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慣れてきた生活
第28話-知幸の妹
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唐突なんだけど俺は今、学校に居る。お昼休みになって、購買に知幸と向かいながら、おしゃべりをしている所だ。
さすがにお弁当を作れるほど早起きはしない。みんなの朝ごはんの、5人分を作るだけで精一杯だ。
まあ、出来ない事は無いんだけどね。
「なあ亮一。お前さんの妹ってどんな子たちなんだ?」
知幸が階段を下りながら話しかけてくる。
今覚えば、知幸には妹が出来たことは言ったけれど、どんな子たちかは詳しく言っていない事に気が付く。
「みんないい子でとっても可愛い子たちだよ」
そう答えると、知幸はがっくり首を下げて言った。
「そうかぁ……うちの妹なんてうるさいわ、パシるわもう何とかならないのかなぁ……」
羨ましそうに語っている。
「俺の事嫌いなのかなぁ……」
知幸らしくない弱い声で、ポツリとつぶやいた。
俺は知幸を慰めるようにこう言った。
「知幸。もし本当に嫌いだとしたら、いない存在として見られると思うよ? 嫌いな人とは近づきたくない。とか、嫌いな人にわざわざ頼み事もしないと思う。それに知幸の妹さんは、知幸の事、頼ってるんだと思うよ。だからさ、そんな悲しいこと言うなよ……」
それを聞いた知幸は、忘れていた大切な事を思い出したように、顔を上げた。
「亮一……お前はやっぱいいやつだな」
「そう思ってくれてありがとう。本当に大切な事、忘れるなよ」
「ああ」
この後知幸は、いつもの調子に戻った。
「よーし! 焼きそばパン食うぞー! あ、亮一も食うか? おごるぞ?」
「じゃあお言葉に甘えて。お願いしようかな!」
俺たちは、二人仲良く、外のベンチで同じ焼きそばパンを食べた。
さすがにお弁当を作れるほど早起きはしない。みんなの朝ごはんの、5人分を作るだけで精一杯だ。
まあ、出来ない事は無いんだけどね。
「なあ亮一。お前さんの妹ってどんな子たちなんだ?」
知幸が階段を下りながら話しかけてくる。
今覚えば、知幸には妹が出来たことは言ったけれど、どんな子たちかは詳しく言っていない事に気が付く。
「みんないい子でとっても可愛い子たちだよ」
そう答えると、知幸はがっくり首を下げて言った。
「そうかぁ……うちの妹なんてうるさいわ、パシるわもう何とかならないのかなぁ……」
羨ましそうに語っている。
「俺の事嫌いなのかなぁ……」
知幸らしくない弱い声で、ポツリとつぶやいた。
俺は知幸を慰めるようにこう言った。
「知幸。もし本当に嫌いだとしたら、いない存在として見られると思うよ? 嫌いな人とは近づきたくない。とか、嫌いな人にわざわざ頼み事もしないと思う。それに知幸の妹さんは、知幸の事、頼ってるんだと思うよ。だからさ、そんな悲しいこと言うなよ……」
それを聞いた知幸は、忘れていた大切な事を思い出したように、顔を上げた。
「亮一……お前はやっぱいいやつだな」
「そう思ってくれてありがとう。本当に大切な事、忘れるなよ」
「ああ」
この後知幸は、いつもの調子に戻った。
「よーし! 焼きそばパン食うぞー! あ、亮一も食うか? おごるぞ?」
「じゃあお言葉に甘えて。お願いしようかな!」
俺たちは、二人仲良く、外のベンチで同じ焼きそばパンを食べた。
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