上 下
339 / 557
第9章 戦いの中で真実を?

9‐99 笑いと共にその正体は?

しおりを挟む



 その大笑い声と共に変化を終えたであろうそいつが、周りに漂っていた黒い霧を纏ったまま、その長く伸びた首を真っ先に黒い霧より、その部分だけを現したのであった。



 その首はまさしく竜?というより蛇に近い、それで頭の部分は先程まで魔神?であったキサールの顔があるのであった。
『ぐはははっ、これが魔神竜と融合進化した私だ。はぁ、はぁ、恐怖して拝め!ぐはははははっ・・・げほっ、げほっ』
 その頭?の部分をもたげ、周囲にいる俺達の方を見回した。しかし、しまりが余りにもなさ過ぎるし、まだ、息が荒い状態であった。

 それにその頭の部分だけなら違う意味で、恐らく・・・皆、恐怖するのだろうが、何せこの時点でその頭とその首の部分のバランスが、少しおかしいのである。
「なあ、俺の目がおかしいのか?頭の大きさに比べたら、なんかおかしく無いか?」
「くっ、くく、駄目だよ。お兄ちゃん、あっ、あいつ、一生懸命・・・くくっ・・・」
 ミーアには、あの状態がやはり可笑しいようで、必死に笑いを堪えている。やっぱり俺の目は、おかしくないようである。

 確かに頭はかなり大きい、それは魔神であったときより、その頭は最初に見たときより2倍ほど大きいと思える。それにその部分は大きくなっている以外は、恐らく普通?だろうと思う。
 ただ、頭から下の首の部分が、その頭に対して細すぎるのような感じである。強いて説明するならサッカーボールに細いホース(直径2cm程)が付いているような感じ、ただし、その大きさは3倍以上ある。
 とにかく、その時点でバランスがおかしいのである。

 それでその姿とその魔神の真面目な顔だけでも、十分笑えるのだが・・・それをみんな、何故か必死に笑いを堪えている。もちろんその為、俺の質問にはミーア以外は答えてくれなかった。

 その他のみんなは、恐らく声を出したら笑いを耐えられないのだろうと思う。必死に口を押さえているからだ。

 それでみんなが笑いを必死に耐え・・・その全貌が解るまで我慢して、黒い霧が完全に晴れるのを待つ事にした。 ただ、すでにロンとアリア、それに雪姫とファルか堪えられないのか、視線を出来るだけそらしているが、チラチラそいつの姿を見ては、笑いを堪えまた視線をそらす動作を繰り返していた。

 それを魔神キサールの頭は、自分に恐怖して視線をそらしていると勘違いして、何故か気分を良くして声をあげた。
『そうだろう、そうだろう。うっ、ごほっ、あまりの恐怖で私を直視できまい!ぐっははっ、ぐっはははっ・・・ふぅっ、ふぅっ?』

 その間にも魔神キサールの頭は、細い首で持ち上げつつ高笑いをしていた。それに苦しそうだ・・・そして、次の瞬間!?
『ふぅぅぅっ、ふぅぅぅっ、ふっ、さっ、さぁぁぁっ、見るが良い。私が最終進化した。魔神竜の真の姿を!そして更に恐怖するがよい・・・・』

 その言葉とドヤ顔と共に翼を広げ、自分の周りに纏わり着いていた黒い霧を振り払った・・・。 

 周囲の黒い霧が全て吹き飛ばし、その場に現れたのは竜?とはあきらかに違い、それに蛇みたいな胴体というわけでもない。ちゃんとした胴体はあるそこからひょろひょろと首?が伸びその先に先程の大きな頭がある。
 さらにはその胴体らしい場所には、禍々しい翼がコウモリの様な翼で・・・かなり無理をしてその翼を広げたのであった。

 そいつの全体の姿が見えてきた。それで完全に全貌が明らかになったのだが、その全体像が全てにおいておかしすぎるのであった。
 そうバランスだけでなく、他に色々と笑いをもたらす姿なのであった。しかも当の本人は、至って真面目で真剣な顔なのに、ある場所は・・・。

