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第一章:第四節
3:精霊族の女王フェリエル?
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その聖霊界で精霊族の長で女王であるフェリエルが、魔族の長にして大魔王のエルザの前に、しかも精霊族の領域である妖精の森に囲まれたこの草原へと招き入れていたからである。
それは凄く不思議であり、今迄エリザが誠意を持って尋ねるても、一度もこの領域に入れる事を許されず、しかも敵視されていたからであった。
ただ敵視されていたとしても、一度も攻撃をされた事などは無く、ただ単にこちらの要望も謝罪を受け入れて貰えなかったというだけである。
最初はこの場所に誘導されたのは誰かのいたずらか、何かの間違いだと思ったが、まさか招きいれたのが聖霊界の頂点に立つ、精霊族の女王であるフェリエルとは思わずマリーも驚きを隠せずにいた。
それからエリザは先程フェリエルがお願いしてきた理由を聞くために、再度声を掛けたのだ。
「貴方ほどの方が、私に直接お願いをしてくるとは何故ですか?しかも今迄お会いして頂けなかったのに」
『はい、ホントですね。私は貴方に対してあれだけのひどい事をしてしまいました。それに図々しくもこちらが困った案件が出てきてそれをお願いしようとは、虫のいい話しです。しかし、もう貴方様にお願いする無かったのです。本当に真に申しわけ無いのですが』
「いえ、気にしないで下さい。あの時は過去の事で気の立っていた方たちの前に、私自身が何も考えず赴いた事によるモノですから。それにチャント貴方の誠意は伝わっていましたので」
そうである、あくまで精霊族にひどい事を行なっていたのは、前々の大魔王であって前大魔王に関しても聖霊界とは犬猿の仲であった。だが、こちらから何かする事は無かった。
それでも精霊族にとっては、有無を言わずに攻撃をしてきた魔族の事を恨み、今だ魔族が聖霊の管轄する森に入るのを拒んでいる。しかしその関係を直そうとエリザが大魔王になってからは、積極的に聖霊界に訪れようとしていたが、殆どが聖霊界の保有する森の前で門前払いされていた。
それで数年前に、一度だけチャンスが廻ってきていた。
その時は精霊族の女王のフェリエルに面会できるとこまで来れたのだが、本来の大魔王であるエリザの体質のせいで、その場所に行くまでの間に、殆どの精霊族の側近達と男性種と精霊種の人々に、解き放たれる覇気により、気絶等の状態異常を発生させて次々と倒れさせていく始末であった。
さらに最悪なのが、その面会の日に体調を崩していたフェリエルにも、その時の独特の覇気を当てて仕舞い、気絶させてしまうと言う事態に陥っていたのだった。
その時にちょうど間が悪く、エリザの覇気に耐性のあった気の荒い精霊族の女性戦士が、エリザが攻撃したと勘違いをして、有無を言わせず攻撃をして来たのであった。それで、エリザは大変な怪我を負って戻って来ていたのだが、その事には触れず自分で転んだと嘘をついていたのである。
このとき下手をすれば戦争になりかねない状態だったが、エリザ自身が自分の対応が悪かったと言う、詫びの書状を出したのにふまえ、フェリエルも魔族に迎え打つ事をさせない様にしていたので事無きをえていた。
その時に女王が攻撃されたと勘違いをして、エリザに怪我を負わせた女性戦士は、女王であるフェリエルから話を聞き、密かに大魔王であるエリザに会い詫びをのべて来ていた。
エリザもその時は、その戦士の誠意を受け止めて、大事にはしなかったのである。
それでそんな事が有ったからと言って、決してエリザは諦めた訳ではなかったのである。
今回はそんな事をとは別で、精霊族の長にして女王のフェリエルがお願いしてきたのである。普通なら断っても咎められる事は無いのだが、エリザにとってはそんな事は関係なくお願いを聞く気でいたのである。
「それで・・・フェリエル様?お聞きしますが、お願いとは・・・」
『はい、聞いて頂くだけでも感謝します。実は此度我が管理している領域内の森で魔物が大量発生いたしまして、何故なのかを調べておりました。最初は精霊族の民達は、あなた方魔族の陰謀と考えていたのですが、調べていくうちに魔族の方でなく、邪心族の陰謀と言う事がわかりました。それで対処をしていたのですが、我が領地の民達ではもう対処できなくなりだしました。それで、たまたまここの近くを通られていたエリザ様にお願いしようと思いまして、勝手ながら私の判断でここへお呼びいたしました』
精霊族の女王フェリエル自身がお供も連れず、今エリザの目の前で頭を下げていた。
