ミッション・オブ・リターンゲーム

桜華 剛爛

文字の大きさ
上 下
36 / 59

№35:見取り図をどうするか?

しおりを挟む
 流石にこの操作をする時、タク茉莉香まりかちゃんが必死に止めてきたが、俺と桜花おうかは元々知っているので心配はしていない。
「おっ、おい、連夜れんや止めとけよ。そんな訳の解らない資料が正確かどうかも解んないだろ。危険だぞ」
「そうだよレン君。止めときなって、危ないよ」

 2人が必死に止めて来るが、そんな2人を静めて俺は腕輪の操作をする事にした。
 「ああ、でも、ルールは全部解った方が良いだろ。それにこれは多分、大丈夫だ」

 まあ、俺と桜花おうかはルールのすべてを知っているけど、この際全員に解っていて貰った方が、いざと言う時にどうにでもなるからな。そのいざと言う時はあって欲しくないけど。

「レン君ってさ、時々すごいよね。なんていうか色々と突拍子も無い事をしでかすし」
「えっと、それは連夜れんやが・・・馬鹿なんじゃないかな」
 俺に視線を向け不適に笑って桜花おうかが何気にひどい事を言ってきた。

「ひっ、ひどいよ桜花おうか、馬鹿って」
「はははっ、馬鹿って言われてやんの。連夜れんや。あははははっ」
「うん、レン君は馬鹿かもしれないけど、拓哉たくや君はアホでスケベで、ついでに馬鹿だけどね」
「あっ、アホでスケベ、ついでに馬鹿?俺が・・・。そんなの無いよ茉莉香まりかちゃん」
 茉莉香まりかちゃんは、タクに『自業自得だよ』と言って桜花おうかの背中に隠れていた。

 しかし、なんでルールを全部表示するだけで、俺は馬鹿呼ばわりされないといけないのか、まあいいや。
 そう思いながら腕輪の操作を行なった。

 以前と同じ様に操作してスクリーンをもう一度出し、そしてスクリーンを消さずにもう一度、腕輪の起動とあるボタンを押したまま、スクリーンの表示を操作する。

 するとここで電子音が響くはずだ。
《ピッ、ピッ、ピープーパーポー、プツ》
 以前と同じ電子音が聞こえ、スクリーンがすべて消えた。

「おいおい、連夜れんや。画面が消えちまったぞ、これ壊れたんじゃ!?」
 タクが、画面の表示がすべて消えてしまったのを見て声をかけて来たが、すぐに画面が立ち上がり今まで記載していなかった部分も表記していたのが確認できた。

 そして、ルールに関しては全部が確認できた。それを見て茉莉香まりかちゃんとタクが驚いていたので、俺と桜花おうかも驚いたフリをして話をあわせたのであった。
「なに、このルール?こんなのおかしいんじゃないの」
「ああ、なんだよこれ尋常じゃねーよ。なあ、連夜れんや
「そっ、そうだな。おかしいよな」
 俺の声を聞き桜花おうかは、顔を伏せていた。まあ、その気持ちは解る何せ元々俺達は知っているからどう答えていいか返答に迷う。まあ何も言わない事も驚きになるからいいだろう。

 それで、その話は一旦終了させてモニターに移っていた、見取り図についての相談をみんなで行なった。

 まずは、この見取り図を如何にかして紙に書き写したいが、その様な物がまったく無い。
 みんなで手分けをして、何か書く物とメモ用紙みたいな物を探そうとしていると茉莉香まりかちゃんが、先程の資料を見て答えた。
「ねぇ、ねぇ、これってさぁ、この腕輪の機能を増やせることを書いてるんじゃないの?」
 茉莉香まりかちゃんが見ていた資料を、俺達に見せてそう教えてくれた。

 確かに、そこに書かれている内容は、俺達に着けられている腕輪の拡張方法が記載されていた。 だが俺もだけど桜花おうかも、この機能に関しては何も知らなかった。
『なんだよこれ?桜花おうか知ってた』
『ううん。私も知らないよ。こんな機能は』
 そう俺達2人も知らない機能が、その資料には記載されていた。

 でも、確かにそこに書かれている内容は、腕輪の機能を拡張する説明であった。
 その方法はどうも三つあるようだ。
 1つ目は、メモリーカードみたいなものを差込み、機能を増やす方法。
 2つ目は、ケーブルを使用して端末よりデータを引き出す方法。
 そして、3つ目は、最後は赤外線による機能拡張。おそらくこれはペアや仲間になれば普通に拡張されるようだ。

