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シーズン1/第二章
□あくあついんず□⑯
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しゃべるぬいぐるみとの邂逅の日より、二週間後。
ついに来た戦いの日。夜の海岸で、水萌は海から現れた『黒い卵』を見据える。
かつての夜に見た、『海蟲』の卵である。
卵にはヒビが入り、中身であるバケモノがチラと顔をのぞかせている。と言ってもディアニアに似たあのバケモノに顔のパーツはないが。
水萌は、敵が完全に姿を現すのを待たず、すでに術を発動していた。『水精錬金』、その神髄たる、水を媒介とした武器の精製。――少女の目の前にはすでに重厚な機関砲が形成されていたのだ。
水萌は、この場に至っても実はまだ術を完全習得できていない。
力の引き出し率は90%。
造り出した武器は、わずか十秒しか形を維持できない。
だが、それでも十分だろうとオスティマは考えた。
「くらえぇっ!」
水萌は叫び、そして造り出した銃器へ意思を伝達して引き金を引く。
次第に亀裂が広がっていく黒い卵に向けて、銃弾を放った。
どどどどどどど、と、地響きのような重い音が海岸に響く。
分厚い弾幕が、割れかけの黒卵へと襲い掛かる。――すぐに殻が弾け飛び、その中身へと大口径弾が炸裂する。ミチ、ベチ、と赤黒い肉が撃ち抜かれていく。
『水精錬金』によって造り出した銃弾は、元々は『水』だ。
着弾し、炸裂したのち、水へと還る。無数の弾丸が敵を撃ち抜いてすぐに水へと変わり、やがて霧が広がっていく。霧に包まれて敵の姿は見えなくなるが、それでも攻撃の手は止めない。
「ふっ、ん、……っ」
胸の前で拳を握り、なにかを必死に耐えるかのように苦しそうな声を出す水萌。
まだ完全に力を引き出せていないうちの武器精製は、意識をすり減らす。
水萌は、少しでも武器の造形を維持させようと意思の力を振り絞る。――が、数秒が経過し、綻びが生じた。機関砲なんて大きなモノを造ったせいか、十秒も経たずに限界が訪れてしまう。
やがて――ばっしゃああああああん、と、大きな水の破裂が起こった。
水萌の目の前に浮遊していた重厚な機関砲が、勢いよく水へと帰化したのだ。
「うわっぷ」
『ぬおっ』
水萌は水の爆発の勢いに押され、どてっ、と尻餅をついてしまう。オスティマも、軽いぬいぐるみの体のため、水に呑まれて地面に転がり落ちる。……二人はすぐに起き上がった。
数メートル先。機関砲の連射をさく裂させていた場所には、もうもうと霧が立ち込めている。
「や、やったかな……?」
『やったか……?』
二人、声を揃えて言った。
潮風にふわりと撫でられ、霧が晴れていく。岩肌の地面が露出した。……その地面には、細かな肉片が無数に散らばっている。
もはやバケモノの肉体は、原形をとどめていない。
機関砲の弾幕をモロに受け、細切れになっている。――やがてその肉片は、どろり、と溶けだしていった。しゅううぅ……と怪しい煙を発しながら、ずるずると溶け、波に攫われていく。
あとには、何も残らない。
夜の海岸には、ぽつり、と、スク水姿の少女と赤いドラゴンのぬいぐるみだけが残された。一瞬の静寂ののち、近くの雑木林に風が吹き抜けて、ざああああ、と枝葉が擦れ合う音が鳴る。
それはまるで、敵生物を殲滅してみせた少女を湛える大衆の拍手のようだ。
「や、やった……!」
『おう。――無事、【海蟲】を倒したな……!』
一息置いて、わっ、と歓喜する水萌。
「あはは、なーんだ、余裕じゃん!」
『まあな、そりゃそうさ! 【大いなる海の加護】を受けたお前だ、力を100%引き出せていなくても、あんなチンケなバケモノを倒すには十分だったってわけだな!』
「えへへ」
