魔王の右腕 ~平和に向けての巡り旅~

Amasylia

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次なる一手

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まだ夜中だ。焚き火に薪を追加しながら持ち帰った資料を読み漁っていた。

勇者のやつ魔王を倒して10年くらいで自殺したらしい。
そりゃあそうだ。魔王の国に行ったらみんな笑顔で出迎えてくれる環境なんていくらなんでもおかしいと思うはずだ。
四天王が証言していた?あいつら勇者に勝手にチクリやがったな?
実は世界平和を願っていた魔王を討ってしまったことに責任を感じていたらしい。

『お人好しどもが、お前達はとことん俺の計画を破壊してくれるよな』



当然人類から導き手がいなくなれば国は荒れていく。
隣国が魔王の国に攻め込もうとしたらしいが既にもぬけの殻だったという。
それは俺が開発した魔導星間宇宙船に避難して旅立ったからであろう。
地上から天に昇る光が見えたという多数の目撃情報に一致する。
奥の手が使われてるとは思わなかったがな。

『保険をかけといて正解だったな。人類はどこまでも愚かだ』



共通の敵がいなくなり勇者もいなくなった。
いよいよ国同士のお互いの疑心暗鬼も最高潮になりついに魔法核戦争が発生する。
周囲の魔力を吸い尽くし至る所で大爆発だ。誘爆が誘爆がを呼び僅か10年で全ての文明が滅んだ。魔力損失状態の環境下でなんとか生き残った少数の人々がなんとか歴史をつなげた。だがかつてのような文明の再現まではいけなかったようだ

人々が疲弊している中、7体の龍が現れ荒廃した大地を自然に戻したらしい。
それ以降龍の目撃情報はないようだ。

1000年の時が経ちいつからか魔王の城のようなものは超文明の古代遺跡と呼ばれそこから産出する魔道具は高価で取引されてるらしい。
まさか俺が作った対人類欠陥魔道具流れてないだろうな・・・?

他にも目を通しておく必要はあるが大まかにはわかった。



各国の状況は気になるが世界樹はこの世界の要だ。失うわけにはいかない。
最初の目的地が決まったな。

太陽が登る。朝日が周囲を照らし出す。
もうこんな時間か。改めてこの世界に来て良かったと思う。

「うーん?シヅキおはよう」
『おはよう。ルーゼ』

異空間倉庫からパンとシチューを取り出す。

「固いパンじゃない?!美味しい」
『ルーゼ、次の目的地は世界樹にするぞ』
「世界樹?」
『とても大きな木だ。そこに知り合いが助けを求めている』
「そうなの?」
『目標は余裕を見て5年だ。修行の旅を続けながら向かう。
しっかりついてこいよ』
「うん。わかった」





ガキィン、ガキィン、ガキィン

今日は剣の稽古だ。
俺が生み出したルーゼの影で相手をしていた。

『戦いとはニ手三手先を読むことだ。積み重ねが敵を追い詰める。このようにな』

ガキィン

耐えきれなくなったルーゼの剣が弾き飛ばされる。

「あぁ?!」
『まだ詰めが甘いな。だが今回は58手目だ。前回の31手よりだいぶ進歩したではないか』

精霊魔法はエルフが子に代々継承していくらしい。
ルーゼの場合は母親が亡くなってしまい継承が途絶えてしまったようだ。
俺も知らない力は流石に教えることができない。
また世界樹の精霊に聞くことが増えてしまった。
あいつ何考えてるか読めないから極力借りは作りたくないんだよな。



SIDE ルーゼリア・シュレイド

薬草採取をしている途中森の奥に踏み込んでしまいブラックフェンリルに追われていた。
左目を負傷し右腕を喰われた。

追い詰められた時、誰かに助けられる。
声をかけられる。
救いを求め私は生きたいと願った。

治療というが激痛に襲われて暴れてしまった。
気に食わなかったのか心臓を何かに貫かれる。
声に出せないほどの一瞬の出来事だった。
得体の知れないものに身体を侵食され固まっていく。
また裏切られるのかと思った。
身体は完全に固まってしまい動かない。心臓が止まってる。
私死んじゃった?すると声が聞こえてきた。
三分耐えてくれと言われた。
最後くらい信じてみようと思った。

いつのまにか戻っていたが呼吸が止まってしまっていた。するとお腹を殴られた。
止まっていた心臓が動き出す。
光が差し込む。眩しい?!
生きている?
右腕の感覚がある。目が見える。
失った私の右腕の代わりにあったのは綺麗な白銀色に輝く右腕だった。
何とその右腕が喋った。
さっき私を助けてくれた人?の声だった。

鏡を見せてもらったが左目がどこまでも深く黒い不思議な力を感じる眼だった。
なんとシヅキは1000年前から来たらしい。
私はこの時代のわかるだけのことを教えてあげた。
旅をしながら私を鍛えてくれるらしい。

シヅキは私に名前と光をくれた。
ルーゼリア・シュレイド
愛称としてルーゼ。それが今の私。
私の初めての友達。

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