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水攻め
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計画を実行に移す時が来た。
ダムを爆破して下流に一気に水を流し込む。
補給基地は崩壊し地下通路は水浸し、そして要塞は孤立する。
あとは敵を籠城戦に持ち込ませ自滅させるだけだ。
アイク騎士団には要塞の近くで終夜問わず酒と食料を振る舞い大騒ぎさせた。
「攻めないのか?
これでは立て直されるんじゃないか?」
『いや、精神的に追い詰めているのだよ』
『例えばそうだな。
隣の家に偉い奴がいて毎晩ドンちゃん騒ぎする。
全然眠れない状況だ。お前はどうする?』
「我慢するしかあるまい・・・」
『自分は固いパンなのに隣の家は毎日豪勢な食事だったとする。どう思う?』
「・・・」
『当然羨ましいと思うよな?』
「・・・まさか?!」
『まさにこの状況なんだよ』
毎日に退屈しないよう騎士団のメンタル管理はしっかり忘れない。
純ミスリル武器を配布し士気を高める。
時には気分転換にチェスやカードで遊ばせる。
たまには歌を歌い喜ばせる。
ルーゼもすっかり人気者だ。
ここ最近、要塞の兵士たちがずっと羨ましそうにこちらを眺めてくる。
例え食料があっても水がなければ人間は生きていけない。
非常食は乾燥して硬いし保存を効かせるために塩っけのものが多い。
口の水分を容赦なく奪っていく。
隣の家の芝生は青く見える。まさにこの状態である。
そんな状況が一か月も続いた。
「全面降伏する・・・
お願いだ、水と食料を分けてくれ?!頼む我らを寝させてくれ?!」
『完全なる降伏だ。思ったより早かったな』
「まさか我らが落とせなかった鉄壁要塞を無傷で落としきるとは・・・」
兵士たちは疲労困憊だ。
『約束通り食料を配布してやれ』
「いいのか?裏切るかもしれんぞ?」
『一度心が折られたものはちょっと優しくしてやればすぐ信用する。
ルーゼ一芝居してやれ。お前が労いの言葉をかけてやれば全員イチコロだ』
「大丈夫ですか?
暖かいシチューですよ?」
「おぉ・・・ありがとう」
「傷を治してあげますよ。
癒しをヒール」
「うぅ・・・感謝します女神様」
要塞を守っていた兵士は見事に全員落ちた。
ルーゼを女神と崇めるものまでいた。
真実に少しの嘘を紛れ込ませる。
最初に信じ込ませばあとはどうとでもなる。
『実はキルナンド帝国の皇帝がお前たちを売ったんだ。
自分の私欲のためにな』
「「「「「なんだって?!」」」」」
「お前たちは必死に頑張っているのに皇帝は毎日贅沢三昧だ。
わがまま王女の洋服のためというくだらない理由でお前たちは見捨てられた」
「「「・・・」」」
『お前たちにも家族がいるだろう?
おかしいとは思わないか?』
「絶対おかしい・・・」
「何故俺たちがこんな目に・・・」
『正義はお前達にある。
民衆は傷つけず帝国を滅ぼせ。
真の敵はキルナンド帝国の皇帝だ』
「「おーーーーーーーーーー?!」」」
「憎き皇帝をぶっ殺すぞ」
「全軍帝都に突撃せよっ」
「「「蹂躙せよ。蹂躙せよ。蹂躙せよ」」」
「・・・あれがとても全面降伏していた兵士とは思えんな」
『憎しみや怒りは生きる活力になるからな。
今頃帝都は誤情報で大混乱だろう。
これで帝国は終わりだな』
ダムを爆破して下流に一気に水を流し込む。
補給基地は崩壊し地下通路は水浸し、そして要塞は孤立する。
あとは敵を籠城戦に持ち込ませ自滅させるだけだ。
アイク騎士団には要塞の近くで終夜問わず酒と食料を振る舞い大騒ぎさせた。
「攻めないのか?
これでは立て直されるんじゃないか?」
『いや、精神的に追い詰めているのだよ』
『例えばそうだな。
隣の家に偉い奴がいて毎晩ドンちゃん騒ぎする。
全然眠れない状況だ。お前はどうする?』
「我慢するしかあるまい・・・」
『自分は固いパンなのに隣の家は毎日豪勢な食事だったとする。どう思う?』
「・・・」
『当然羨ましいと思うよな?』
「・・・まさか?!」
『まさにこの状況なんだよ』
毎日に退屈しないよう騎士団のメンタル管理はしっかり忘れない。
純ミスリル武器を配布し士気を高める。
時には気分転換にチェスやカードで遊ばせる。
たまには歌を歌い喜ばせる。
ルーゼもすっかり人気者だ。
ここ最近、要塞の兵士たちがずっと羨ましそうにこちらを眺めてくる。
例え食料があっても水がなければ人間は生きていけない。
非常食は乾燥して硬いし保存を効かせるために塩っけのものが多い。
口の水分を容赦なく奪っていく。
隣の家の芝生は青く見える。まさにこの状態である。
そんな状況が一か月も続いた。
「全面降伏する・・・
お願いだ、水と食料を分けてくれ?!頼む我らを寝させてくれ?!」
『完全なる降伏だ。思ったより早かったな』
「まさか我らが落とせなかった鉄壁要塞を無傷で落としきるとは・・・」
兵士たちは疲労困憊だ。
『約束通り食料を配布してやれ』
「いいのか?裏切るかもしれんぞ?」
『一度心が折られたものはちょっと優しくしてやればすぐ信用する。
ルーゼ一芝居してやれ。お前が労いの言葉をかけてやれば全員イチコロだ』
「大丈夫ですか?
暖かいシチューですよ?」
「おぉ・・・ありがとう」
「傷を治してあげますよ。
癒しをヒール」
「うぅ・・・感謝します女神様」
要塞を守っていた兵士は見事に全員落ちた。
ルーゼを女神と崇めるものまでいた。
真実に少しの嘘を紛れ込ませる。
最初に信じ込ませばあとはどうとでもなる。
『実はキルナンド帝国の皇帝がお前たちを売ったんだ。
自分の私欲のためにな』
「「「「「なんだって?!」」」」」
「お前たちは必死に頑張っているのに皇帝は毎日贅沢三昧だ。
わがまま王女の洋服のためというくだらない理由でお前たちは見捨てられた」
「「「・・・」」」
『お前たちにも家族がいるだろう?
おかしいとは思わないか?』
「絶対おかしい・・・」
「何故俺たちがこんな目に・・・」
『正義はお前達にある。
民衆は傷つけず帝国を滅ぼせ。
真の敵はキルナンド帝国の皇帝だ』
「「おーーーーーーーーーー?!」」」
「憎き皇帝をぶっ殺すぞ」
「全軍帝都に突撃せよっ」
「「「蹂躙せよ。蹂躙せよ。蹂躙せよ」」」
「・・・あれがとても全面降伏していた兵士とは思えんな」
『憎しみや怒りは生きる活力になるからな。
今頃帝都は誤情報で大混乱だろう。
これで帝国は終わりだな』
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