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シーズン1/第二章
ルミナ・モルガノットの冒険④(アガメ遺跡)
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アガメ村のはずれ、森の中に存在する小さな池。
そこは、入れば最後、怪物に引きずり込まれて二度と浮上できない危険な池として、住人たちに恐れられてきた。実際、そうして消えてしまった人間は数多くいるという。
彼らが言う、怪物。それは、旧時代に造り出された異形の魔力生命体、魔蟲だ。
魔蟲は自然に棲みつくようなモノではない。そいつがいるということは、そこに旧時代に関する何かが隠されていることの何よりの証左である。
セパディア各地に眠る湖底遺跡の調査を命じられているウェイドにとって、その池を無視することはできないのだ。
というわけで、蛸に似た魔蟲を倒し、門番のいなくなった池の底穴。
その中へと潜る、と、ウェイドは言うのだ。
「でも、池の底へ入る、って、どうやって……?」
ウェイドはあっさり言うが、どうやって池の底へ入るというのか。まさか服を脱いで入水するわけでもあるまい……。ルミナは、不思議そうな顔で彼を見る。
ウェイドはそんな少女の手を指差す。
――彼女の小さな手は、紺碧の輝きを放つ石を握っている。
「ルミナちゃん。忘れたのか? 精霊石の魔法効果」
「あ」
この精霊石は、水中でも呼吸を行え、あるいは自身の周囲に空気の膜を張って被水を防ぐことができる。
実際、ルミナはそのどちらも、溺れかけた少女を助けるために池に飛び込んだ時、無意識のうちにすでに発動していた。
「もともと、言ってたはずだけど? 湖へ入るには、水の精霊石を使うって」
「そ、そうでしたね、すみません……」
「俺が石を扱ってもうまくいかないことは、アプルパリス湖ですでに露呈してしまっているから……。こればかりは、君を頼りにさせてもらうよ」
「は、はい……っ」
もとより、そのためにルミナはここにいる。
レギオン所属を心に決めてすぐ、本部へは通達を行わず、任務に同行してほしいと彼に頼まれた。ルミナの力が、湖底遺跡の調査という今回の任務に必要だったからだ。
本来の予定とは違うものの、しかしまさに今が、そのときというわけである。
「俺も石の効果を分けてもらうために手を握らせてもらうよ」
そう言って、石を握るルミナの手にそっと自らの手を重ねるウェイド。
「精霊石に魔力を込めて」
「はい……!」
ルミナはぐっと目を閉じる。
自らの胸の内に渦巻く、大きな、エネルギー。
それを感じ、そして石へと注ぎ込むイメージをする。――すると石が反応し、紺碧の輝きを増す。
石から放たれた輝きが、光の粒となって、ルミナとウェイドの周囲を舞う。二人に魔法効果が与えられた証だ。
「よし。もう随分とこなれてきたみたいだな。うまいぞ」
「そ、そうですか?」
「魔力量を維持していてくれ。――このまま、池へ入るぞ」
彼が、ルミナの手を引くようにして一歩踏み出した。
少女も合わせて、前へ出る。
そして息を合わせ、飛び込んだ。
「…………っ」
二人分の質量を受けて、どぼぼぼぼ、と水が激しく掻き乱れる。
本来、水中ならばその音はくぐもったように聞こえる筈だが、陸上と変わらず鮮明に耳に入って来る。
これも精霊石による効果か、耳穴に水が潜りこんでこない。
目を開いても刺激を感じない。
肌や服も濡れないし、息も苦しくない。
改めてそれを意識的に体感すると、やはり不思議なものだとルミナは感じた。
――魔法。
精霊石を用いて行うそれはせいぜい簡易的なものでしかないと言うが、人間の手では再現し得ない超自然的な現象には違いない。
池の水は少々淀んではいるが、全く先が見えないわけではない。
ウェイドが指を差す。
池の中心――底に開いた大きな穴を差している。早速あそこに入るぞ、という意志表示だ。ルミナは彼の顔を見て、コクン、と頷く。
水の中を自由に泳げる。これも石による影響だ。
手足で軽く水を掻くだけで、すいすいと推進していく。
妙な話だが、これは泳いでいるというよりは宙に浮いているかのような感じだ。
直径二メートルほどの穴。穴を覗くと完全な暗闇となっていて、まだ穴の中からなにかが出て来るのではないかとぞっとしたが、幸い、精霊石が光源となった。
ルミナの魔力供給を受けて紺碧の光を放っているのだ。それで照らして見る。穴の中には何もいない。
ウェイドが、くいくい、と人差し指を下へ指す。
二人は穴の直上で停止し、そしてゆっくりと降下していった。
穴は、まるで機械でくり抜かれたようにきれいな真円で、直径もずっと変わらない。
自然の造形でないことは明らかだ。
深く暗い水中の穴に、ゆっくり、と身を沈めていく。