少女とぬいぐるみは、手を取り合ってくるくると踊り回った。――この二週間、懸命に敵の攻撃に備えてきたが、いざ戦いの本番となれば、なんとあっさりしたものだろう。
これで、海底にて地上侵略を策謀するテロリストたちに勝ったのか。
「さ。帰ろうよ、ドラコ!」
水萌は嬉しそうに言った。少女の身には有り余る重責を脱した解放感からか、とても爽やかな笑顔である。その足元に、ざん、と緩やかな白波が寄せた。
「ん?」
足先に冷たい水の感触があり、水萌は不思議そうな顔で振り返った。
自分が立っているのは、波が及ぶような位置ではなかったはずだが。
またも、ざざん、と波が寄せてきた。今度は足首まで白波に覆われ、靴の中が完全に浸水してしまう。
『どうした、ミナモ?』
「な、なんだろ、波が急に……」
風が強まった気配はない。それなのに、急に波が強く押し寄せてきたのだ。小首をかしげながら海の様子を窺う水萌。――と、そのときだった。
ざっぱああああああん、と。
水中で爆発でも起きたかのような、激しい水音が、突然、静寂な夜の海岸に響き渡った。
「わっ!?」
『んなっ』
噴水の様に勢い良く立ち上る水柱。高く宙を舞い、飛沫となって少女とぬいぐるみの頭にふりそそぐ。バケツをひっくり返したように頭上から降ってくる水に驚き、水萌は軽くうずくまるように身を屈める。
「…………?」
しばしして、ゆっくりと顔を上げた水萌は……目の前の光景に、ぎょっと目を見開いた。
オスティマも同様に驚いている。ただし、ぬいぐるみのアクリル素材のつぶらな瞳は、驚きによって大きく見開かれることはないが。
ぬ、と。
大きな影が、水萌とオスティマの前にあった。
海中から何か大きな影がまっすぐ伸びている。月明りに逆光となっていて、シルエットとしか見えず、何か分からない。……影は、大木のように大きい。実際、木か、細長く隆起した岩か何かかと思えた。
しかし、そうではない。
海の中から細長く突き出た素の影は、ゆらり、と蠢いたのだ。
『――ミナモ、下がれッ!』
オスティマがその大きな影の挙動に気付き、ハッとして水萌に言った。水萌は、なぜかと問い返すよりもまずは言われた通りに後方へ引き下がった。
一秒の間を置いて、地響きが鳴る。
大きな影が、どしん、とその身を振り下ろしたのだ。
岸の岩肌が揺れる。ちょうど、水萌が立っていた位置だった。……オスティマに言われて後退していなければ、ぺしゃんこだ。
「こ、これって……」
距離を置いた水萌は、ようやくその巨大なモノの姿をはっきりと見た。
それはまるで、大きな芋虫だ。
節がない長い体。手も、足もない。先細りの頭部、その末端にはすぼんだ口のような穴があるだけで、目や触角のようなものもない。
「な、な、なにこれっ!? ねえドラコ、こいつは何!?」
『わ、分からねえ……。だが、こいつは……』
地面に振り下ろした頭を、ずりずり、とまた引き上げていく巨大生物。のっそり、と鎌首をもたげる。
さきほどは逆光となって窺えなかったが、ぼてっと膨らんだその腹の表面には、フジツボのように突起した細かな穴が連なっていた。
ついに敵が放つ生体兵器を打倒したかと思った矢先、突如、夜の海に現れた次なる怪物。
腹面の穴は異様なれども、しかしその長く伸びる体形は、まさしく蠕虫様――『ワーム』と総称される虫の様相なのである。
『こ、こいつも、敵が送り込んできた生体兵器か……!』
確かに、目の前の生物は明らかに自然に生息するようなものではない。これもまた、黒い卵の中にいたバケモノ同様、海底の敵が繰り出してきたものではないだろうと察せられる。
「どういうこと!? さっきの卵のヤツを倒したら、それで終わりじゃなかったの? なんなの、あれは一体……」
はっきりと意味が分からず、問い返そうとした水萌だったが、そのとき、おぞましい気配を感じて言葉途中でバッと振り返った。
