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秘密
隠し通す
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「松木せんせー!おはようございまーす!」
「はい、おはよう。廊下は走らないでね。」
友樹さんの家に泊まってから2日、月曜日になり学校が始まった。
「松木先生。おはようございます。」
「あ、鈴村くんおはよう。」
あの日しっかりと話し合い、完全に隠し通すことに決まった。…決まったと言ってもバレると友樹さんは捕まるからそれしか選択肢がなかったけど。
楓が告白してきた日に横槍を入れてきてから薄々気づいてはいたが、この人は嘘をつくのがとても上手い。
そして交際したことで余裕が生まれたのか、この様子だと以前とは違い不用意に近づいてこなくなるだろう。
「あ、鈴村くん、今日の放課後ちょっと理科準備室に来てもらってもいいかな?」
「え、…あ、はい。分かりました。」
嘘だ。俺はそんなことに心当たりはない。
不用意に近づいてこないなんて言ったが、前言撤回。やはり松木は松木のようだ。
”キーンコーンカーンコーン”
放課後のチャイムが鳴り、俺の前には友樹さんがいる。
「…どうも、松木先生。」
「………俊平、突然ごめんね」
下の名前で呼ばれたことで、もうここには誰も来ない、2人きりの状況だと分かる。
「いえ……友樹さん。」
なんだろう。気まずい。嫌だな、この空気感。
「えっとさ、俊平、今度一緒に映画観に行かない?」
「…え?」
あまりの気まずさに別れを告げられると僅かながら感じていたため、思いもよらぬ提案に気が抜ける。
「いや、その、知り合いにチケット貰って、行くとしたら俊平としかないなーって、、、なんかごめんね…」
俺の声が不機嫌に聞こえたんだろう。ビクビクしながら謝ってくる。…ほんとに丸くなったな。
俺によってこの人の性格がこんなにも変わったことが嬉しくて、面白くて、僅かな笑みがこぼれる。
「ふふっ……謝らないでくださいよ。何も悪くないんですから。で、いつにします?」
「え、何が?」
「映画。」
「え、一緒に行ってくれるの?」
「当たり前でしょ、……つ、付き合ってんだから。」
改めて言うのはやっぱり恥ずいな。友樹さんはこんなのを何度もやってのけたのか。…なんか尊敬。
"ガラガラガラー"
「橘せんせーい……あれ、俊平、松木先生も、どうしたんですか?」
突然扉が開き、楓が姿を現す。化学の橘先生への用事だった様だ。
バレたか?
そんな考えが頭をよぎる。
「おぉ秋元さん、橘先生は今いないね。職員室の方だと思うよ。僕は今鈴村くんに授業のことで色々ね。」
「分かりました。ありがとうございます!俊平!松木先生にあんま迷惑かけるんじゃないよ!」
"ガラガラガラッ"
「かけてねーっつーの!」
…いつも通り嵐だな。まぁ俺達の緊張を解してくれたから感謝だけど。というか相変わらず友樹さんのとっさの判断力本当に凄いな。
「……ごめんねしゅ…鈴村くん。人来ないと思ったんだけどな」
再び距離が離される。まぁ人来たしな。
でも…
「……友樹さん 、俺、こんなギクシャクしたくないです。」
「まっ…す、鈴村くん人来たら…!」
「友樹さんのすごいアドリブ力で何とかなります。」
「え…?」
「さっきも以前も真っ赤な嘘がスラスラと…それなら余裕でしょ…?」
ダメだ。素直に褒めたり頼んだりできない。
「うん…そんなに言うなら大丈夫かな、俊平♪」
友樹さんには俺の一歩前進した気持ちが伝わったようで、優しい声の、いつもの呼び方に戻る。
…心做しか、テンションが上がりすぎている気がするけど…
「嬉しいなー!俊平から僕を求めてくれて!」
「…は?も、もと、める…?」
「はい、おはよう。廊下は走らないでね。」
友樹さんの家に泊まってから2日、月曜日になり学校が始まった。