その頭を下げているフェリエルと、話しを真剣に聞いていたエリザの前に、何故か馬車を降りてきたセリカとレイカが近付いて来たのである。
それは凄く不思議であり、今迄エリザが誠意を持って尋ねるても、一度もこの領域に入れる事を許されず、しかも敵視されていたからであった。
ただ敵視されていたとしても、一度も攻撃をされた事などは無く、ただ単にこちらの要望も謝罪を受け入れて貰えなかったというだけである。
最初はこの場所に誘導されたのは誰かのいたずらか、何かの間違いだと思ったが、まさか招きいれたのが聖霊界の頂点に立つ、精霊族の女王であるフェリエルとは思わずマリーも驚きを隠せずにいた。
それからエリザは先程フェリエルがお願いしてきた理由を聞くために、再度声を掛けたのだ。
「貴方ほどの方が、私に直接お願いをしてくるとは何故ですか?しかも今迄お会いして頂けなかったのに」
『はい、ホントですね。私は貴方に対してあれだけのひどい事をしてしまいました。それに図々しくもこちらが困った案件が出てきてそれをお願いしようとは、虫のいい話しです。しかし、もう貴方様にお願いする無かったのです。本当に真に申しわけ無いのですが』
「いえ、気にしないで下さい。あの時は過去の事で気の立っていた方たちの前に、私自身が何も考えず赴いた事によるモノですから。それにチャント貴方の誠意は伝わっていましたので」
そうである、あくまで精霊族にひどい事を行なっていたのは、前々の大魔王であって前大魔王に関しても聖霊界とは犬猿の仲であった。だが、こちらから何かする事は無かった。
それでも精霊族にとっては、有無を言わずに攻撃をしてきた魔族の事を恨み、今だ魔族が聖霊の管轄する森に入るのを拒んでいる。しかしその関係を直そうとエリザが大魔王になってからは、積極的に聖霊界に訪れようとしていたが、殆どが聖霊界の保有する森の前で門前払いされていた。
それで数年前に、一度だけチャンスが廻ってきていた。
その時は精霊族の女王のフェリエルに面会できるとこまで来れたのだが、本来の大魔王であるエリザの体質のせいで、その場所に行くまでの間に、殆どの精霊族の側近達と男性種と精霊種の人々に、解き放たれる覇気により、気絶等の状態異常を発生させて次々と倒れさせていく始末であった。
さらに最悪なのが、その面会の日に体調を崩していたフェリエルにも、その時の独特の覇気を当てて仕舞い、気絶させてしまうと言う事態に陥っていたのだった。
その時にちょうど間が悪く、エリザの覇気に耐性のあった気の荒い精霊族の女性戦士が、エリザが攻撃したと勘違いをして、有無を言わせず攻撃をして来たのであった。それで、エリザは大変な怪我を負って戻って来ていたのだが、その事には触れず自分で転んだと嘘をついていたのである。
このとき下手をすれば戦争になりかねない状態だったが、エリザ自身が自分の対応が悪かったと言う、詫びの書状を出したのにふまえ、フェリエルも魔族に迎え打つ事をさせない様にしていたので事無きをえていた。
その時に女王が攻撃されたと勘違いをして、エリザに怪我を負わせた女性戦士は、女王であるフェリエルから話を聞き、密かに大魔王であるエリザに会い詫びをのべて来ていた。
エリザもその時は、その戦士の誠意を受け止めて、大事にはしなかったのである。
それでそんな事が有ったからと言って、決してエリザは諦めた訳ではなかったのである。
今回はそんな事をとは別で、精霊族の長にして女王のフェリエルがお願いしてきたのである。普通なら断っても咎められる事は無いのだが、エリザにとってはそんな事は関係なくお願いを聞く気でいたのである。
「それで・・・フェリエル様?お聞きしますが、お願いとは・・・」
『はい、聞いて頂くだけでも感謝します。実は此度我が管理している領域内の森で魔物が大量発生いたしまして、何故なのかを調べておりました。最初は精霊族の民達は、あなた方魔族の陰謀と考えていたのですが、調べていくうちに魔族の方でなく、邪心族の陰謀と言う事がわかりました。それで対処をしていたのですが、我が領地の民達ではもう対処できなくなりだしました。それで、たまたまここの近くを通られていたエリザ様にお願いしようと思いまして、勝手ながら私の判断でここへお呼びいたしました』
精霊族の女王フェリエル自身がお供も連れず、今エリザの目の前で頭を下げていた。
その頭を下げているフェリエルと、話しを真剣に聞いていたエリザの前に、何故か馬車を降りてきたセリカとレイカが近付いて来たのである。
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