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№15:床下の人?

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 桜花おうかちゃんの助言どうりにしてもらえれば、うまくいくかもしれないと思い。
 それを実行してもらう前に、先程考え付いた事を試してみよう思った。

「すいません。ちょっと確認するので気をつけてください」
 そう声をかけて床の部分を思いっきり叩いてみた。すると《ゴンッ、ガン》やはり硬い金属のような何かではあるが。
「ふえっ、なっ、なに、なになに、どうしたの? ビックリするじゃないですかぁぁ」

 うん、ぴったり引っ付いているようだけど、振動を与えたら若干浮くから下から押せば確かに開くな。なら、下の人に説明しないといけない。
「すいません。そちらから押せば、開くようなのでそちらから押して下さい」

「ふえっ、えっ、それは無理ですよぉぉ。さっきから何度も試したけど・・・押せないのです」
「はっ、なんで?」
「そっ、それは・・・ここ足場が無いの・・・・から無理なのです」
 なるほど、足場が無いのか? ん、ならどうやって先程の音を鳴らしてたんだ。

「えっと、すいません。そこは今どういう状況で、どうやって音を鳴らせていたんですか?」
「えっと、ですね。私の・・・・・・・・・・・です」

 どうも、最後の方がゴニョゴニョ言って聞き辛いんだけど。
「えっ、すいません。聞こえ辛かったんですけど?」

 そう俺が声をかけたら桜花おうかちゃんが俺のシャツを引き喋りかけてきた。
連夜れんやさん!失礼ですよ。そんな事聞き返したら」
 えっ、今の桜花おうかちゃん聞こえていたの? でも、俺には聞こえなかったんだけど?どうしようか、と思っていたら。

「私!背が低くて手が届かないんです。だから、背伸びして辛うじて指で押さえるぐらいなんです。グスッ、それにこの中は狭くて胸が・・・です。音のほうはここにあった玉みたいなのを当てて鳴らせていたんです」
「あっ・・・・ごめん・・えっ、でもさぁそこはそんなに高いの?」

「はい、私の背丈より高いのは間違いないです。でも身動きが取れなくなって動けないです」
 でも、参ったな、これじゃここを開けられそうに無いし・・・何か手が無いかな。

 そういえば・・・この子どうやって中に入ったんだ?・・・ちょっと、聞いてみよう。
「ねえ、きみ。そこにはどうやって入ったの?」
「はい?えっと、たぶんですね。落とされたと思います」

「・・・はぁ、だれに?」
「解りません。部屋の中でカバンを見つけて、それに近付いたら地面がパカンと穴が開いて・・・そこに落ちました。それでそのあとは・・・おそらく気絶していたと思います。だけど大きな音がして気が付いたんですけど。その後、暗くて狭い通路をいろいろ動き回って、ここまで来たのですけど・・・。そしたら元々いたところで音がしたんで、戻ろうと思ったのですが・・・胸が使えて・・・グスッ」

 ああ、なるほど落とし穴に落ちた後に、彷徨っていたって事ね。それでここまで来たけど、そこからどうも胸が引っ掛かり身動きが取れなくなったてことか、・・・・どんだけでかい胸なんだ。いや、そこが狭いだけか?

 いや待てよ、よくよく考えてみたら、下の子が背が低くて体が大きいって事も・・・。でも、この声は聞いた事があるような、無いような?

 まあいいや、そこは置いといて・・・・あれ、ならルールの6番目のやつは・・・そう思い腕輪を操作して確認した。
【開始から1時間以上同じ場所に留まったらAIの緊急対処が働き有無をいわさず対象を殺害する。 ただし安全エリアでは5時間の留まることが可能である。安全エリアの場所は個人で違う】

 そうこういうルールだったはずだ。という事はこの下にいる子は既に時間オーバーしてるのでは? しかし、何も起こっていないみたいだな。
 て、ことは下の子がいる場所は安全エリアと言う事なのか?

 でも、その子と俺達の安全エリアが同じとは限らないからな、個人で違うって事になっているから。

 でも何かを見落としている様な気がするけど・・・・。

 まあ、とりあえずはこの下にいる子を助けることに専念しよう。そのように考えをまとめていたら、また頭に直接警報音が鳴り出したので桜花おうかちゃんと俺はお互いを見つめた。

 鳴り響いた警報音は《プルル、プルル、ピッ、ピッ》と鳴っていた。

 そして、腕輪も同時に電飾部分が点滅を繰り返していた。なので急いで表示を出すとカウントダウンを開始していた。

 時間にしてあと5分と表示していて、それがカウントダウンしだしたのだ。

「うわっ、時間がもう無い」
「れっ、連夜れんやさん、どうします。このままじゃあたし達・・・」

 桜花おうかちゃんがすごく不安そうに、こちらに見たので安心させる為に声をかけた。
「とりあえず下の子を助けよう。それをしてから考えよう。いざとなれば、どうにかなるよ。ねっ」
 何の確証も無いが、安心させる為にそのような言葉をかけた。

 しかし、このとき連夜れんやはある事を思いついていた。
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