インフィニット・ファンタジアライフ

桜華 剛爛

文字の大きさ
上 下
8 / 66

8:夢の中で世界樹と共に?

しおりを挟む
 ヒビキは眠りに落ちる前に、今回は色々な事がいっぺんに起きていたので、もしかしたらすべてが夢で、次に目を覚ましたら元の自分、そう肥満体型の50歳近い自分に戻っていつもの様に仕事に行く事になると考えていた。それに、ここまでのは自分が都合のいいように見ている夢だろうとも考えていたのであった。

ー☆ー☆ー

 ヒビキが眠りに落ち、これは都合のいい夢だと思って、そんなに時間が経っていないくらいに、優しい声の持ち主に身体を揺さぶられ声を掛けられた。
『ヒビキ、ヒビキ!私の声が聞こえますか?ヒビキ』

「うーん、誰だ?まだ、眠いのに・・・」
 目をこすりながら周囲を確認すると、先程までいた場所と違い、すべてが白一色の真っ白な空間の中に俺はいた。

「はっ・・・?ここ・・どこだ?・・・なんでまた、こんな場所に?あっ、ならやっぱりさっきまでのは夢だったのか?」

 周りを確認してやはりさっきまでの出来事は夢だったのかと思っていると、俺の目の前には薄いグリーンのレース状のドレスを着た女性が、そう薄黄緑色の髪の綺麗な女の人が立っていた。良く見ると・・・何となくアクアに似ているような感じがするが、まあ将来アクアが大きくなったら、こんな美人さんになるんじゃないかなと思うような感じの女性である。

 それだけアクアと良く似ているのだが、俺の知っているアクアは、ここまで大きくないし、胸も無い・・・それに、どちらかと言うとアクアは綺麗と言うより、可愛いが似合う感じの娘だったはずだ。

 そんな事を考えて、目の前に居るアクアとよく似た女性に声を掛けた。
「えっと・・・あなたは?」

 ヒビキが不思議そうに尋ねた女性は、笑顔をヒビキに向け答えてくれた。
『ヒビキ、私は、世界樹。ユグドラシルの精でマナと言います。折入ってあなたにお願いがあります。どうか我が娘である、水の精霊アクアをあなたと共にいさせてあげて欲しいのです』

 目の前にいる女性が・・・自分の事を説明してくれてアクアと共に俺がいる事を頼んできた。
 どうやら夢の中で夢を見ているという訳ではなさそうだ。それに先程思っていた状態でもなかった。やはり実際に俺に起きていることのようである。

 それでそれが確認できたので、改めて目の前にいる女性、ユグドラシル世界樹の精であるマナに聞き返した。
「は・・い? それはどういう事ですか?・・・てっ、えっ、えっ、あなたは世界樹様?ユグドラシルの精?」
『ええ、ヒビキ、私の事はマナと呼んでください。それとあなたには包み隠さずお話しておきますね。私は先程言ったとおり、世界樹そのものなのです。それに私はそうですね。このままでは長くても後半年で・・・・いえ、今はこの森は瘴気の進行が速いので、そうですね・・・そこまで長くはないと思います』
 世界樹であるマナが、悲しいそうにヒビキに語った。

「えっ、どういう事ですか?マナ様、その瘴気って・・・」
『そうですね。その前に・・・ヒビキ!私の事はマナッ呼んで!そうしないと話してあげないんだから・・・』
 なぜか突然駄々をこねる少女のようになり、頬を膨らませて迫ってきたマナを見て、ヒビキは驚いて思わず呼び捨てにしていた。

「あっ、ああ、解った。マナ!・・・そっ、それで瘴気って?」
 するとそれに満足したのか、また、笑顔をこちらに向けて説明の続きを話してくれた。

『そうですね。瘴気に関しては・・・・・・・』
 世界樹・・・ユグドラシルの精であるマナによると、この森は以前までは清い澄んだ空気と数々の聖獣や害のない動物、それに精霊が飛び交う聖なる森だったのだが、いまや森全体に瘴気が広がり死の森へと変わってしまったそうだ。

 それで今では、唯一ここだけが神聖な場所で清い空気であるが、もう既に聖獣や動物、それに精霊達もすべていなくなってしまった。それで現在の状態になっているそうだ。

 それにここもそう遠くない未来では、周りの森と同じ様に瘴気でやられ消えてしまうらしい。

 その様に説明して世界樹の精であるマナは、悲しい顔をしてから、こちらに視線を向けてきた。

「なっ、何で、そんな事に・・・でも、その瘴気はどこから?」
 俺に視線を向けたまま、俺自身も真剣にその話を聞き暗い顔になってそう質問した事に、マナは悲しい顔をしたまま答えてくれた。

『はい、実はここ最近この聖なる森の外で、魔族と魔物による人族や精霊族等との戦争が起こりました。それで残念な事に魔族側が勝利してしい、生き残って森にいた精霊達も邪霊と変えられてしまいました。それに死者が沢山出た事で瘴気が漂い、それに魔族特有の装置でこの森を自分達の済みよい森にするために、大量の瘴気を放っているのです。その影響でこの森も徐々に汚染されてしまっています。かろうじて私の回りと湖は、今のところ守れていますが、それ以外は今や瘴気が漂う死の森と化しています。それに妙な石碑を周囲に相当な数を建てられ、ますます・・・』

 どうやら今の話では、ここを残す森全体が瘴気に犯されて、今や死の森に変えられたようである。
 しかもその瘴気を撒き散らす行為をしているのは、魔族と魔物だという事らしいのであった。

 それに伴い魔族達には、マナさんである世界樹が出す安らぎを与える効果と、神聖な力が不満らしく妙な石碑を建てて瘴気を拡散して、この場所を破壊を試みているみたいだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

Re:Monster(リモンスター)――怪物転生鬼――

金斬 児狐
ファンタジー
 ある日、優秀だけど肝心な所が抜けている主人公は同僚と飲みに行った。酔っぱらった同僚を仕方無く家に運び、自分は飲みたらない酒を買い求めに行ったその帰り道、街灯の下に静かに佇む妹的存在兼ストーカーな少女と出逢い、そして、満月の夜に主人公は殺される事となった。どうしようもないバッド・エンドだ。  しかしこの話はそこから始まりを告げる。殺された主人公がなんと、ゴブリンに転生してしまったのだ。普通ならパニックになる所だろうがしかし切り替えが非常に早い主人公はそれでも生きていく事を決意。そして何故か持ち越してしまった能力と知識を駆使し、弱肉強食な世界で力強く生きていくのであった。  しかし彼はまだ知らない。全てはとある存在によって監視されているという事を……。  ◆ ◆ ◆  今回は召喚から転生モノに挑戦。普通とはちょっと違った物語を目指します。主人公の能力は基本チート性能ですが、前作程では無いと思われます。  あと日記帳風? で気楽に書かせてもらうので、説明不足な所も多々あるでしょうが納得して下さい。  不定期更新、更新遅進です。  話数は少ないですが、その割には文量が多いので暇なら読んでやって下さい。    ※ダイジェ禁止に伴いなろうでは本編を削除し、外伝を掲載しています。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

処理中です...