ウェイドが共にいるし、手を取ってくれてもいる。それでいくらか心強くはあるものの、しかしさすがに恐怖はある。
次第に深度を増していくほど、身の底から湧く恐怖心も大きくなっていく。ルミナは暗い奥底を見据え、ごくり、と喉を鳴らした。
一分ほど、潜水を続けた。そこでようやく、変化が訪れる。
穴の直径が一気に広くなったのだ。
漏斗の細い方から太い方に抜けた感じだ。閉塞的な筒穴から抜け、解放感を覚えるとともに、なにか違和感も覚えた。
それまで自然と水中を下降していたものが、そこで途端に停止した。
そして、なんだか頭の方に重みを感じる。なんだろう、と不思議に思っていると、水のあぶくが上から下へと落ちていくのが見えた。
そんなことはあり得ない。
気泡は水面へ向かって上っていくものだ。
おかしな気泡を目で追って見る。――そこで、ようやく気づいた。
足元に、水面があるのだ。
驚いて、息を吐き出した。がぼぼ、とあぶくが立つと、それらはやはり足元へと下がっていく。
――否、水面へと上っていく。
ルミナとウェイドは共にその事実を察し、ぐるり、と身を上下に翻した。そして、そのまま水上へ向かう。
「ぷはあっ」
ざば、と、ルミナは水面から顔を出した。同時にウェイドも顔を出す。
「……どうなってるんだ、これは……」
さすがのウェイドも、動揺を禁じ得ない。
この状況はつまり、上下が反転しているのだ。池の底穴を下へと潜り進んできた先、上下が反転し、そこに水面があった。
そこは、大きな地下空洞だ。
ドーム状になっていて、岩の天井はかなり高い。……ただし、その天井は本来ならば地面であるはずなのだが。
「不思議ですね……」
ほあー、と、ドーム天井を見上げて感嘆の声を漏らすルミナ。
「上下が反転している……。これは非常に高度な魔法空間だ。間違いなく、旧時代に造られたものだな。……向こうだ、ルミナちゃん」
冷静に周囲を見回したウェイドが、ある方向を指して言う。ルミナもそちらを見る。
丸いドーム空間の中、誂えられたように出口があった。
いや、違う。
入り口だ。
そして、まさしくそれは誂られたものなのである。
岩石の壁に長方形の穴が開けられており、そこから石の通路がまっすぐ奥まで続いている。いま潜り進んできた池の底穴と同様に、自然で造り出されるようなものではない。
「旧時代の遺跡だな」
ウェイドがぽつりと言った。
彼の推測はまさしく当たっていたわけだ。
――上下反転したこの不思議な空間、
そしてそこには洞穴遺跡が築かれていた。
ならばそこへ臨まなくてはならない。彼が機関から受けた任務は、旧時代の遺跡の調査だ。
「さあ、ルミナちゃん。ここからようやく任務の本番だ」
/
ピチョン、と、水の粒が下から上へ滴る。
おかしな現象だが、ここは上下が反転している。地上を基準として見れば、そう表現するのが正しいわけである。
一体どのような原理でこのようになっているのか。
それは誰にもわからない。
この洞穴遺跡だけでなく、ドーム状の空洞も、池の底につながる筒穴も――すべて、旧時代に造られたものだ。『旧魔法』。もはや失われた術であり、現代ではその原理など分かりようもない。
「遺跡調査って、何をするんですか? なんか、地質がどうとか、年代測定、とか? それとも、ここが上下逆さになってる原理を解明するだとか、ですか?」
岩盤をきれいに抉り取ったようにして造られている広い通路。
ゆっくりと進みながら、ルミナは隣を歩くウェイドへ尋ねた。遺跡調査の任務だとは聞いているが、具体的に何をするのかはまだ聞いていなかったのだ。
「いいや? まあ遺跡調査とは言っても、遺跡自体を調べるわけじゃないんだ。ただ、奥まで進むだけ。その奥に何があるのかを確かめるんだ。地質調査だとか年代測定だとか、そんな専門的なことはしないから安心してくれ」
「は、はあ……」
奥に進むだけ。
遺跡調査と言うか、遺跡探索の方が適当だろうか。
「大丈夫。君は細かいことは気にせず、俺についてきてくれればいいから」
ウェイドは、少女を諭すように言う。
遺跡の通路には、灯りが設置されていた。壁に燭台のような物が埋め込まれている――ただし燭台といってもそこに置かれるのは蝋燭ではない。何やら青白い光を放つ石が置かれていた。
等間隔に置かれた燭台、そこから発せられる青白い光が、洞穴内を淡く照らしているのだ。
旧時代から存在する遺跡で、絶えず灯され続けてきたというのだろうか。やはりその原理は分からない。
暗闇ではないのは幾分救いだが、依然、恐怖はあった。
洞窟通路内は光る石によって照らされているが、遠くまでは見通せない。まっすぐ続く通路の先、奥は暗がりになっている。
……暗闇の向こうから何者かがぬっと顔を出しやしないか、と、恐々としながら歩みを進める。
こういうときに限って、想像力が冴えてしまうものだ。
池で見た怪物を思い出す。赤くぬめりのある体表、八本の触腕をうねうねと蠢めかせるあの奇怪な怪物――魔蟲。
