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白金の剣と別れ

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しっかり休養を取った後、再びドルバの元にやってきた。

ドルバの執務室は古代の書物の山だった。

「おう、ルーゼにシヅキ待っていたぞ」
「すごい本の山だね」
「全て遺跡から出たものを俺が持ち出した。
この国の奴ら鍛治することしか頭がねぇから技術が進歩しないんだわ」
『古代の剣術に炉の作成方法か』
「お前さんのおかげで火山も鎮圧されたし採掘も無事再開して順調に金属の価格も落ちついてきている」

ドルバは一冊の本を取り出して来た。

「こいつなんだがな・・・」
『これはホワイトミスリルの製造方法だな。
ミスリルに光魔石を粉末にしたものを白銀と混ぜを指定した熱温度で1時間加熱するとできるらしい。
魔石次第によって色々と応用がききそうだ」
「早速作ってみるか」

カーン、カーン、カーン

「こいつがホワイトミスリルか?」
『光属性に特化したミスリルだな。強度もかなりありそうだ』
「早速組み込んでみるか。
その純ミスリル剣もガタが来てるだろう?」
「だいぶ使って来たからね。
思い出のある品だよ」
「せっかくだ。打ち直してやろう」
『ルーゼも成長して軽くなってきてたからな。
ちょうどいいだろう』
「じゃあお願いします」
「最高のものを作ってやるよ」


私の純ミスリル剣にホワイトミスリルと緋色金を3割混ぜた白金に輝く剣だ。
名前は白金剣ルミヴァシス
思い出が引き継がれた私の剣だ。

ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ

「精霊神紋も勝手に出てこない。
いい感じだね」

『メタルスライムの核はあるか?』
「一応素材としてならあるがどうするんだ?」
『ちょっとした思いつきだよ。
こいつは治療用に開発したミスリル繊維だ。
布のようだが魔力を込めると形状が固定される』
「ほぅ・・・防具にも使えそうだな」
『ルーゼの防具にもこれの応用がされているらしい。
こればかりは複雑すぎて解読できてないところがあるがな』

ミスリル、闇属性の魔石、黒銀、メタルスライムの核を錬金融合する

「こいつは黒いスライムか?」
『ダークミスリルマターとでもいうべきかな?
金属だがそいつは生きている。
従わせる必要がある』
「平和的にいければいいがな
ふむふむ・・・なるほどな」
『わかったか?』
「こいつは魔力をくれれば従うそうだ。
形を自在に変え戦えるらしい」
『じゃあやって見せてくれ』
「よし契約だな。力を見せてくれ」

黒い塊は剣の形に姿を変える。

「ふむ。なかなか良く切れそうだ。打ってないにしては良くできている」
『じゃあ次は鞭にしてみてくれ』
「鞭か・・・おろ?」
『形が安定しないな。
次は一番扱いやすいものを思い浮かべてくれ』
「ふむ・・・」
『ハンマーか』
「こいつは俺の相棒と全く形状も同じだな?
まるでそのまんまのようだ」
『なんとなくわかったぞ。
こいつは持ち主の魔力と周囲の魔力を使って維持しているんだ。
あとはイメージ力だな。
慣れ親しんだものはしっかりとした形になるがイメージ力が不足していると不安定になるといったところか?』
「なるほどな」
『術式も組み込めそうだな。
斬撃付与した魔石だ。
取り込ませてみろ』
「・・・食ったな」
『付与もされたみたいだな』
「恐ろしいものを生み出したな?!
変幻自在に武器に変化しそこらの魔剣よりも強くなるぞ?!」
『だが魔力消費が多いからな身体強化が苦手で魔力量が多いエルフなどには最適性だと思うがな』
「メリットばかりではないな」

文献を元に再現してみたがまだまだ発展予知がありそうだ。
他にも薬草調合に魔法核爆発の実験記録もあったので改竄しておいた。
今の時代に必要ないからだ。




「お前さん次はどこいくんだ?」
「うーんとあっちの方向」
「あっちといえばルクセリナ中立国か?」
「そこに友達の子孫がいるらしいの」
「依頼があればどこへだって行ってやる」
「その時は頼むよ。
じゃあいくね」
『世話になったな』
「おぅ達者でな」
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