「松木先生。おはようございます。」
「あ、鈴村くんおはよう。」
あの日しっかりと話し合い、完全に隠し通すことに決まった。…決まったと言ってもバレると友樹さんは捕まるからそれしか選択肢がなかったけど。
楓が告白してきた日に横槍を入れてきてから薄々気づいてはいたが、この人は嘘をつくのがとても上手い。
そして交際したことで余裕が生まれたのか、この様子だと以前とは違い不用意に近づいてこなくなるだろう。
「あ、鈴村くん、今日の放課後ちょっと理科準備室に来てもらってもいいかな?」
「え、…あ、はい。分かりました。」
嘘だ。俺はそんなことに心当たりはない。
不用意に近づいてこないなんて言ったが、前言撤回。やはり松木は松木のようだ。
”キーンコーンカーンコーン”
放課後のチャイムが鳴り、俺の前には友樹さんがいる。
「…どうも、松木先生。」
「………俊平、突然ごめんね」
下の名前で呼ばれたことで、もうここには誰も来ない、2人きりの状況だと分かる。
「いえ……友樹さん。」
なんだろう。気まずい。嫌だな、この空気感。
「えっとさ、俊平、今度一緒に映画観に行かない?」
「…え?」
あまりの気まずさに別れを告げられると僅かながら感じていたため、思いもよらぬ提案に気が抜ける。
「いや、その、知り合いにチケット貰って、行くとしたら俊平としかないなーって、、、なんかごめんね…」
俺の声が不機嫌に聞こえたんだろう。ビクビクしながら謝ってくる。…ほんとに丸くなったな。
俺によってこの人の性格がこんなにも変わったことが嬉しくて、面白くて、僅かな笑みがこぼれる。
「ふふっ……謝らないでくださいよ。何も悪くないんですから。で、いつにします?」
「え、何が?」
「映画。」
「え、一緒に行ってくれるの?」
「当たり前でしょ、……つ、付き合ってんだから。」
改めて言うのはやっぱり恥ずいな。友樹さんはこんなのを何度もやってのけたのか。…なんか尊敬。
"ガラガラガラー"
「橘せんせーい……あれ、俊平、松木先生も、どうしたんですか?」
突然扉が開き、楓が姿を現す。化学の橘先生への用事だった様だ。
バレたか?
そんな考えが頭をよぎる。
「おぉ秋元さん、橘先生は今いないね。職員室の方だと思うよ。僕は今鈴村くんに授業のことで色々ね。」
「分かりました。ありがとうございます!俊平!松木先生にあんま迷惑かけるんじゃないよ!」
"ガラガラガラッ"
「かけてねーっつーの!」
…いつも通り嵐だな。まぁ俺達の緊張を解してくれたから感謝だけど。というか相変わらず友樹さんのとっさの判断力本当に凄いな。
「……ごめんねしゅ…鈴村くん。人来ないと思ったんだけどな」
再び距離が離される。まぁ人来たしな。
でも…
「……友樹さん 、俺、こんなギクシャクしたくないです。」
「まっ…す、鈴村くん人来たら…!」
「友樹さんのすごいアドリブ力で何とかなります。」
「え…?」
「さっきも以前も真っ赤な嘘がスラスラと…それなら余裕でしょ…?」
ダメだ。素直に褒めたり頼んだりできない。
「うん…そんなに言うなら大丈夫かな、俊平♪」
友樹さんには俺の一歩前進した気持ちが伝わったようで、優しい声の、いつもの呼び方に戻る。
…心做しか、テンションが上がりすぎている気がするけど…
「嬉しいなー!俊平から僕を求めてくれて!」
「…は?も、もと、める…?」
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「和合」は「結ばれる」みたいな意味です!手が空いたら少しづつ書いてます。日本語や表現おかしい所あったらごめんなさい💦結構前に投稿した話でも、ちまちま直してるので繰り返し読んでも面白い…かも、感想などあったら気軽にコメントしてください!まだ1件も来てないのでとても励みになります!
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