 もう1つ補足で、腕輪の操作で内部にインプットされた機能を呼び出す事も可能ともかかれていた。

「ねっ、これ役にたつんじゃない。これでさ、そのモニターに出ている地図を転送すればいいんじゃないかな。ねっ」
 確かに茉莉香まりかちゃんが言うように、このデータが腕輪の機能に入れ込めればかなり楽になるが、問題はどうやってこのデータを腕輪に移すかである。
 何せここにはメモリーカードのような物は無いし、ましてや転送用のケーブルも無いのである。

「考え方は解ったけどさ、肝心の物がない。それにもしそれがあってもどうやって取り込みか解らん」
「そっか、いい考えだと思ったんだけどな」
 確かにいい考えではあったが、元々地図機能はある。ただ行った場所しか記載されない機能があるみたいだもんな、これが転送できたら全貌が見やすくなる。 それにこの見取り図を書き写すだけでも、かなり今後の移動が楽になるもんな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

それは奇妙な町でした

ねこしゃけ日和
ミステリー
 売れない作家である有馬四迷は新作を目新しさが足りないと言われ、ボツにされた。  バイト先のオーナーであるアメリカ人のルドリックさんにそのことを告げるとちょうどいい町があると教えられた。  猫神町は誰もがねこを敬う奇妙な町だった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

SP警護と強気な華【完】

氷萌
ミステリー
『遺産10億の相続は  20歳の成人を迎えた孫娘”冬月カトレア”へ譲り渡す』 祖父の遺した遺書が波乱を呼び 美しい媛は欲に塗れた大人達から 大金を賭けて命を狙われる――― 彼女を護るは たった1人のボディガード 金持ち強気な美人媛 冬月カトレア(20)-Katorea Fuyuduki- ××× 性悪専属護衛SP 柊ナツメ(27)-Nathume Hiragi- 過去と現在 複雑に絡み合う人間関係 金か仕事か それとも愛か――― ***注意事項*** 警察SPが民間人の護衛をする事は 基本的にはあり得ません。 ですがストーリー上、必要とする為 別物として捉えて頂ければ幸いです。 様々な意見はあるとは思いますが 今後の展開で明らかになりますので お付き合いの程、宜しくお願い致します。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

夫のかつての婚約者が現れて、離縁を求めて来ました──。

Nao*
恋愛
結婚し一年が経った頃……私、エリザベスの元を一人の女性が訪ねて来る。 彼女は夫ダミアンの元婚約者で、ミラージュと名乗った。 そして彼女は戸惑う私に対し、夫と別れるよう要求する。 この事を夫に話せば、彼女とはもう終わって居る……俺の妻はこの先もお前だけだと言ってくれるが、私の心は大きく乱れたままだった。 その後、この件で自身の身を案じた私は護衛を付ける事にするが……これによって夫と彼女、それぞれの思いを知る事となり──? (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)

失せ物探し・一ノ瀬至遠のカノウ性~謎解きアイテムはインスタント付喪神~

わいとえぬ
ミステリー
「君の声を聴かせて」――異能の失せ物探しが、今日も依頼人たちの謎を解く。依頼された失せ物も、本人すら意識していない隠された謎も全部、全部。 カノウコウコは焦っていた。推しの動画配信者のファングッズ購入に必要なパスワードが分からないからだ。落ち着ける場所としてお気に入りのカフェへ向かうも、そこは一ノ瀬相談事務所という場所に様変わりしていた。 カノウは、そこで失せ物探しを営む白髪の美青年・一ノ瀬至遠(いちのせ・しおん)と出会う。至遠は無機物の意識を励起し、インスタント付喪神とすることで無機物たちの声を聴く異能を持つという。カノウは半信半疑ながらも、その場でスマートフォンに至遠の異能をかけてもらいパスワードを解いてもらう。が、至遠たちは一年ほど前から付喪神たちが謎を仕掛けてくる現象に悩まされており、依頼が謎解き形式となっていた。カノウはサポートの百目鬼悠玄(どうめき・ゆうげん)すすめのもと、至遠の助手となる流れになり……? どんでん返し、あります。

処理中です...