力があった。
 
「……行こっか」

「……うん」

 少し気まずい空気になりながらも、ゆったりとした歩幅で教室へと往く。
 二人が教室に着くと、ガラガラ……と、扉を開けて敷居を跨ぎ、今居るクラスメイトへと挨拶をする。

「「おはよーっ!」」

 教室の中には既に五人おり、
 ──近くに来て挨拶してくれる人。
 ──座ったままこっちを見て挨拶を返してくれる人。
 ──本を読みながら手だけ振ってくれる人。
 反応はそれぞれだ。

「蒼、陽葵。おはよう」

「二人とも、おはよう。元気そうね」

「そりゃ元気よ!そーゆー樹と綾華も元気そーだな。昨日あんだけ徹夜したのに」

「ホントだよ!蒼が「十連勝するまでやめれねー!」とか言って、僕たちを付き合わせたんじゃないか!!僕途中で何回も寝落ちしそうになったよ!!」

 二人の近くに来て蒼と陽葵に挨拶をしたのが、男と女の計二人、樹と綾華だ。
 四人は昨日の夜というか、今日の朝近くまでゲームをしており、それに付き合わされた樹は小さな頬っぺを膨らませてムッとした。
 そんな樹に蒼は、ひまわりの種を頬張るハムスターみたいだなと思う。
 しかし、いくらハムスターみたいでも付き合わせたのは蒼であり、他の三人は付き合ってくれたのだ。
 ならば付き合わせた蒼は、付き合ってくれた三人に感謝の気持ちを示すのが筋というものだろう。

「ごめんて……でもお前らのおかげで、最高ランクでの十連勝っていう爪痕を残せたよ。サンキューな!」

「むぅ……その言い方ズルい」

(むぅ……って…………樹可愛えぇ。メガネの奥に隠されてるクリクリお目目も可愛えぇー…………)

「あたしは別に気にしてないよ、通 常 運 転 !エナドリもグビグビしたからねっ!!」

「陽葵……寝る前にカフェインを取るのは、脳に悪影響を及ぼすって何度も言ってるじゃない……」

「綾華は心配性だなぁ……蒼だってキメてるんだから大丈夫だよ!それに、あたしの場合は早めに飲んでるから!」

「そうだそうだ!綾華は心配性だ!!」

「私はね?蒼は脳が壊れようがどーだって良いけど、陽葵にはそうなって欲しくないから言ってるのよ?」

「綾華……とぅき」

「どー……なっても、良い……?グハッ!!」

 本気になって心配してくれてる綾華にときめき、抱きつきながら微笑んでいる陽葵。
 どーなっても良いと大親友に毒を吐かれ、床に崩れ込みながら落ち込んでいる蒼。
 その落差の凄い悲しい構図に思うところがあるのか、樹は何も言わず蒼の肩に手をポンッと載せ、蒼に対する同情を示してくれた。
 そんな樹にボロボロだったハートを救われた蒼は樹の手を握り、うっとりとした表情で告白する。

「樹……とぅき」

「うわキモ!?」

 綾華によってボロボロに砕かれた、ガラス細工のハートは、修復しかけていたのを癒してくれた本人によって、トドメを刺されたことで、粉々に砕けて死んだ。

ーーー
 
―BADEND―

作者「まだ終わらせない……」
BADEND「なにっ!?」
作者「純愛過激派ハピエン厨を舐めるなよ!!」
BADEND「うわあああああああああ!!!!」
作者「………………なんだこれ?」

と、こんな感じのライトな雰囲気です。
──コメディもあります。
──シリアスもあります。
──ラブコメもあります。
──頭脳戦もあります。
──肉弾戦もあります。
要素がてんこ盛りで行き当たりばったりな本作ですが、ゲームの途中途中も飽きないようにしてますので、是非、ライトな感じでご精読くださいませ。
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