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第60話 商会への頼み事
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とある商会に部隊で使用する備品の買い付けに来た俺。だが、その商会を訪問した俺は、なぜか商会主から金を脅し取りに来たと勘違いされてしまった。商会主との噛み合わない問答の末にようやくその誤解が解けて詳しい事情を聞こうとしているのだ。
コルとマナも面倒な事情を察したのか、時間がかかりそうな気配にも関わらず俺の横で文句も言わずに大人しく座っている。
「それでは改めて伺いますが、自治部隊を名乗る者に脅迫されてお金を脅し取られているというのは本当ですか?」
「はい、この街の部隊に所属していると名乗る者に二度もお金を脅し取られています」
「既に二度もお金を脅し取られてるのですか?」
「ええ、一度目は一ヶ月ちょっと前の事でした。賊徒がこの街を襲ってくるのではないかと街中に噂が流れていた頃です。二人組の男が我がモリソン商会を訪れ、俺達が賊徒からこの街を守るには金がいる。おまえ達は俺達にただで守ってもらうつもりなのか? 金を出さないのならおまえの商会や家族がどうなるのか身をもって教えてやろうかと脅されたのです。その時は賊徒の襲来の方を私は恐れていたので、二人組の脅しに屈してつい大金を渡してしまいました」
おかしいな。部隊で街の人達から金を強引に徴発なんてするはずがない。そもそも統括官からもそんな命令を受けた覚えすらない。
「それで二度目は?」
「はい、その後で賊徒がこの街に襲来したのは事実でした。ですが、自治部隊の働きによって賊徒は撃退されました。しかし、自治部隊が賊徒を撃退されてからまたその二人組がこの商会を訪れたのです。その二人が申すには、俺達のおかげでおまえ達は命拾いしたのだから見返りに金を寄越せと言うのです。出さなければ命の保証はないぞ。金を出したとしてもそれを他の誰かに話したらおまえの命の保証はしないと脅されました。それで仕方なく命には代えられませんのでまた大金を渡す事になったのです」
住民から強引に金を脅し取るのは悪質極まりないな。せっかくこの街に自治部隊が受け入れられようとしてるのにこれではその努力も水の泡で元も子もなくなる。この前決まった部隊規則にも、脅迫や恐喝で商人や住民から無理やりお金を借りたり脅し取らない事と規定されている。ただ、商会の人に人相を聞いてその犯人を捕まえたとしても、そんなの身に覚えがないだのと言い逃れされてしまう可能性があるな。
「その二人組ですが、またこの商会に来るような事を言ってましたか?」
「はい、金がなくなったらまた来ると言っておりました。なので、あなたが部隊という名を口に出したのでまたお金を脅し取りに来たと思ったのです」
なるほど、どおりで商会主と中年の男は俺をお金を脅し取りに来た連中の仲間だと思い込んであんなに恐れたのか。さて、どうしようか。また来る確率が高いのなら証拠を掴んで言い逃れが出来ないようにした後で捕まえたいな。この商会には申し訳ないけど、もう一度脅迫を手段にお金を脅し取りに来る奴の相手をしてもらえるように頼んでみるか。
あと、情報の共有をどうするかだな。まず信頼の置けるカウンさんとラモンさんには話しておこう。統括官にも事情を説明して話しておくか。もし、統括官が黒幕でこの恐喝の首謀者なら警戒してその二人組はこの商会に姿を見せなくなるだろうし、白で全く関係がないのなら二人組は再びのこのこと恐喝目的で現れるはずだ。誰がどう関わっているのか、それとも勝手にその二人組がやってる事なのかも見極めたい。
「脅迫恐喝の犯人の証拠を掴んで言い逃れが出来ないようにする為に商会主さんに相談があるのです。申し訳ないが、もう一度だけそいつらにお金を脅し取られてもらえないでしょうか? 脅し取られた金額は隊の方で補償するようにしますので。これ以上の被害を増やさない為にはもう一度だけ必要なんです。これは自治部隊第三部隊長エリオット・ガウディとしてのお願いです」