魔蟲は旧時代に造られたモノだと言い、その存在を悟ったからこそウェイドは池の底に遺跡があると踏んだのだ。
あの怪物は、この遺跡への侵入を阻む門番だった。
それを倒して、こうして遺跡へと入っているわけだが……この先に、また同じような怪物がいる可能性は高いのではないか。ルミナはそう考えていた。
それに、なんというか、こういった人があまり足を踏み入れない『遺跡』という場では、ああいった怪物じみた敵が出現する方が、『ありがちなこと』だと思えた。
なぜそう思うのかは分からないが、そんな気がするのだ。
だからこそ。
先に進めば進むほど、次第に恐怖心が煽られる。
「ルミナちゃん」
「ひゃいっ」
突然、ウェイドに声をかけられ、驚いて妙な声を上げてしまう。
「なな、なんでしょうっ?」
驚きでまだ心臓が高鳴っているのと、妙な声を上げて恥ずかしいのとで、どぎまぎしながらルミナは応える。
「ああ、ごめん。驚かせたかな。……でも、そう怯えなくて大丈夫だから」
「え?」
「さっきから、ものすごく怖がっているようだったから。いやまあ、初めてこんな遺跡へ入って、恐怖を感じるのは当然だとは思うけど。でも、そう身構えなくてもいい」
「は、はい……」
「俺はすでに、アプルパリスの前にもいくつか遺跡に入っているからね。俺についてきてくれれば大丈夫だ。まあ、今までのはどれも『ハズレ』だったわけだが」
「ハズレ?」
遺跡に対してアタリかハズレかというのは、はたしてどういう意味なのだろうかと、ルミナが問おうとしたとき。
――ガシャン。
通路の奥、暗がりの向こうから何か音が聞こえた。
「へっ? い、今のは……?」
何の音?
と、言うより前に、また一つ、ガシャン、と鳴る。
二度、三度、立て続けに同様の音が響いてくる。
通路の奥から、なにかが来るのだ。
「ウェ、ウェイドさん……?」
ルミナもその気配に気づき、顔を引きつらせながら彼に身を寄せる。ウェイドは少女を庇うように、一歩前へ出た。
淡い青光の灯りの中……やがて、ぬう、と白い影が浮かんだ。
「えっ、あ……」
通路の奥からゆっくりと現れた、何か。その姿を見て、ルミナは途端に顔を真っ青にする。
それは、カタカタと骨を鳴らしながら歩く白骨死体であった。
「~~~~~~~~っっっ!?」
ルミナは声にならない悲鳴を上げて、冷たい石の地面に力なくへたり込んだ。
暗がりの向こうから現れたのは、『ガイコツ』。
それも、一つや二つではない。十数体の動く白骨死体が、ぞろぞろと迫って来るのだ。
頭蓋骨のところに、なにかがくっついている。それがなんなのか、目を凝らして見る気にはなれなかった。
池の中にいたあの怪物ならば、まだ良い。
肉感的な気持ち悪さは、ルミナにとっては気にならない。
だが、今目の前にいるのは、むしろ肉のない『ガイコツ』。まさに『オバケ』然とした姿である。
「これは……」
ショックのあまり今にも気を失ってしまうそうなルミナとは違い、ウェイドはいたって平然な顔である。地面に尻をついてしまった少女に、手を差し出す。
「平気だ。ほら、立って」
「へ、平気って……」
不気味なガイコツがじわじわと迫ってきているというのに、なにが平気なものか。
そう思ったが、もはや言い返す気力もなかった。
恐怖で身が竦み、足はがくがくと震えている。ウェイドの手を取ってなんとか立ち上がった。
「大丈夫だ、ルミナちゃん。あの程度の数なら、どうということはない」
そう言ってウェイドは、また懐から小さなナイフを取り出した。
昨日、街道を移動中に遭遇した魔獣を倒して見せ、そしてついさきほどは蛸のような魔蟲を倒して見せた――彼の持つ魔導武器。それを、右手の指の間に三本、挟んで持つ。
「君はそこでじっとしていな、すぐ終わらせるから」
爽やかな笑顔で、ウェイドは言う。
そしてすぐに、駆け出す。
ガイコツと距離を詰めながら、ピピピ、とナイフを三連で投擲した。
カッカッカ、と小気味良い音を立てて、剥き出しの頭蓋骨の眉間に突き立つ。
そして、爆発する。
魔獣を倒したときと同じだ。あのナイフは敵には魔力が込められており、敵に突き刺さると爆発を起こす。
爆風でガイコツは砕け散り、骨片が舞う。
ナイフには糸が括り付けてあるらしく、くん、とウェイドが手を引くと投げ放ったナイフは戻って来る。
それをキャッチし、すぐにまた投げる。
あるいは手元に戻さずとも、糸を使ってぶんぶんとナイフを振り回す。
『あの程度の数なら、どうということはない』――そう言った通り、ウェイドは、ガイコツの群れをあっさりと殲滅してしまった。
彼はくるりと振り返り、少女に声をかける。
「さあ。道が開けた。行こう」
それだけ言って、ウェイドは歩き出す。彼の鮮やかな戦闘を呆然と見ていたルミナは、はっとして、慌てて彼に駆け寄る。
なんて頼もしいのか……!
