魔王の右腕 ~平和に向けての巡り旅~

Amasylia

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小高い丘の上で

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次の日俺たちは移動することにした。
ルーゼは白のワンピースに耳を少しでも誤魔化せるよう麦わら帽子を被った。
東京駅まで来ていた。

「昨日も気になったけどあの長い建物って何?」
『あれはビルだ。日本は土地が狭いから建物を高くしてスペースを確保しているんだ』
「へーそうなんだ。」
『さて東京駅で新幹線に乗るぞ』
「新幹線?」
『時速320kmまで出せる人を運ぶ乗り物だ。
馬車なんかよりずっと速い』
「そういえばこの街精霊がほとんどいなかった」
『自然と言えるものは郊外に行かないとないからな。
行き過ぎた文明というやつだ』
「へー」

新幹線に乗って名古屋に向かっている。
岐阜に両親と兄さんの墓があるので墓参りをするためだ。

「すごい速さで景色が切り替わっていく。
あの山は何?」
『あれは富士山だ。日本一高い山だ』
「綺麗な山ね」

ちょうど時間はお昼時だ。

『駅弁を買ってきたんだったな』
「この木の棒は何?」
『こいつは割り箸だ。日本人はこれを使って食べるんだ。
そういえばルーゼはスプーンとフォークだったな。
そっちの方がいいか?』
「ううん。使い方教えて」

ルーゼは左手で器用に箸を掴んでみせた。
さすがである。

ルーゼは満足したのかウトウトしだす。

『到着までもう少しかかるから今のうちに寝てるといい』
「スゥ・・・スゥ・・・」

名古屋で新幹線を降りたあと電車を乗り継いで岐阜のとある山林の田舎にきた。

『懐かしいな。この雰囲気は変わってないな』
「森の精霊が満ちてて良い感じだね」
『早いとこ墓参りを済ませて遊びに行こうか?』

小高い丘に墓は残っていた。
もう誰もきてないようで樹木が鬱蒼としていた。

「私が手入れしてあげる」
「切り裂けスラッシュストーム」
「整地しないとね。ガイアコントロール」
「洗い流せ。ウォッシュストリーム」
「花よ咲き乱れ。エンゲージガーデン」

『おぉ・・・』

丘一面に花畑が咲き誇る。

「シヅキのお父様、お母様、お兄様、今私にできるのはこのくらいです。どうか安らかに・・・」
『花を手向ける手間が省けたな。ありがとうルーゼ』


今日は岐阜の高級宿で晩御飯だ。

飛騨牛のミディアムステーキと鮎の塩焼きだ。

「このお肉すごい美味しいよ。
このお魚も海で食べた魚よりもずっと美味しいよ」
『岐阜の名産だからな。昔と全然変わっていないな』

ルーゼは遺伝子改造の影響なのかかなり食べるようになった。
本人は気にしていないからいいが元々を見ていた俺としては少し心配になってくる。

『デザートも用意しているぞ』
「待ってました」
『モンブランだ』
「これもカフェで食べてみたかったんだよね。さすがシヅキ」
(お前がジーッと見ながら渋々苺のショートケーキにしたのを見ていたからな)
「栗とこの甘味が美味しいよ」
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