 姿が全部現れた瞬間、みんな一斉にふきだした。
「ぶばぁぁ、くっ、くぅっくくくっ、あぁぁははははは!何だあの顔はそれにあいつ、あいつは、ぷくくくくっ・・・・」(余りの面白さに笑い転げるユウマ)
「ぷっ、ぷっぷっ、もう駄目お腹痛い、しっ、死ぬ、誰かあいつを、どっ、どっかに、くっくくくっ・・・」(お腹を抱え苦しむアリア)
「くっ、くくくくっ、くっ、苦しい!だっ、だれか、くっくくくくっ・・・」(必死に堪えようとするが苦しがるロン)
「くっくく、あはっ、あはっ・・・・・ひっくっ・・・」(余りにも面白すぎて半分ひきつけを起しかけてるミーア)
『・・・あはっ、はははははっ・・・くっ、うううううっ、あははははは・・・』(一瞬思考が止まり唖然としたが、やはりおかしい笑い出すファル)
『ふっ、ふふふっ、ぷっ・・・くっくくくくっ、あはっ、あはははっ、くる、苦しい・・・』(おしとやかに笑おうとするが我慢できず笑い苦しむ雪姫)
『きゃははははっ、きゃぁぁはははははっ、あっ、あんたッ最高だよ。くあはははは・・・』(正直に笑い転げる月姫)
『ぷっ、グヮグッ・・・・・』(頭を前足で押さえ必死で堪えてるラン)
 全員が一斉に相手より先制攻撃を受けたのだ。ただしお笑いの・・・・。

 しかしその事は、当の本人である魔神竜?だろうと思っているキサールは、何がなんだか解ってない状態であった。そのみんなの笑いに驚き不思議に思い、現状固まってしまっていたのであった。

 何故この様な状態になっているかと言うと・・・それは、まず大きく広げた翼は姿は身体の・・・いや、胴体の大きさから考えたら異常な大きさであった。
 通常のコウモリの翼であるなら、胴体より遥かに大きい筈なのであるが・・・それから考えるとかなり小さい羽であった。それに胴体と思えるモノにも顔が、いや、鳥の頭があるのであった。



 一番最初に姿をさらす前には、その小さな翼を広げて長い首?で頭を上げたときの影は・・・完全な竜の姿に見え無い事もなかった。いやどちらかと言えば、影だけで言えば竜と言っても納得できる姿だった。


しおりを挟む
感想 798

あなたにおすすめの小説

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

【12/29にて公開終了】愛するつもりなぞないんでしょうから

真朱
恋愛
この国の姫は公爵令息と婚約していたが、隣国との和睦のため、一転して隣国の王子の許へ嫁ぐことになった。余計ないざこざを防ぐべく、姫の元婚約者の公爵令息は王命でさくっと婚姻させられることになり、その相手として白羽の矢が立ったのは辺境伯家の二女・ディアナだった。「可憐な姫の後が、脳筋な辺境伯んとこの娘って、公爵令息かわいそうに…。これはあれでしょ?『お前を愛するつもりはない!』ってやつでしょ?」  期待も遠慮も捨ててる新妻ディアナと、好青年の仮面をひっ剥がされていく旦那様ラキルスの、『明日はどっちだ』な夫婦のお話。    ※なんちゃって異世界です。なんでもあり、ご都合主義をご容赦ください。  ※新婚夫婦のお話ですが色っぽさゼロです。Rは物騒な方です。  ※ざまあのお話ではありません。軽い読み物とご理解いただけると幸いです。 ※コミカライズにより12/29にて公開を終了させていただきます。

神々の娯楽に巻き込まれて強制異世界転生ー1番長生きした人にご褒美有ります

ぐるぐる
ファンタジー
□お休みします□ すみません…風邪ひきました… 無理です… お休みさせてください… 異世界大好きおばあちゃん。 死んだらテンプレ神様の部屋で、神々の娯楽に付き合えと巻き込まれて、強制的に異世界転生させられちゃったお話です。 すぐに死ぬのはつまらないから、転生後の能力について希望を叶えてやろう、よく考えろ、と言われて願い事3つ考えたよ。 転生者は全部で10人。 異世界はまた作れるから好きにして良い、滅ぼしても良い、1番長生きした人にご褒美を考えてる、とにかく退屈している神々を楽しませてくれ。 神々の楽しいことってなんぞやと思いながら不本意にも異世界転生ゴー! ※採取品についての情報は好き勝手にアレンジしてます。  実在するものをちょっと変えてるだけです。

転生先は石ころのようです――え!?――

ルリカリ
ファンタジー
ある日 超絶よくあるトラックに引かれ死亡した レンカ、そして期待の!異世界転生!とウキウキ気分でいたつかの間、転生先は!転がってた石!?

【完結】長い眠りのその後で

maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。 でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。 いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう? このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!! どうして旦那様はずっと眠ってるの? 唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。 しょうがないアディル頑張りまーす!! 複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です 全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む) ※他サイトでも投稿しております ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。

朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。 婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。 だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。 リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。 「なろう」「カクヨム」に投稿しています。

処理中です...