俺は頭を深く下げて商会主にお願いをしてみた。商会主は無言でじっと黙っている。俺が信用出来る人間なのかどうか、心のなかで葛藤中なのだろう。
「よろしいでしょう、あなたを信じましょう。第三部隊の隊長といえば、この街を襲った賊徒を撃退した主力部隊を率いた方ですし、賊徒の首領を討ち取ったこの街の英雄だ。その方が頭を下げて頼むのですからもう一度だけお金を脅し取られるのを引き受けましょう」
「俺を信じてくれてありがとうございます。協力して証拠を確固たるものにして犯人を捕まえましょう」
その後、俺は商会主さんと中年の男と一緒に細かい打ち合わせを行った。実はこの中年男は商会主の老人の息子だった。俺も二人は何となく似てるよなと思ってたんだ。それはそれとして、お互いに納得のいく話し合いが出来たので後はこの計画が上手くいくのを祈るだけだな。俺は商会に俺の住んでいる借家の場所を教えて今日のところは一旦家に帰る事にした。もちろん忘れないように備品の品物の買い付けもやっておいた。元々の用事の買い付けで俺が商会に金を払ってくれると知り、それも俺に対する信用に繋がったみたいだね。犯人逮捕に向けてこの計画は明日から本格的に始動させるつもりだ。
そして、俺は家に戻る道すがらある検証をしている。この検証の結果、どれくらいの効果があるのか判明すれば俺にとっても有意義だからな。検証の為にコルとマナは俺から少し離れてもらっているがちょっと意見を聞いてみよう。
『コル、マナ。おまえ達から見て道行く人の反応はどうだ?』
『はい、主様の事を誰も気に留めてません』
『エリオ様に気づいてないようですよ』
従魔からの客観的意見を聞く限りでは効果抜群のようだ。
この試みだが、俺との強い結びつきがある従魔に対しては効果がないみたいだ。
そりゃそうか、俺と心が絆で結びついている従魔だもんな。
そんな風に検証をしながら自分の住んでいる借家に到着すると、家の中から灯りが外に漏れている。たぶんリタかミリアムだろう。いや、もしかしたら二人ともいるのかもしれない。よし、ちょっと試してみよう。
コルとマナも面倒な事情を察したのか、時間がかかりそうな気配にも関わらず俺の横で文句も言わずに大人しく座っている。
「それでは改めて伺いますが、自治部隊を名乗る者に脅迫されてお金を脅し取られているというのは本当ですか?」
「はい、この街の部隊に所属していると名乗る者に二度もお金を脅し取られています」
「既に二度もお金を脅し取られてるのですか?」
「ええ、一度目は一ヶ月ちょっと前の事でした。賊徒がこの街を襲ってくるのではないかと街中に噂が流れていた頃です。二人組の男が我がモリソン商会を訪れ、俺達が賊徒からこの街を守るには金がいる。おまえ達は俺達にただで守ってもらうつもりなのか? 金を出さないのならおまえの商会や家族がどうなるのか身をもって教えてやろうかと脅されたのです。その時は賊徒の襲来の方を私は恐れていたので、二人組の脅しに屈してつい大金を渡してしまいました」
おかしいな。部隊で街の人達から金を強引に徴発なんてするはずがない。そもそも統括官からもそんな命令を受けた覚えすらない。
「それで二度目は?」
「はい、その後で賊徒がこの街に襲来したのは事実でした。ですが、自治部隊の働きによって賊徒は撃退されました。しかし、自治部隊が賊徒を撃退されてからまたその二人組がこの商会を訪れたのです。その二人が申すには、俺達のおかげでおまえ達は命拾いしたのだから見返りに金を寄越せと言うのです。出さなければ命の保証はないぞ。金を出したとしてもそれを他の誰かに話したらおまえの命の保証はしないと脅されました。それで仕方なく命には代えられませんのでまた大金を渡す事になったのです」