今までその気持ちがなかったわけではない。
ただ、ルミナはここで彼への尊敬の念を一層深めた。それまで恐怖に引きつらせていた顔を、一転、ぱっと明るく咲かせ、キラキラと輝いた目でウェイドの背を見つめる。
ただしそれはあくまでレギオン特務官の先輩として、子供から見ての大人として、純粋な尊敬の念である。
未成熟な少女では、それを恋心だと錯覚することすらない。
ただし、彼女ほどの年齢であっても、特に色恋沙汰に関心深く、浮ついた心を持った少女であれば、それを恋と呼ぶこともあり得ただろう。
ルミナの場合、それはない。
彼女はまだ子供なのだ。
「ルミナちゃん。この骸たちは、きっと池に引き込まれてしまったという人間たちだろう」
倒れたガイコツたちの横を通り過ぎる際、ウェイドがそう言った。
「え?」
「見てごらん」
動かなくなった白骨死体の方を指差すウェイド。
ルミナはそれを見ないように通り抜けようとしていたのだが、見てごらんと言われた以上は無視できない。……彼女は顔を引きつらせながらも、促された通り、床に散った骨片に目を向けた。
特に、彼が指差していたのは、その中でも頭部のものだ。
頭蓋骨が、床に顔を伏せる形で転がっている。後頭部が上に向いているわけだが、……そこに、なにかがくっついているのだ。
「な、なに、これ……?」
ルミナはそれを、まじまじと見た。緑色で、小さい硬質ななにか……。
「それも、魔蟲だ。さっき見た軟体のものと比べて小さいけど」
池に入る際に倒した、遺跡の門番として構えていたあの軟体の生物……蛸のような怪物は、魔蟲というものだった。
これも、全く形が異なるが、その一つだという。
確かに、こちらの方が『虫』らしい見てくれをしている。
――硬い外骨格に背を覆われ、頭部には二本の細い触角。
目はない。
甲羅のような外骨格の淵から六本の細い足が伸び、なんとその足がガイコツの頭に埋まっていて、足先が細かに枝分かれして球状に絡み合っている。
節足動物のような形だが、ただし関節肢ではなく、節のない柔らかな足である。
すでにこれらは肉や臓器が干からびた白骨死体で、頭蓋骨の中も『空っぽ』だが、察するにかつては蟲の足先は頭蓋骨を貫通して脳に侵入し、そこに根を張るように枝を広げていたのではないか。
「…………」
異様な光景である。
……ただ、ルミナが畏怖するのは白骨死体の方だ。彼女は生来の怖がりだが、いわゆる『オバケ』のようなものが特に苦手なのだ。この骨が元々人間だったものだと知ると、余計怖いのだ。
それに対し、蟲の方がそれほど怖くはない。彼女は虫にはある程度耐性があった。
「大丈夫。そいつらは単体ではほとんど動かない。宿主を破壊してしまえば、その魔蟲もすぐに死ぬ。――そいつらは、いわば『寄生蟲』だ。あの蛸のような魔蟲が池に入った人間を引きずり込み、この蟲がそいつらに寄生する。そして寄生した人間を操って、侵入者を討つ兵とする。そういう仕組みなんだろう。……この遺跡は、ずいぶん陰湿な造りをしているようだ」
だが、と、彼は言葉を続ける。
「これほどの遺跡なら、きっと『アタリ』だな。――我々の求めるものが、奥に眠っている筈だ。用心して進もう」
そう言ってウェイドは、散乱する骨片とそれらに根を生やす寄生蟲たちを跨いで、通路を進む。
少女もあわてて彼についていく。
地底、上下の反転した不思議な遺跡は、まだまだ奥まで続いているようだ。
そこは、入れば最後、怪物に引きずり込まれて二度と浮上できない危険な池として、住人たちに恐れられてきた。実際、そうして消えてしまった人間は数多くいるという。
彼らが言う、怪物。それは、旧時代に造り出された異形の魔力生命体、魔蟲だ。
魔蟲は自然に棲みつくようなモノではない。そいつがいるということは、そこに旧時代に関する何かが隠されていることの何よりの証左である。
セパディア各地に眠る湖底遺跡の調査を命じられているウェイドにとって、その池を無視することはできないのだ。
というわけで、蛸に似た魔蟲を倒し、門番のいなくなった池の底穴。
その中へと潜る、と、ウェイドは言うのだ。
「でも、池の底へ入る、って、どうやって……?」
ウェイドはあっさり言うが、どうやって池の底へ入るというのか。まさか服を脱いで入水するわけでもあるまい……。ルミナは、不思議そうな顔で彼を見る。
ウェイドはそんな少女の手を指差す。
――彼女の小さな手は、紺碧の輝きを放つ石を握っている。
