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初めての迷宮探索
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今日は迷宮攻略の付添人だ。
エリーゼさんは身体強化が使えるまでお留守番するそうだ。
学園で管理しているという迷宮にやってきた。
管理していると言ってもほとんど放置に近い。
理由としては労力に見合った旨味がないからである。
私も実戦の迷宮に潜って学ばせようとしたくらいだ。
でも3人には妙なこだわりがあった。
情報によると制覇の証に迷宮の指輪が貰えるらしい。
名誉や実績作りでチャレンジする貴族グループもいるようだ。
そこそこの学生レベルでは突破させてくれないみたいだけど。
「では迷宮攻略を始める。
今回、私は引率だけだから各自でトラップの探知、戦闘、資材の回収をするように」
「「「わかりました」」」
出てくるのはオークによくてオーガと雑魚ばかりだ。
しかも殆ど単体しか出てこないので味気ない。
3人は警戒を緩めず進んでいく。
「ありましたよ宝箱」
「罠の可能性もあります」
「慎重にいきましょう」
ガチャッ
「「「え・・・これだけ」」」
中身は銅貨3枚だけだった。
その後も10階層まで潜ったが散々な結果だった。
フロアボスはオークキングのみでジェネラルの取り巻きもされていなかった。
「「「・・・」」」
3人とも思ってたのとは違ったようだ。
既にオークキングを相手にしてたときには飽きたのか遠距離から魔法でなぶり殺しだ。
戦いにやる気を感じられない。
今日は晩御飯をみんなで食べることにした。
「やる気がないんならやめてもいいんだよ?」
「ルーゼ先生、迷宮ってこんな感じなんですか?」
「まぁ王道な迷宮だけど王道すぎるってところだね。
学生でも問題なく倒せるレベルにしたんだろうけど」
「私が行った迷宮はもっと凶悪でしたよ。
2重トラップに狭い迷宮通路、タイミングを見計らったかのように背後からの敵襲と至りつくせりです。
でも忘れてはいけませんよ。
冒険者は常に死と隣り合わせなんですから」
私達がそれを理解したのは少し経ってからだった。
今日も迷宮探索だ。
既に時刻は夕方、19層のフロアボスを倒した。
3人とも魔力に頼りきった戦闘でそろそろ終いにしようとしたときだった。
なんか背後から取り憑かれたような気がした。
「死ね、石化の邪眼」
「「「え?」」」
バキンッ
完全に背後からの奇襲だった。
(ルーゼ先生まって?!)
(私たちを置いていかないでルーゼ先生?!)
(私たちはルーゼ先生が必要なんです?!)
ルーゼは先へ進んでしまった。
(ルーゼ先生の様子おかしかった。
明らかに目が正気じゃなかった)
(殺気に満ち溢れてた。
絶対いつもの先生じゃない)
(迷宮にはソウルイーターという魂を侵す魔物がいると言ってました。
もしかしたらルーゼ先生は・・・)
(まずはこの石化を解かないと)
(完全石化は避けられたようです)
(心臓は動いています。外側さえ突破すれば抜けられるはずです)
(魔力はあまりないですね)
(精霊の力を借りましょう)
精霊聖紋が黒く輝き出す。
「ボクを呼んだー?」
地の精霊だ。
ご丁寧にハンマーを持っている。
(お願い。私達の石化を解除するのを手伝って欲しいの)
「叩けばいいの?」
(あまり痛くしないでね)
「じゃあいくよ。ガイアクラッシュ」
(((きゃーー?!)))
