カーテンの隙間から

Luna

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行動

信じられない。

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「……は?」

理科準備室に1人取り残された。
理解が追いつかない。
顔の熱が冷めていくのを感じる。

…あいつの顔は、確かに赤くなっていた。

じゃあなんで立ち去ったんだ?

俺の中で思考が巡る。
あいつの行動は本当に訳が分からない。

……フラれたってことだよな。
逃がしてやらないとは言ったが、さすがにフラれてからも付きまとうほどメンタルは強くない。

……やっと自覚したのに、もう諦めなきゃならないのか。

”バンッ!!”

「うわっっ!」

突如聞こえた大きな音に思わず声が出る。

「はぁ、、はぁ、、」

勢いよく開けられたドアの所には、息を切らした松木がいた。

「先生、なんで……」

さっき立ち去ったはずの人物がいる事に驚きを隠せない。

「はぁ、、ふぅ。……ごめんね、逃げちゃって。」

松木は息を整えて謝罪の言葉を口にした。

「はぁ、、 それで、なんで戻ってきたんですか?」

動揺しつつも冷静に答える。

「うん。誤解させちゃいけないと思ってね。」

「誤解…?」

「うん。……えっっと………」

…………無言の時が流れる。なんなんだよ。
真剣な顔をしているから静かに話を聞こうと思ったのに、いつまで経っても声を発しない。

「……あの、なんですか?」

さすがに我慢できなくなって口を挟んだ。

「…あ
、、ごめん。」

松木はハッとして俺の事を真剣な眼差しで見つめる。

「鈴村くん、さっきは逃げてごめん。君が僕のことを好きって言ってくれて嬉しかった、…嬉しすぎて、逃げちゃったんだ。」

「………は?」

嬉しすぎて、逃げる…?どういうことだ?

「僕の気持ちは変わらない。鈴村くんのこと、ずっと好きだよ。」

突然告げられた言葉に思わず立ち尽くす。

「……えっ…と、つまり…?」

思考が追いつかない。

「僕ね、君にあんなことして、大人気ないとこ見せて、もう諦めなきゃなーって思ってたんだ。だから避けてた。我慢できなくなりそうで。」

こいつ、そんなこと考えてたのか。

「でも、鈴村くん、さっき告白してくれたよね。これで両思いだ。何も気にする事はないよね。」

…さっきの奥ゆかしい雰囲気から一転、松木ははにかむような笑みで距離を縮めてくる。

「……ちょ、松木せんせっ、んむ…」

壁際に追いやられたと思ったら突然キスされる。…これはあの時、襲われた時と同じだ。

「ん…ふぁ、せんせぇ、、」

「あ、、ごめん、……また襲っちゃった…?」

「ふふっ、いえ、……………気持ちよかったです…」

子供のように慌て出す松木が面白くて、つい本音が出る。

「…え?」

「あ、えっと、前、襲われた時は本当に嫌でした。…でも今は、……嬉しいです。」

「っ…はぁ、、俊平、だからずるいって……」

クセなのか、前と同じように口元を手で覆いながら顔を赤くして呟く。

以前だったらこいつは何を言ってるんだとしか思わなかったが今なら分かる。俺は、今松木を煽っている状況だ。
しかも、俊平、とさりげなく言われたのを心地いいと感じてしまった。

松木と関わってから、自分がここまで変わるなんて、本当に信じられない。
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「和合」は「結ばれる」みたいな意味です!手が空いたら少しづつ書いてます。日本語や表現おかしい所あったらごめんなさい💦結構前に投稿した話でも、ちまちま直してるので繰り返し読んでも面白い…かも、感想などあったら気軽にコメントしてください!まだ1件も来てないのでとても励みになります!
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