「ルミナちゃん。忘れたのか? 精霊石の魔法効果」
「あ」
この精霊石は、水中でも呼吸を行え、あるいは自身の周囲に空気の膜を張って被水を防ぐことができる。
実際、ルミナはそのどちらも、溺れかけた少女を助けるために池に飛び込んだ時、無意識のうちにすでに発動していた。
「もともと、言ってたはずだけど? 湖へ入るには、水の精霊石を使うって」
「そ、そうでしたね、すみません……」
「俺が石を扱ってもうまくいかないことは、アプルパリス湖ですでに露呈してしまっているから……。こればかりは、君を頼りにさせてもらうよ」
「は、はい……っ」
もとより、そのためにルミナはここにいる。
レギオン所属を心に決めてすぐ、本部へは通達を行わず、任務に同行してほしいと彼に頼まれた。ルミナの力が、湖底遺跡の調査という今回の任務に必要だったからだ。
本来の予定とは違うものの、しかしまさに今が、そのときというわけである。
「俺も石の効果を分けてもらうために手を握らせてもらうよ」
そう言って、石を握るルミナの手にそっと自らの手を重ねるウェイド。
「精霊石に魔力を込めて」
「はい……!」
ルミナはぐっと目を閉じる。
自らの胸の内に渦巻く、大きな、エネルギー。
それを感じ、そして石へと注ぎ込むイメージをする。――すると石が反応し、紺碧の輝きを増す。
石から放たれた輝きが、光の粒となって、ルミナとウェイドの周囲を舞う。二人に魔法効果が与えられた証だ。
「よし。もう随分とこなれてきたみたいだな。うまいぞ」
「そ、そうですか?」
「魔力量を維持していてくれ。――このまま、池へ入るぞ」
彼が、ルミナの手を引くようにして一歩踏み出した。
少女も合わせて、前へ出る。
そして息を合わせ、飛び込んだ。
「…………っ」
二人分の質量を受けて、どぼぼぼぼ、と水が激しく掻き乱れる。
本来、水中ならばその音はくぐもったように聞こえる筈だが、陸上と変わらず鮮明に耳に入って来る。
これも精霊石による効果か、耳穴に水が潜りこんでこない。
目を開いても刺激を感じない。
肌や服も濡れないし、息も苦しくない。
改めてそれを意識的に体感すると、やはり不思議なものだとルミナは感じた。
――魔法。
精霊石を用いて行うそれはせいぜい簡易的なものでしかないと言うが、人間の手では再現し得ない超自然的な現象には違いない。
池の水は少々淀んではいるが、全く先が見えないわけではない。
ウェイドが指を差す。
池の中心――底に開いた大きな穴を差している。早速あそこに入るぞ、という意志表示だ。ルミナは彼の顔を見て、コクン、と頷く。
水の中を自由に泳げる。これも石による影響だ。
手足で軽く水を掻くだけで、すいすいと推進していく。
妙な話だが、これは泳いでいるというよりは宙に浮いているかのような感じだ。
直径二メートルほどの穴。穴を覗くと完全な暗闇となっていて、まだ穴の中からなにかが出て来るのではないかとぞっとしたが、幸い、精霊石が光源となった。
ルミナの魔力供給を受けて紺碧の光を放っているのだ。それで照らして見る。穴の中には何もいない。
ウェイドが、くいくい、と人差し指を下へ指す。
二人は穴の直上で停止し、そしてゆっくりと降下していった。
穴は、まるで機械でくり抜かれたようにきれいな真円で、直径もずっと変わらない。
自然の造形でないことは明らかだ。
深く暗い水中の穴に、ゆっくり、と身を沈めていく。
ウェイドが共にいるし、手を取ってくれてもいる。それでいくらか心強くはあるものの、しかしさすがに恐怖はある。
次第に深度を増していくほど、身の底から湧く恐怖心も大きくなっていく。ルミナは暗い奥底を見据え、ごくり、と喉を鳴らした。
一分ほど、潜水を続けた。そこでようやく、変化が訪れる。
穴の直径が一気に広くなったのだ。
漏斗の細い方から太い方に抜けた感じだ。閉塞的な筒穴から抜け、解放感を覚えるとともに、なにか違和感も覚えた。
それまで自然と水中を下降していたものが、そこで途端に停止した。
そして、なんだか頭の方に重みを感じる。なんだろう、と不思議に思っていると、水のあぶくが上から下へと落ちていくのが見えた。
そんなことはあり得ない。
気泡は水面へ向かって上っていくものだ。
おかしな気泡を目で追って見る。――そこで、ようやく気づいた。
足元に、水面があるのだ。
驚いて、息を吐き出した。がぼぼ、とあぶくが立つと、それらはやはり足元へと下がっていく。