住民から強引に金を脅し取るのは悪質極まりないな。せっかくこの街に自治部隊が受け入れられようとしてるのにこれではその努力も水の泡で元も子もなくなる。この前決まった部隊規則にも、脅迫や恐喝で商人や住民から無理やりお金を借りたり脅し取らない事と規定されている。ただ、商会の人に人相を聞いてその犯人を捕まえたとしても、そんなの身に覚えがないだのと言い逃れされてしまう可能性があるな。
「その二人組ですが、またこの商会に来るような事を言ってましたか?」
「はい、金がなくなったらまた来ると言っておりました。なので、あなたが部隊という名を口に出したのでまたお金を脅し取りに来たと思ったのです」
なるほど、どおりで商会主と中年の男は俺をお金を脅し取りに来た連中の仲間だと思い込んであんなに恐れたのか。さて、どうしようか。また来る確率が高いのなら証拠を掴んで言い逃れが出来ないようにした後で捕まえたいな。この商会には申し訳ないけど、もう一度脅迫を手段にお金を脅し取りに来る奴の相手をしてもらえるように頼んでみるか。
あと、情報の共有をどうするかだな。まず信頼の置けるカウンさんとラモンさんには話しておこう。統括官にも事情を説明して話しておくか。もし、統括官が黒幕でこの恐喝の首謀者なら警戒してその二人組はこの商会に姿を見せなくなるだろうし、白で全く関係がないのなら二人組は再びのこのこと恐喝目的で現れるはずだ。誰がどう関わっているのか、それとも勝手にその二人組がやってる事なのかも見極めたい。
「脅迫恐喝の犯人の証拠を掴んで言い逃れが出来ないようにする為に商会主さんに相談があるのです。申し訳ないが、もう一度だけそいつらにお金を脅し取られてもらえないでしょうか? 脅し取られた金額は隊の方で補償するようにしますので。これ以上の被害を増やさない為にはもう一度だけ必要なんです。これは自治部隊第三部隊長エリオット・ガウディとしてのお願いです」
俺は頭を深く下げて商会主にお願いをしてみた。商会主は無言でじっと黙っている。俺が信用出来る人間なのかどうか、心のなかで葛藤中なのだろう。
「よろしいでしょう、あなたを信じましょう。第三部隊の隊長といえば、この街を襲った賊徒を撃退した主力部隊を率いた方ですし、賊徒の首領を討ち取ったこの街の英雄だ。その方が頭を下げて頼むのですからもう一度だけお金を脅し取られるのを引き受けましょう」
「俺を信じてくれてありがとうございます。協力して証拠を確固たるものにして犯人を捕まえましょう」
その後、俺は商会主さんと中年の男と一緒に細かい打ち合わせを行った。実はこの中年男は商会主の老人の息子だった。俺も二人は何となく似てるよなと思ってたんだ。それはそれとして、お互いに納得のいく話し合いが出来たので後はこの計画が上手くいくのを祈るだけだな。俺は商会に俺の住んでいる借家の場所を教えて今日のところは一旦家に帰る事にした。もちろん忘れないように備品の品物の買い付けもやっておいた。元々の用事の買い付けで俺が商会に金を払ってくれると知り、それも俺に対する信用に繋がったみたいだね。犯人逮捕に向けてこの計画は明日から本格的に始動させるつもりだ。
そして、俺は家に戻る道すがらある検証をしている。この検証の結果、どれくらいの効果があるのか判明すれば俺にとっても有意義だからな。検証の為にコルとマナは俺から少し離れてもらっているがちょっと意見を聞いてみよう。
『コル、マナ。おまえ達から見て道行く人の反応はどうだ?』
『はい、主様の事を誰も気に留めてません』
『エリオ様に気づいてないようですよ』
従魔からの客観的意見を聞く限りでは効果抜群のようだ。
この試みだが、俺との強い結びつきがある従魔に対しては効果がないみたいだ。
そりゃそうか、俺と心が絆で結びついている従魔だもんな。
そんな風に検証をしながら自分の住んでいる借家に到着すると、家の中から灯りが外に漏れている。たぶんリタかミリアムだろう。いや、もしかしたら二人ともいるのかもしれない。よし、ちょっと試してみよう。
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