精霊は残念ながら加減というものを知らない。
やるかやらないかのどちらかである。
石像は壁に思いっきり打ちつけられる
バキン
「口の中がザラザラする・・・」
「うぅ・・・身体に響くけど動ける」
「ありがとう。精霊さん」
「またねー」
「ルーゼ先生が本気だったら完全石化して抜け出せないところだった」
「しかし手先が完全石化してますね。
でもこれくらいなら抜け出せそうです」
「もしかしてこの制服が守ってくれた?」
ともかく今は休むしかない。
もう魔力が残っていない。石化に抵抗して身体はクタクタだ。
フロアボスは倒したばかりだから私達がここにいる限り湧いてくることはない。
完全な安全地帯だ。
完全石化した手足を治療しながらこれからの作戦会議を行う。
「手はなんとか解除できましたけど足はまだ解除できなさそうですね。
魔力が底をついてしまいました」
「ルーぜ先生どこまで行ったんでしょう・・・」
「ルーゼ先生は操られてたとしても魔物に負けることはまずないでしょう」
「最下層まで行っている可能性が高いです」
「私達はルーゼ先生と戦えるのでしょうか」
「「「・・・」」」
「ルーゼ先生は私達の恩人、絶対助けないと\
「「「うん」」」
寝床を確保したところで3人は眠りに落ちていった。
「みんな起きて?!」
起きると下半身が石化していた。
それは徐々にせり上がってくる。
「石化が進行してる?!どうして?!」
「この石化ただの石化じゃなかったみたいです。
完全に治療しないと侵食されてしまうタイプのようです」
魔力は完全に回復していない。
治してもまた繰り返すだけだ。
すでに胸まで侵食されてしまっている。
助かるには誰かがこの石化から抜け出さないといけない。
他の2人の魔力を奪い犠牲にしてだ。
「ルミナス、あなたが元に戻るべきよ」
「私もそう思います」
「古代魔法と調合を使いこなせるあなたなら私達が石化しても解除薬を作れるはずです」
「でも?!」
「勇者リンクからあなたを一回切り離します。
石化に侵食される前にです」
「・・・わかったわ。
魔力を貰うね」
魔力を抜き取られた2人の身体は抵抗をなくし急速に石化していく。
バキンッ
アイリスとシェリアは完全石化してしまった。
今回は意識もだ・・・
私を助けるためにだ。
身体が石化する感触はない。
どうやら大丈夫みたいだ。
シヅキ先生は言っていた。
ルーゼ先生が暴走して完全石化した時は魂が戻ってくれば解除薬で元に戻れるって。
期限は3日が限度だろうと言っていた。
今ある手持ちの材料で急いで解除薬を作る。
これは訓練じゃない。2人の命がかかっているんだ。
調合から精製まで2日かかった。
「お願い2人とも戻ってきて」
解除薬を飲んで再リンクを試みる。
【勇者魂を再リンク】
繋がった。まだ2人は生きている。
でも2人ともかなり弱ってる。
「アイリス、シェリア私をひとりにしないでー?!」
「うっルミナス?」
「ここは・・・私達は石化に侵食されて」
「解除薬はできたよ2人とも戻ってきて?!」
(この感触は二度と味わいたくないな)
(これが本当の死の手前なんでしょうね)
「2人とも口に流し込んでいくからね」
バキンッ
「やっと動ける」
「正直今回はダメかと思ったよ
「ルミナスありがとうゆっくり休んで」
「ちょっと・・・眠らせてもらうね・・・」
スゥ・・・スゥ・・・
「私たちも一回休みましょうか」
「うん、すごく疲れた気がする」
エリーゼさんは身体強化が使えるまでお留守番するそうだ。
学園で管理しているという迷宮にやってきた。
管理していると言ってもほとんど放置に近い。
理由としては労力に見合った旨味がないからである。
私も実戦の迷宮に潜って学ばせようとしたくらいだ。
でも3人には妙なこだわりがあった。
情報によると制覇の証に迷宮の指輪が貰えるらしい。
名誉や実績作りでチャレンジする貴族グループもいるようだ。
そこそこの学生レベルでは突破させてくれないみたいだけど。
「では迷宮攻略を始める。
今回、私は引率だけだから各自でトラップの探知、戦闘、資材の回収をするように」
「「「わかりました」」」
出てくるのはオークによくてオーガと雑魚ばかりだ。
しかも殆ど単体しか出てこないので味気ない。
3人は警戒を緩めず進んでいく。
「ありましたよ宝箱」
「罠の可能性もあります」
「慎重にいきましょう」
ガチャッ
「「「え・・・これだけ」」」
中身は銅貨3枚だけだった。
その後も10階層まで潜ったが散々な結果だった。
フロアボスはオークキングのみでジェネラルの取り巻きもされていなかった。
「「「・・・」」」
3人とも思ってたのとは違ったようだ。
既にオークキングを相手にしてたときには飽きたのか遠距離から魔法でなぶり殺しだ。
戦いにやる気を感じられない。
今日は晩御飯をみんなで食べることにした。
「やる気がないんならやめてもいいんだよ?」
「ルーゼ先生、迷宮ってこんな感じなんですか?」
「まぁ王道な迷宮だけど王道すぎるってところだね。
学生でも問題なく倒せるレベルにしたんだろうけど」
「私が行った迷宮はもっと凶悪でしたよ。
2重トラップに狭い迷宮通路、タイミングを見計らったかのように背後からの敵襲と至りつくせりです。
でも忘れてはいけませんよ。
冒険者は常に死と隣り合わせなんですから」
私達がそれを理解したのは少し経ってからだった。
今日も迷宮探索だ。
既に時刻は夕方、19層のフロアボスを倒した。
3人とも魔力に頼りきった戦闘でそろそろ終いにしようとしたときだった。
なんか背後から取り憑かれたような気がした。
「死ね、石化の邪眼」
「「「え?」」」
バキンッ
完全に背後からの奇襲だった。
(ルーゼ先生まって?!)