――否、水面へと上っていく。
ルミナとウェイドは共にその事実を察し、ぐるり、と身を上下に翻した。そして、そのまま水上へ向かう。
「ぷはあっ」
ざば、と、ルミナは水面から顔を出した。同時にウェイドも顔を出す。
「……どうなってるんだ、これは……」
さすがのウェイドも、動揺を禁じ得ない。
この状況はつまり、上下が反転しているのだ。池の底穴を下へと潜り進んできた先、上下が反転し、そこに水面があった。
そこは、大きな地下空洞だ。
ドーム状になっていて、岩の天井はかなり高い。……ただし、その天井は本来ならば地面であるはずなのだが。
「不思議ですね……」
ほあー、と、ドーム天井を見上げて感嘆の声を漏らすルミナ。
「上下が反転している……。これは非常に高度な魔法空間だ。間違いなく、旧時代に造られたものだな。……向こうだ、ルミナちゃん」
冷静に周囲を見回したウェイドが、ある方向を指して言う。ルミナもそちらを見る。
丸いドーム空間の中、誂えられたように出口があった。
いや、違う。
入り口だ。
そして、まさしくそれは誂られたものなのである。
岩石の壁に長方形の穴が開けられており、そこから石の通路がまっすぐ奥まで続いている。いま潜り進んできた池の底穴と同様に、自然で造り出されるようなものではない。
「旧時代の遺跡だな」
ウェイドがぽつりと言った。
彼の推測はまさしく当たっていたわけだ。
――上下反転したこの不思議な空間、
そしてそこには洞穴遺跡が築かれていた。
ならばそこへ臨まなくてはならない。彼が機関から受けた任務は、旧時代の遺跡の調査だ。
「さあ、ルミナちゃん。ここからようやく任務の本番だ」
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ピチョン、と、水の粒が下から上へ滴る。
おかしな現象だが、ここは上下が反転している。地上を基準として見れば、そう表現するのが正しいわけである。
一体どのような原理でこのようになっているのか。
それは誰にもわからない。
この洞穴遺跡だけでなく、ドーム状の空洞も、池の底につながる筒穴も――すべて、旧時代に造られたものだ。『旧魔法』。もはや失われた術であり、現代ではその原理など分かりようもない。
「遺跡調査って、何をするんですか? なんか、地質がどうとか、年代測定、とか? それとも、ここが上下逆さになってる原理を解明するだとか、ですか?」
岩盤をきれいに抉り取ったようにして造られている広い通路。
ゆっくりと進みながら、ルミナは隣を歩くウェイドへ尋ねた。遺跡調査の任務だとは聞いているが、具体的に何をするのかはまだ聞いていなかったのだ。
「いいや? まあ遺跡調査とは言っても、遺跡自体を調べるわけじゃないんだ。ただ、奥まで進むだけ。その奥に何があるのかを確かめるんだ。地質調査だとか年代測定だとか、そんな専門的なことはしないから安心してくれ」
「は、はあ……」
奥に進むだけ。
遺跡調査と言うか、遺跡探索の方が適当だろうか。
「大丈夫。君は細かいことは気にせず、俺についてきてくれればいいから」
ウェイドは、少女を諭すように言う。
遺跡の通路には、灯りが設置されていた。壁に燭台のような物が埋め込まれている――ただし燭台といってもそこに置かれるのは蝋燭ではない。何やら青白い光を放つ石が置かれていた。
等間隔に置かれた燭台、そこから発せられる青白い光が、洞穴内を淡く照らしているのだ。
旧時代から存在する遺跡で、絶えず灯され続けてきたというのだろうか。やはりその原理は分からない。
暗闇ではないのは幾分救いだが、依然、恐怖はあった。
洞窟通路内は光る石によって照らされているが、遠くまでは見通せない。まっすぐ続く通路の先、奥は暗がりになっている。
……暗闇の向こうから何者かがぬっと顔を出しやしないか、と、恐々としながら歩みを進める。
こういうときに限って、想像力が冴えてしまうものだ。
池で見た怪物を思い出す。赤くぬめりのある体表、八本の触腕をうねうねと蠢めかせるあの奇怪な怪物――魔蟲。
魔蟲は旧時代に造られたモノだと言い、その存在を悟ったからこそウェイドは池の底に遺跡があると踏んだのだ。
あの怪物は、この遺跡への侵入を阻む門番だった。
それを倒して、こうして遺跡へと入っているわけだが……この先に、また同じような怪物がいる可能性は高いのではないか。ルミナはそう考えていた。
