魔王の右腕 ~平和に向けての巡り旅~

Amasylia

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龍の姫君

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今日は対人戦の訓練だ。
でもさっきからエリーゼさんの動きがおかしい。

ドクンッ

「あれ・・・?」

バタンッ

「ルーゼ先生、エリーゼさんが?!」
「はぁはぁっ・・・」

脈が早くなっている。身体強化の封印が解けかかっている?

『今まで努力しすぎた分反動が来るのは皮肉なものだな』
「精霊聖紋で抑えられないかな?」
『あれは勇者因子の使用を前提としたものだ。
エリーゼ用に再構成するには時間が足りない。
おっ?この力何処かから流れてきているな。
ルーゼちょっと身体を借りるぞ』
「わかった」
『極大魔力探知』

調べるのはこの地下深くから流れる力だ。
俺の予想が正しければ・・・

・・・

いた龍だ。
地王龍ガイアジクスに違いない。

『おい、そこにいる地王龍少し力を漏らしすぎじゃないのか?』
「うぬ?我を呼んだか?
久々の来客じゃのぅ
ふむ・・・ハイエルフに宿るもう一つの命といったところか興味深い」

こいつ一瞬で逆探知しやがった。
やはり龍は油断ならない。

「お主ら時空龍のお気に入りじゃろ?
我は基本生命の営みには手出しはしない。
人類が生きるか滅ぶかなど些細なことじゃ」

こいつ俺と似ているな。

『俺の近くにいる竜人族がお前の力が流れてきて苦しんでいる』
「ほぅ、我の力に同調できる竜人族がまだおったか。
・・・なんだ此奴は?
人間からの突然変異体だと?!
それなら納得だ。
竜人族は生まれながらにして我の加護を受けている。
それにより力を制御できるようになる」
『なるほどな加護がないから力を制御できなくなったって訳か』
「久々に動くか。我が直接出向き加護をくれてやろう」

ブツッ

やべぇ勝手に切りやがった。
今直接来るって言ったよな?!
人目につかないところに移動しないと不味い。

『今すぐエリーゼを連れて西の湖まで行くぞ』
「わかった。エリーゼさんもう少しの辛抱だよ」
「すみません・・・」

時間は既に夜だ。
湖の水面が夜空の星空を照らす。

ゴゴゴゴゴッ

「ルーゼ先生何か来ます?!」
「くれぐれも攻撃しないようにね」

ドーーーーーン

「フンッようやく出られたわい」

灰色の巨体に所々煌めく鱗が際立つ。
50mくらいあるだろうか?
大きな立派な角だ。あれで岩盤を掘り進んでいるのだろう。

「改めて名乗ろう。我は地王龍ガイアジクス」
「私はルーゼリア・ジュレイド
こっちはシヅキとうちのゼミ生だよ」
「さて竜人族の姫君加護を授けよう。
名は何という?」
「エリーゼ・リターシアです・・・」
「すまんが資格があるか記憶を見させてもらう」
「どうぞ」
「・・・なるほどな。
それとは別で頼みがある。
龍と竜人族は先の魔法核戦争で数が少なくなってしまったからな。
見つけたらどうか助けて導いてやってほしい。
不老不死になる代わりにもっと強力な加護を授けられるがどうする?」
「不老不死・・・」
「エリーゼさん、慎重に考えた方がいいよ。
不老不死になれば出会いはいくらでもあるけど当然別れもある。
パーティメンバーともいつか別れがくるよ?」
「・・・」
「我らは人にあまり干渉してはいけないのだ。
お主の人生を振り回すような形になってしまうが頼む」

地帝龍が頭を下げる。

「・・・わかりました。その申し出受けます」
ありがとう。地帝龍ガイアジクスの名においてエリーゼ・リターシアに加護を授けん。
精神を蝕んでいるジャックハイドの因子を取り除き我の因子を組み込んだ。
使いこなしてみせるといい」
「ありがとうございます」
「我は地底へ戻る。また会おう」

ドカーーーーーーン

地帝龍はすごい勢いで掘り進んでいき消えていった。

「身体が凄い軽くなって気がします」
「身体強化の封印が解けたみたいだね」

エリーゼさんは因子が変わったのか眼がアメジストのような色合いで落ち着いた。
身体強化の封印が解けたエリーゼさんは目まぐるしい成長を遂げた。
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