(私たちを置いていかないでルーゼ先生?!)
(私たちはルーゼ先生が必要なんです?!)
ルーゼは先へ進んでしまった。
(ルーゼ先生の様子おかしかった。
明らかに目が正気じゃなかった)
(殺気に満ち溢れてた。
絶対いつもの先生じゃない)
(迷宮にはソウルイーターという魂を侵す魔物がいると言ってました。
もしかしたらルーゼ先生は・・・)
(まずはこの石化を解かないと)
(完全石化は避けられたようです)
(心臓は動いています。外側さえ突破すれば抜けられるはずです)
(魔力はあまりないですね)
(精霊の力を借りましょう)
精霊聖紋が黒く輝き出す。
「ボクを呼んだー?」
地の精霊だ。
ご丁寧にハンマーを持っている。
(お願い。私達の石化を解除するのを手伝って欲しいの)
「叩けばいいの?」
(あまり痛くしないでね)
「じゃあいくよ。ガイアクラッシュ」
(((きゃーー?!)))
精霊は残念ながら加減というものを知らない。
やるかやらないかのどちらかである。
石像は壁に思いっきり打ちつけられる
バキン
「口の中がザラザラする・・・」
「うぅ・・・身体に響くけど動ける」
「ありがとう。精霊さん」
「またねー」
「ルーゼ先生が本気だったら完全石化して抜け出せないところだった」
「しかし手先が完全石化してますね。
でもこれくらいなら抜け出せそうです」
「もしかしてこの制服が守ってくれた?」
ともかく今は休むしかない。
もう魔力が残っていない。石化に抵抗して身体はクタクタだ。
フロアボスは倒したばかりだから私達がここにいる限り湧いてくることはない。
完全な安全地帯だ。
完全石化した手足を治療しながらこれからの作戦会議を行う。
「手はなんとか解除できましたけど足はまだ解除できなさそうですね。
魔力が底をついてしまいました」
「ルーぜ先生どこまで行ったんでしょう・・・」
「ルーゼ先生は操られてたとしても魔物に負けることはまずないでしょう」
「最下層まで行っている可能性が高いです」
「私達はルーゼ先生と戦えるのでしょうか」
「「「・・・」」」
「ルーゼ先生は私達の恩人、絶対助けないと\
「「「うん」」」
寝床を確保したところで3人は眠りに落ちていった。
「みんな起きて?!」
起きると下半身が石化していた。
それは徐々にせり上がってくる。
「石化が進行してる?!どうして?!」
「この石化ただの石化じゃなかったみたいです。
完全に治療しないと侵食されてしまうタイプのようです」
魔力は完全に回復していない。
治してもまた繰り返すだけだ。
すでに胸まで侵食されてしまっている。
助かるには誰かがこの石化から抜け出さないといけない。
他の2人の魔力を奪い犠牲にしてだ。
「ルミナス、あなたが元に戻るべきよ」
「私もそう思います」
「古代魔法と調合を使いこなせるあなたなら私達が石化しても解除薬を作れるはずです」
「でも?!」
「勇者リンクからあなたを一回切り離します。
石化に侵食される前にです」
「・・・わかったわ。
魔力を貰うね」
魔力を抜き取られた2人の身体は抵抗をなくし急速に石化していく。
バキンッ
アイリスとシェリアは完全石化してしまった。
今回は意識もだ・・・
私を助けるためにだ。
身体が石化する感触はない。
どうやら大丈夫みたいだ。
シヅキ先生は言っていた。
ルーゼ先生が暴走して完全石化した時は魂が戻ってくれば解除薬で元に戻れるって。
期限は3日が限度だろうと言っていた。
今ある手持ちの材料で急いで解除薬を作る。
これは訓練じゃない。2人の命がかかっているんだ。
調合から精製まで2日かかった。
「お願い2人とも戻ってきて」
解除薬を飲んで再リンクを試みる。
【勇者魂を再リンク】
繋がった。まだ2人は生きている。
でも2人ともかなり弱ってる。
「アイリス、シェリア私をひとりにしないでー?!」
「うっルミナス?」
「ここは・・・私達は石化に侵食されて」
「解除薬はできたよ2人とも戻ってきて?!」
(この感触は二度と味わいたくないな)
(これが本当の死の手前なんでしょうね)
「2人とも口に流し込んでいくからね」
バキンッ
「やっと動ける」
「正直今回はダメかと思ったよ
「ルミナスありがとうゆっくり休んで」
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