魔王の右腕 ~平和に向けての巡り旅~

Amasylia

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【1章】最強の軍師

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俺は海堂熾月16歳
これまで最年少で難関大学を飛び級卒業し、人類未到のクイズ大会で優勝し宇宙力学を解明した。
お金もあるが近寄ってくるのは欲望に塗れた大人だった。動きと仕草で手にとるようにわかる。
いっそ宇宙船作って飛び出そうか?
地球では飽き飽きしていたところだった。
そんな俺だが三国志や戦国時代や古代ローマの戦略を用いた偉人には敬意を評した。
俺もこんな時代ではなく乱世に生まれていればと思ってしまった。

ある日のことだった俺はこの世界の魔王ゼリナスに呼び出された。
軍師になって欲しいとのことだった。


不満はなかった。むしろ好奇だと思ってしまった。
何故か魔王の右腕になっていたことを除いてはな

『なんじゃこりゃ?!』
「すまん。転移させたら肉体がバラバラになってしまってな、使えるのが右腕と眼ぐらいだったものでワシが作った」

『・・・どうせ地球には未練がなかったんだ。いいさ』
「ワシの腕は分離可能だから好きに動くといい」

魔王とはいうが話してみれば面白いやつだった。
魔物を統治することができるだけで人間とは構造がほとんど変わらないらしい。
俺の思い描いていたフェンリルはただのダメ犬化していた。
だが周辺諸国は魔物を悪と捉える。自分を正当化したくて仕方がないんだろう。ご苦労なこった。
まずはこの世界の知識を知りたかった。
魔王に世界樹の精霊ユグドラシェルを紹介してもらった。
迷宮内はどこまでも続く本の山だった。
俺にとっては宝の山のように見えた。
取引の報酬として魔王に迷宮核のメンテナンスをやってもらった。

月日が経ちこの世界での知識と力を得た。
魔法も全てマスターした。
地球での知識とこの世界の魔法知識の融合だ。
戦略は無限大だ。

魔王の右腕となった俺は早速周辺諸国諸国へ策略を巡らせ大混乱に陥れた。
死人を極力出さず敵の戦う気力を奈落の底に突き落とす嫌がらせに等しい害悪戦略だ。




「人の不幸を見るのは実に気持ちがいいぞい」

とあるアニメの迷言だが今ならわかる気がする。この言葉の重さが実に面白い。

既に近隣諸国はガタガタだ。あとは平和協定を結ばせれば終了だ。そう思っていた。

だがある日初めての敗北を味わった。相手は勇者だという。
これが敗北?
燃えてきた。盤上をひっくり返す圧倒的な力、自分の全力を試したくなった。

各国は勇者の名の下に一致団結し結束を強めていった。

俺たちはまた少しづつ押され始めていた。




とうとう勇者の精鋭が魔王の城に攻めてきた。
罠は仕掛けずそのまま王座の間まで通した。



「魔王ゼリナス覚悟しろ」
「きたか勇者オルゼアよ、一騎討ちを所望する」
「いいだろう」
「魔王様?!」
「お前たちは決して手を出すなよ?
これは命令だ」

勇者と魔王の戦いは死闘を極めた。

ガキィン、ガキィン、ガキィン

ザクッ

「ぐっ・・・勇者よ見事なり。だが忘れるな人の結束は脆い・・・」
「魔王を討ち取ったぞ。我々勝利だ」

「「「おーーーーーーーーーーーーー」」」



【城の隠し部屋】

「フハハ・・・。勇者め、まんまと嵌まりおったわ」

魔王は勇者と死闘を演じるために一騎討ちに撃って出た。
やられそうになったところで俺が視界を奪い創造で作ったダミー魔王を勇者に討ち取たせた。
魔王のやつ既にボロボロだ。

「熾月よ。作戦はうまくいったか?」
『あぁ。策は練った、これで人類は勇者の名の下に一つになる。
勇者がいない間に周辺諸国の腐ってる部分は始末した。
あとはどうにかなるだろう』

「此度の働き大義であった。
お前に報酬をやってなかったな。頼みでもあるんだが100年後にまた転生してもらえぬか?」
『俺に世界を見てこいってことだな?
いいぜ、どうせ肉体はこんなんだしな』
「平和な世の中であることを願う。
もし戦乱の世になっていれば正してやってほしい」
『あぁ。わかった』
「この城の地下にお前のゴーレムが守っている宝物庫がある。好きに持ってくといい」
「あとは任せた我が友、魔王軍最高の軍師よ」
『あぁ。俺を呼んでくれてありがとな魔王。感謝してるよ』
「では行くぞ。
ワシの生命力、血肉全てを生贄に転生の儀を行う。対象は我が友、海堂熾月だ」

魔法陣が展開され光の彼方へ消える
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