それに、なんというか、こういった人があまり足を踏み入れない『遺跡』という場では、ああいった怪物じみた敵が出現する方が、『ありがちなこと』だと思えた。
なぜそう思うのかは分からないが、そんな気がするのだ。
だからこそ。
先に進めば進むほど、次第に恐怖心が煽られる。
「ルミナちゃん」
「ひゃいっ」
突然、ウェイドに声をかけられ、驚いて妙な声を上げてしまう。
「なな、なんでしょうっ?」
驚きでまだ心臓が高鳴っているのと、妙な声を上げて恥ずかしいのとで、どぎまぎしながらルミナは応える。
「ああ、ごめん。驚かせたかな。……でも、そう怯えなくて大丈夫だから」
「え?」
「さっきから、ものすごく怖がっているようだったから。いやまあ、初めてこんな遺跡へ入って、恐怖を感じるのは当然だとは思うけど。でも、そう身構えなくてもいい」
「は、はい……」
「俺はすでに、アプルパリスの前にもいくつか遺跡に入っているからね。俺についてきてくれれば大丈夫だ。まあ、今までのはどれも『ハズレ』だったわけだが」
「ハズレ?」
遺跡に対してアタリかハズレかというのは、はたしてどういう意味なのだろうかと、ルミナが問おうとしたとき。
――ガシャン。
通路の奥、暗がりの向こうから何か音が聞こえた。
「へっ? い、今のは……?」
何の音?
と、言うより前に、また一つ、ガシャン、と鳴る。
二度、三度、立て続けに同様の音が響いてくる。
通路の奥から、なにかが来るのだ。
「ウェ、ウェイドさん……?」
ルミナもその気配に気づき、顔を引きつらせながら彼に身を寄せる。ウェイドは少女を庇うように、一歩前へ出た。
淡い青光の灯りの中……やがて、ぬう、と白い影が浮かんだ。
「えっ、あ……」
通路の奥からゆっくりと現れた、何か。その姿を見て、ルミナは途端に顔を真っ青にする。
それは、カタカタと骨を鳴らしながら歩く白骨死体であった。
「~~~~~~~~っっっ!?」
ルミナは声にならない悲鳴を上げて、冷たい石の地面に力なくへたり込んだ。
暗がりの向こうから現れたのは、『ガイコツ』。
それも、一つや二つではない。十数体の動く白骨死体が、ぞろぞろと迫って来るのだ。
頭蓋骨のところに、なにかがくっついている。それがなんなのか、目を凝らして見る気にはなれなかった。
池の中にいたあの怪物ならば、まだ良い。
肉感的な気持ち悪さは、ルミナにとっては気にならない。
だが、今目の前にいるのは、むしろ肉のない『ガイコツ』。まさに『オバケ』然とした姿である。
「これは……」
ショックのあまり今にも気を失ってしまうそうなルミナとは違い、ウェイドはいたって平然な顔である。地面に尻をついてしまった少女に、手を差し出す。
「平気だ。ほら、立って」
「へ、平気って……」
不気味なガイコツがじわじわと迫ってきているというのに、なにが平気なものか。
そう思ったが、もはや言い返す気力もなかった。
恐怖で身が竦み、足はがくがくと震えている。ウェイドの手を取ってなんとか立ち上がった。
「大丈夫だ、ルミナちゃん。あの程度の数なら、どうということはない」
そう言ってウェイドは、また懐から小さなナイフを取り出した。
昨日、街道を移動中に遭遇した魔獣を倒して見せ、そしてついさきほどは蛸のような魔蟲を倒して見せた――彼の持つ魔導武器。それを、右手の指の間に三本、挟んで持つ。
「君はそこでじっとしていな、すぐ終わらせるから」
爽やかな笑顔で、ウェイドは言う。
そしてすぐに、駆け出す。
ガイコツと距離を詰めながら、ピピピ、とナイフを三連で投擲した。
カッカッカ、と小気味良い音を立てて、剥き出しの頭蓋骨の眉間に突き立つ。
そして、爆発する。
魔獣を倒したときと同じだ。あのナイフは敵には魔力が込められており、敵に突き刺さると爆発を起こす。
爆風でガイコツは砕け散り、骨片が舞う。
ナイフには糸が括り付けてあるらしく、くん、とウェイドが手を引くと投げ放ったナイフは戻って来る。
それをキャッチし、すぐにまた投げる。
あるいは手元に戻さずとも、糸を使ってぶんぶんとナイフを振り回す。
『あの程度の数なら、どうということはない』――そう言った通り、ウェイドは、ガイコツの群れをあっさりと殲滅してしまった。
彼はくるりと振り返り、少女に声をかける。
「さあ。道が開けた。行こう」
それだけ言って、ウェイドは歩き出す。彼の鮮やかな戦闘を呆然と見ていたルミナは、はっとして、慌てて彼に駆け寄る。
なんて頼もしいのか……!
