上 下
36 / 40
第一章:第四節

12:アレスの登場?

しおりを挟む
 しかし実はこのような芸当をやってのけたのは、他ではなくアレスであった。しかもまだこの場所には姿を見せていない状態で行なっていたのだった。

 知らない者から見たら、こんな芸当を出来るのは大魔王であるエリザしかないと思っていたのであった。
 だが、先程他の邪心族からギガントと言われていた邪心族は、その様子を見て驚かずそして何故かニヤケていた。

「ふふははは、まあ、間に合わないと思ったが、やっとお出ましか。まあ、お前たちでは太刀打ちできないだろう。我の名はギガント、さあ、大魔王よ我と勝負だ。・・・・!?」
 とくに強い邪気を持つ邪心族の男、ギガントは自分の名を名乗り気合を入れていた。

 その間に先程そのエリザと思われた場所に向かった、邪心族が次々と消されそして数名が、そのギガントの方に飛んできたのであるが、殆どが肉の塊となっていたのである。
 ただ、2、3名は頑丈だったのか肉の塊とはならず、かすかに生きていたのである。
「おっ、おい、これはどう言うことだ。お前達は数十人はいた筈だぞ。どう言うことだ」
「おっ、おお、あでは・・ばげも・・・!?」《ボンッ》
 息があった2、3名は、ここにいる邪心族の生き残りが声を掛けて、話を聞いている時に突然爆発して肉の塊と変貌してしまった。そして無数あった肉の塊はその場で何故か蒼白い炎に包まれ消滅したのである。

「なっ?なんだ、この現象は・・・お前達これは・・・!?」
 ギガントがまだすぐそこに残っていた筈の、数名の邪心族に声を掛け調べさせようとしたが、既にそこには誰も残っていなかったのである。

「はっ、まさか!そうか、ここまでやるのか?大魔王は、ふはははっ、面白いこれならば良い勝負が出来そうあだ。出て来い大魔王エリザ!」

 しかし、このときここにいる誰もが大魔王エリザが来たと思ったのだが、そこに現れた影はエリザとは似ても似使わない小さな影であったのである。

 その姿をみたマリーとアリアは「はっ」として、まさかと思いながらも歓喜を憶えていた。何故かと言うとそのまさかの人物で、しかも自分達の為に訪れたのだ。

 普段は殆どエリザのそばを離れる事はなく。そして、常にレイカとセリカを見守っていた筈の子が、まさか自分達の危機に訪れるとは思っていなかったからだ。
それにマリーはある事を思い出し更に安堵を覚えたのである。それはまだエリザ様が封印をまだ解いて無いという事実が解ったからであり、普段のエリザ様なら間違いなくこの場所に来るのだが、今回は恐らくアレスが止めたのだろう思っていたからであった。

 そして自分達の前に、完全に現した姿を現したアレスを見てマリーとマリアは同時に声をあげた。
「「アーくん!」」
 その歓喜をあげている2人に対して、もろに怒りをあらわにしていた者がひとりいた。

 それはアレスの目の前にいる邪心族の男、ギガントであった。その男は期待していた大魔王ではなく、ひとりの小さな少年を見て怒り出して、そしてその少年アレスに向けて声を荒あげた。
「小僧!きさまは、なんだぁぁ、大魔王はどこだぁ、隠れてないででて来い。この卑怯者がお前の気は感じるのだ。ここにいる事は解っているのだぞ。隠れてないで出て来い。そうしないと目の前のガキをひねり潰すぞ!」

 その邪心族であるギガントは、目の前にいるアレスからエリザと同じ覇気を出しているとは気が付かず、勝手にエリザが隠れて自分の事を狙っていると勘違いをして、何時の間にか恐怖していた。
 それは、何故かと言うと先程までは、これくらいの強さなら自分でも勝てると思いっていたところ、その気配が近付くのと、自分の周りにいた自分の育てた精鋭を、手も触れずその場で自分も気が付かぬウチに消滅させていたからである。

「どっ、どこだ!エリザよ。正々堂々と我と戦え。我は1人なのだぞ。もう、我の部下は居らぬ。どうだ、一対一だ!おぬしが勝てば。この場は引くだが負ければ我の軍門にくだれ」
 何故かビクビクとしながら、目の前にいるアレスではなく、周囲を気にして先程に強気はどこにいったのか、完全に弱腰になっているが言っている事は理不尽な言葉ばかりであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました

悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。 クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。 婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。 そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。 そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯ 王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。 シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯

うちの兄がヒロインすぎる

ふぇりちた
ファンタジー
ドラモンド伯爵家の次女ソフィアは、10歳の誕生日を迎えると共に、自身が転生者であることを知る。 乙女ゲーム『祈りの神子と誓いの聖騎士』に転生した彼女は、兄ノアがメインキャラの友人────つまり、モブキャラだと思い出す。 それもイベントに巻き込まれて、ストーリー序盤で退場する不憫な男だと。 大切な兄を守るため、一念発起して走り回るソフィアだが、周りの様子がどうもおかしい。 「はい、ソフィア。レオンがお花をくれたんだ。 直接渡せばいいのに。今度会ったら、お礼を言うんだよ」 「いや、お兄様。それは、お兄様宛のプレゼントだと思います」 「えっ僕に? そっか、てっきりソフィアにだと………でも僕、男なのに何でだろ」 「う〜ん、何ででしょうね。ほんとに」

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

剣と魔法の世界で俺だけロボット

神無月 紅
ファンタジー
東北の田舎町に住んでいたロボット好きの宮本荒人は、交通事故に巻き込まれたことにより異世界に転生する。 転生した先は、古代魔法文明の遺跡を探索する探索者の集団……クランに所属する夫婦の子供、アラン。 ただし、アランには武器や魔法の才能はほとんどなく、努力に努力を重ねてもどうにか平均に届くかどうかといった程度でしかなかった。 だがそんな中、古代魔法文明の遺跡に潜った時に強制的に転移させられた先にあったのは、心核。 使用者の根源とも言うべきものをその身に纏うマジックアイテム。 この世界においては稀少で、同時に極めて強力な武器の一つとして知られているそれを、アランは生き延びるために使う。……だが、何故か身に纏ったのはファンタジー世界なのにロボット!? 剣と魔法のファンタジー世界において、何故か全高十八メートルもある人型機動兵器を手に入れた主人公。 当然そのような特別な存在が放っておかれるはずもなく……? 小説家になろう、カクヨムでも公開しています。

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

悪役令嬢にざまぁされた王子のその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。 その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。 そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。 マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。 人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。

番を辞めますさようなら

京佳
恋愛
番である婚約者に冷遇され続けた私は彼の裏切りを目撃した。心が壊れた私は彼の番で居続ける事を放棄した。私ではなく別の人と幸せになって下さい。さようなら… 愛されなかった番 すれ違いエンド ざまぁ ゆるゆる設定

処理中です...