巻き込まれて異世界へ ~なぜだか関わった人の運命変えてます~

桜華 剛爛

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第5章 王都シルフォードに向けて出発かもしれない。

5-38 魔人族と少年達の戦闘開始?

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 そしてみんなで声を出し気合を入れて、魔人族の男との戦闘が開始された。



 魔人族の男スレーボは、律儀に少年達を待っていたかと思っていたが。

 どうもそれは違っていたようで、戦闘が開始させた直後に少年達に向けて煙幕を投げ付けてきた。

 おそらく待っていたと思わせて、自分の持っていたアイテムを使って製作していたのだろう。
 その煙幕は、何の効力の無いただの煙だったが、それを利用して逃げ出そうとしていた。

「ヘぇー、なるほど、そうきますか。でも馬鹿だね、煙幕内に麻痺毒でも混入させれば勝ち目があったかも知れないのに。まあそんな事しても、メイリーが恐らく解毒するだろけど」
 などとユウマが感心していた。

 するとロンが魔法で自分を中心に広範囲の領域結界を張った。
「逃がしませんよ。【霧分散領域ミストディスパーションフィールド】!」

 そこは煙幕で見えなくなったが、相手の魔人族の男を逃げられない様に捕らえるには、十分の広さだった。
《バッチン!》
「なっ、障壁だと?やってくれましたね。」
「ええ、貴方は逃げられませんよ。ただの煙幕を張ったのは失敗でしたね」
 その煙幕を張った為に、霧で出来た結界の端がわかり辛くなり、その障壁に魔人族の男スレーボが衝突して反発作用で電撃を喰らってしまった。

「くそっ!生意気な。まずはこの結界を張った。あの魔術師の小僧を始末してくれよう」
 そう言って煙幕の中で気配を消して、素早く動きロンの後方に移動していった。

 だがこの時、スレーボは大きな勘違いを四つほど犯していた。

 まず一つ目、それはロンは魔術師であるが元々は槍術使いであり、結構槍の扱いに長けていた。

 そのため普通の魔術師なら杖を装備するのが当たり前なのだが、何故かロンは扱い易い長槍を杖代わりにして戦闘を行なっていた。
 余程逃げる為に慌てていたのか、スレーボはそこを見落とし気が付いていなかったようだ。

 それに良く観察していれば、ロンが戦闘で槍を使い応戦していたのが解っていたはずだ。

 スレーボは、そのロンに背後からこっそりと近づいていったが、逆に返り討ちにあい槍の横なぎで吹き飛ばされていた。
「なっ、なぜそんな物を持っている。魔導師だろう貴様?」
 スレーボが声を出し、何か訴えてきたが、気にせず2撃目の攻撃を行なっていた。

「そんな事を、貴方に教えるつもりはありません」
 鋭い付きの攻撃を、吹き飛ばしたスレーボに行なったが、その攻撃は空振りに終わった。

 スレーボは吹き飛ばされてすぐに、体制を立て直し再度攻撃しようとしたが、ロンの攻撃が鋭かったので避けるので精一杯だった。

 こうしてスレーボはロンの攻撃を辛うじて避けた。
『だっ、駄目だ!こっ、こいつは、つっ、強い!ただの魔術師じゃない。こいつは後回しにしよう』
 そう思いスレーボは、ロンの攻撃を避けた後に、一直線に突っ込んで来ているユータにターゲットを変えた。
 そしてその攻撃を、横へすぐに避けて。

「馬鹿め、バルボの時と同じような事をしやがって。さっきはメスガキに邪魔されたが、今度は貴様を切り刻んでくれる」
 顔をニヤつかせて短剣で切り掛ってきた。

 だが二つ目のスレーボの勘違いは、ユータが先程は調子に乗って周りを見ずに、一直線に突っ込んで失態を犯したのに同じ事をしていると思った事だ。

 今回のユータは、先程の失態から学んで特に慎重になり、突っ込んでいたと見せかけていた。
 そしてスレーボが、避けたところを確認してから、その避けたスレーボの背後に瞬時に回り込んでいた。

 するとターゲットのユータを見失ったスレーボが間抜けな声を出し。
「ほぎゃ?小僧は何処に。あれ、《ドカッ》どべしっ」

 その最初の間抜けな声を出した後ぐらいに、背後に回っていたユータが力一杯盾による攻撃シールドバッシュを当てていた。
 その攻撃を当てた後、またすぐに吹き飛ばしたスレーボを追いかけた。

「食らいやがれ。このやろう」
 ユータは体制の崩したスレーボに、自分の持っていた剣で一撃を食らわせていた。
「うぎゃー!・・・何故です。何故!先程と動きが違うじゃないですか・・・どうして?」
 スレーボは混乱していた。何故なら明らかにユータの動きが先程とまったく違うからだ。

 何故ユータがここまで戦闘時の動きが変わったのかは、それは先程死に掛けた事により余計に慎重になり。
 この戦闘で今まで以上に、神経が研ぎ澄まされて動きがよくなっていた。

 それにユウマと同じように【聖光気】と【戦闘覇気】のスキルが発現して微弱ではあるが覇気を出せるようになっていた。



 ユータは、何か途方も無い力に目覚めようとしていた。


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