今までその気持ちがなかったわけではない。
ただ、ルミナはここで彼への尊敬の念を一層深めた。それまで恐怖に引きつらせていた顔を、一転、ぱっと明るく咲かせ、キラキラと輝いた目でウェイドの背を見つめる。
ただしそれはあくまでレギオン特務官の先輩として、子供から見ての大人として、純粋な尊敬の念である。
未成熟な少女では、それを恋心だと錯覚することすらない。
ただし、彼女ほどの年齢であっても、特に色恋沙汰に関心深く、浮ついた心を持った少女であれば、それを恋と呼ぶこともあり得ただろう。
ルミナの場合、それはない。
彼女はまだ子供なのだ。
「ルミナちゃん。この骸たちは、きっと池に引き込まれてしまったという人間たちだろう」
倒れたガイコツたちの横を通り過ぎる際、ウェイドがそう言った。
「え?」
「見てごらん」
動かなくなった白骨死体の方を指差すウェイド。
ルミナはそれを見ないように通り抜けようとしていたのだが、見てごらんと言われた以上は無視できない。……彼女は顔を引きつらせながらも、促された通り、床に散った骨片に目を向けた。
特に、彼が指差していたのは、その中でも頭部のものだ。
頭蓋骨が、床に顔を伏せる形で転がっている。後頭部が上に向いているわけだが、……そこに、なにかがくっついているのだ。
「な、なに、これ……?」
ルミナはそれを、まじまじと見た。緑色で、小さい硬質ななにか……。
「それも、魔蟲だ。さっき見た軟体のものと比べて小さいけど」
池に入る際に倒した、遺跡の門番として構えていたあの軟体の生物……蛸のような怪物は、魔蟲というものだった。
これも、全く形が異なるが、その一つだという。
確かに、こちらの方が『虫』らしい見てくれをしている。
――硬い外骨格に背を覆われ、頭部には二本の細い触角。
目はない。
甲羅のような外骨格の淵から六本の細い足が伸び、なんとその足がガイコツの頭に埋まっていて、足先が細かに枝分かれして球状に絡み合っている。
節足動物のような形だが、ただし関節肢ではなく、節のない柔らかな足である。
すでにこれらは肉や臓器が干からびた白骨死体で、頭蓋骨の中も『空っぽ』だが、察するにかつては蟲の足先は頭蓋骨を貫通して脳に侵入し、そこに根を張るように枝を広げていたのではないか。
「…………」
異様な光景である。
……ただ、ルミナが畏怖するのは白骨死体の方だ。彼女は生来の怖がりだが、いわゆる『オバケ』のようなものが特に苦手なのだ。この骨が元々人間だったものだと知ると、余計怖いのだ。
それに対し、蟲の方がそれほど怖くはない。彼女は虫にはある程度耐性があった。
「大丈夫。そいつらは単体ではほとんど動かない。宿主を破壊してしまえば、その魔蟲もすぐに死ぬ。――そいつらは、いわば『寄生蟲』だ。あの蛸のような魔蟲が池に入った人間を引きずり込み、この蟲がそいつらに寄生する。そして寄生した人間を操って、侵入者を討つ兵とする。そういう仕組みなんだろう。……この遺跡は、ずいぶん陰湿な造りをしているようだ」
だが、と、彼は言葉を続ける。
「これほどの遺跡なら、きっと『アタリ』だな。――我々の求めるものが、奥に眠っている筈だ。用心して進もう」
そう言ってウェイドは、散乱する骨片とそれらに根を生やす寄生蟲たちを跨いで、通路を進む。
少女もあわてて彼についていく。
地底、上下の反転した不思議な遺跡は、まだまだ奥まで続いているようだ。
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