魔王の右腕 ~平和に向けての巡り旅~

Amasylia

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種族進化

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堕天使族の反乱はひとまず収束した。

惨めな姿で完全に固まったイリーナを見せびらかして堕天使族の村に来た。
イリーナの公開処刑で村は既にお通夜ムードだ。

『族長よ。話を聞く気になったか?』
「イリーナが死んでしまった。我らの負けだ、降伏する・・・」
『ルーゼが王に報告する段取りを取り付けている。
外務大臣を追い詰める証拠も用意してる』
「おぉ?!イリーナの犠牲は無駄ではなかったのか・・・」
『それにこいつはまだ生きている』
「「「なに?!」」」
『ルーゼ、イリーナの軽く顔を炙ってやれ』

「火よファイアボール」

「がはぁ?!
うぅ・・・?!ここは?」
「イリーナ生きていたのか?!」
「お爺様?
うーん・・・身体は動きませんが生きてるみたい・・・です?」
『翼もしっかり洗ってやれば使えるはずだ』
「だが翼が使えないんじゃなかったのか?!」
『あれはハッタリだよ。
お前たちの象徴であるイリーナが負ければ流石に降伏するだろう?
最初から正面から戦おうとは思わないさ』

するとイリーナの緊張が解けてしまった。

「うぇーん。怖かったよぅ?!
全然身体がうごかないんですけど?!
早くもとに戻してくださーい?!
うわーーーーーーん」

イリーナが大泣きしてしまった。
心はまだまだ子供だった。


「手足の感覚がないです・・・」

イリーナは蝋の浸食が進みすぎて手足が変質してしまい戻すのに苦労することになる。
数日かけて身体はどうにかなったが翼の手入れが大変だった。
イリーナの場合、長時間蝋の霧で戦ったことと身体強化が全開の状態で固まってしまったことにある。
羽根の根元まで蝋が入り込んでしまいなかなか取れなかった。
まだ終わっていないが洗いまくった結果見事に脱色されてしまった。見た目だけなら天使族である。

「羽が白くなって戻れないんですけどどうにかなりませんか?」
『お前が身体強化を全開にした状態で固まってしまったから羽に魔力供給がストップしてしまい白く色が抜けてしまったんだろう』
「・・・それ戻れるんですか?」
『身体に蝋が染み込みすぎて魔力が変質してしまっている。
身体強化は周囲の魔力を取り込んで強化するからな』
「まさか私ずっとこのままなんですか?!」
『いま羽根の蝋を洗い流している。恨むんなら身体強化を全力にして後先考えなかった自分を恨むんだな』
「そんなー?!」

私の魔力で身体を温めて温泉に浸からせて羽をブラッシングしてあげた。
まったく手間のかかる子だ。
そういえば私人間嫌いだったけど普通に触っても平気だ。
堕天使族だからかな?
それとも蝋化してるからかな?

数日後、ルーゼの魔力で身体中温めてやると変化が起こった。

「あれれ?力が溢れてくる?!」

イリーナが光に包まれる

『これは種族進化か?』
「種族進化?」
『世界樹の文献で見たことがある。
一定以上特殊な魔力が体内に蓄積すると生き物は進化するらしい。
魔王は昔この力を使って部下を強化し他国を圧倒していたらしい。
・・・俺を召喚するのに犠牲にしたらしいがな』
「そうなんだ」
『今でもその力を犠牲にしてまで呼んでよかったのかと思ってる』
「そんなことないよ。周りが強くなればそれをまとめる人が必要だから呼んだんだよ」
『そうだな・・・そう思いたいな』

「ふぁああ・・・」

イリーナの進化が完了し漆黒の翼が4対に増え天輪が黒く輝く。
髪は銀髪へ変色し眼が紅く輝く。

『神羅堕天使族に分岐進化したな。
おめでとう。戦闘時の魔力波長を記憶しておいてよかったな』
「さすがシヅキ」
「これが私?身体が軽い?!」
『存在が丸々変わったようなものだからな』
「私を連れて飛んでみてよ?」
「今なら行けそうな気がします」

天空を舞う。

「どうですかルーゼさん?」
「気持ちがいいね。世界はこんなにも輝いている」
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