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№33:金貨は偽者?

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 それで、やはりタクから借りたコインは、金貨ではなかったのである。
「なあ、タク、喜んでるところ悪いけど。これ本物の金貨じゃないから。早めに教えとくよ」
「えっ、嘘だろう。こんなに金ぴかで綺麗なんだぞ。まんま金じゃねえかよ」
「ねえ、レン君それホントなの?私も金にしか見えないのだけど」

連夜れんや?私にも金で出来た金貨にしか見えないんだけど?」
連夜れんやぁ、もしかして俺を騙そうとしてるのか?もしかして」
 なんでみんなからそんな事を言われなならん。

 これが金貨で無いかは普通解ると思うが。まあ、解らんなら説明してやらんといかんかな。
「ああ、解ったよ、ちゃんと説明するよ。まず、その金貨が本物の金で無いのは重さが軽いのと、この金貨が磁石に反応するからな」
 そう言ってカバンから取り出していた磁石のついた道具を手渡した。

 その磁石を金貨に近づけると、その金貨は磁石に吸い寄せられ引っ付いた。
 それを見た2人がそれがどうしたのと言う顔をしていたが、茉莉香まりかちゃんだけは、気が付いた様で2人に詳しく説明してくれた。

 するとさっきまで喜んでたタクは、がっくりと肩を落としていた。それに何故か先程の説明をしていた茉莉香まりかちゃんまで肩を落として残念がっていた。
 ちなみに桜花おうかの方は、先程の磁石と金貨に近づけて不思議そうな顔をしていた。

 いや、タクががっくりしてるのは解るのだが何故茉莉香まりかちゃんまで、そんなに残念がるのだろうか、それに桜花おうかよ、なぜ諦めずに磁石を金貨全部に近づけてる? まあ言いやとりあえず元気付けてやろう。

「なあ、タク。それ金では無いけど何かの役に立つかも知れないぞ。それにコインなのは間違いないと思うから」

 そうアドバイスというより慰めてやると、顔を上げてからニコヤカに俺に声をかけてきた。
「そっ、そうだよな。なんかの役に立つかも知れないよな。なっ、な連夜れんや
「ああ、だからそれは持っとけよ」

 それでタクの方は納得してくれた様だが、何故か茉莉香まりかちゃんと桜花おうかはがっくり来ているようだった。
 桜花おうかの方は、最終的に諦めたのか、最後はがっくりと肩を落としていた。

 よっぽど残念だったのだろう、さっきまでタクに聞いた後、すぐに他の奴を見て何枚か探し当てていたようだ。しかも俺の説明を聞いてそのコインを俺に手渡して2人で先に進んで行った。

 現金な2人だなとタクと視線を交わしその後を追って行った。
「それは、そうとしてさ連夜れんや。これをやった奴ってすごいよな」
「ん?何がすごいんだ」
「いや、だってさ。これ全部同じようなもので、同じ箇所を破壊してるんだぜ。それにこれって普段は動いてるんだろだからさ」
 あっ、そうだ。こいつらは動いてるはずだ。しかも近くでこんな大量にいるって事は・・・。

 翌々考えると確かに不審な点が数箇所ある。しかもこのAIの装置は俺らが制御を停止していたから動くはずは無い。

 なんでそんな事を言えるかというと、連夜れんやの記憶の中で以前、制御室でこいつらの制御を停止操作した後は、誰かが起動をしない限りAI装置は動き出さないはずだし、それを起動しても動き出すまでに時間がかかったはずだ。

 ならなんでここにこんなに殺人AIの装置・・・あっ、これって良く見たら俺の知ってるAI装置では無い。あいつにはノコギリの歯みたいなのがあった、それに他のもそうだった筈だ。けれどこれには人を殺めるような装置が着いて無い。

 とりあえず、それは後で考えるとして、今は桜花おうか達の後を追って制御室に向かうとしよう。

 そして、制御室の前までやって来た。
 その入口の扉を慎重に開け、中の様子を確認してから、みんなで警戒しつつ中に入っていった。

 まずその制御室に入ってから違和感を感じた。
 それは俺と桜花おうかが前に入った時には制御室内にあった制御装置は、壊さなかった筈だ。
 だか今俺達の前にある装置は完全に破壊されていた。しかもご丁寧に制御装置の部分だけである。

「ねぇ、レン君これってキミが言っていた装置だよね。でも、これ壊れてない?」
「ああ、確かに壊れてるね。でもなんでだ?」
「ねぇ、連夜れんや。これって」
 そう言って桜花おうかが俺のそばに、ある物を持って来てくれた。

 それは間違いなく、あいつが持っていたネックレスだった。
 これに関しては俺と桜花おうかしか知らない筈だが、間違いなくあの人の物だ。
 以前俺達に、ここの場所の存在とAI装置の弱点を、教えてくれた人が持っていたのと同じネックレスだ。

 でも確か、あの人はこのフロワにはいない筈なのに、なんでここにあるんだ。でも、半分以上は納得が出来た。間違いなくあのAI装置と、ここの制御装置を壊したのはあの人に違いない。

 まあそのうち会えるだろう。その時は敵か味方かは解らないけど、話せばきっと解りあえる筈だ。
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