さきほど勢いよく身を振り下ろしてきた巨大蠕虫は、またゆっくりと鎌首をもたげ、少女とぬいぐるみをぬっと見下ろす。
また頭を振り落としてくるのかと身構える水萌だったが、敵生物はその場から動きはせず、奇妙な挙動を見せる。
頭部の先、すぼめている口の辺りが、もぞもぞと蠢き始めたのだ。何をするつもりなのか……じりじりと後ずさりながら水萌は注意深くそれを見る。
やがて、巨大な蟲の口が、にゅるにゅると突き出されていった。
まるで体の内側を捲り返すように、吻が長々と伸びていく。
陥入吻である。
伸びきった先でかぱっと口が開き、そこからわさわさと細かな物が生えて来る。イソギンチャクの触手のようなもので、口周りに髭の様に生え、その中心に見える丸い口には鋭い歯が生え揃っている。
触手で獲物を掴み取って口へと運び、鋭い歯で噛み刻んで喰うのだろうという生態が見て取れる。
陥入吻と、その口から伸ばす細かな触手。まるで星口動物のような姿である。
そしてまた、持ち上げた体を勢いよく振り下ろしてくる。
『あぶねえ、ミナモッ!』
「う、うんっ」
オスティマに言われるまでもなく、水萌は慌てて飛びのいた。……が、その足首に、しゅるりと細い縄のようなものが幕着く。イソギンチャクのような細い触手が伸び、少女の足をからめとったのだ。
「うわっ!?」
バランスを崩し、地面に手をついて倒れ込んだ。息を吐く間もなく、ずるる、と引きずられる。
そして、ぐいっと吊り上げられた。いきなり、逆さ吊りの状態となる。
少女の体を吊り上げた巨大なバケモノは、すぼんだような口を思いきり広げる。
当然、少女をその口腔内へ放り込み、ずらりと並ぶ歯で骨を砕き、磨り潰したのち、呑み込むためである。
ぐん、と触手が引かれ、ルミナの小さな体はひょいと軽々しく放られる。
「あ」
刹那、頭の頂点から足先までを稲妻の様に鋭く貫く、鮮烈な感覚。――死の予感。
「う、……こ、このッ!」
一瞬よぎった、おそろしい感覚。
確かな死の予感を、すぐに気合いで振り払った。
危機的状況の中、瞬時に意識を研ぎ澄まし、力を引き出す。
水の膜が、少女を守った。
水萌を中心として、ドーム状の薄い水膜が広がる。――『海盾』である。始めの夜には無意識のうちに発動したものだったが、今は意識して展開させた。
それは少女を喰らおうと広げられた口よりも大きく、ばしゃん、と、弾かれる。
「うわっ」
水球のシールドごと宙を舞う水萌。そのまま岩肌の地面に叩きつけられるが、その衝撃もまたシールドにより守られる。
「…………っ、ふう」
『へ、平気か、ミナモっ』
「う、うん、なんとか……」
間一髪であった。
なんとか逃れられたとはいえ、ぞわぞわと揺れ動く細かな髭のような触手――それに足首を掴まれ、長く伸びた吻に向かって引き込まれていくというのは、少女の心にトラウマを植え付けかねないおぞましい体験である。
水萌は蟲などには耐性があるが、それでも単純に『危うく捕食されるところであった』という恐怖は容易には拭えない。
水膜に守られている今なお、わずかに肩を震わせている。
それでも、頭の中に巣食うのは恐怖心よりも困惑の方が大きい。
「どういうことなの、ドラコ。あの卵のヤツを倒したら終わりじゃなかったの? せっかくあれを倒したと思ったら、急にこんなでっかいバケモノが出て来るなんて……」
『お、俺にも分からねえ。敵が送り込んで来るのは、独自に造り出した生体兵器【海蟲】だけだと聞いていた。俺の姉貴が敵の懐に潜りこんで得た情報なんだ、間違いはない筈なんだが……』
「でも実際に別のヤツが来てるじゃん、そのあなたのお姉さんの情報が間違いだったんじゃないの!?」
『何を、姉貴が間違ってたなんて、そんなわけあるか。俺の姉貴は優秀なんだぞ。アトランティスの帝都大学を首席で卒業して、そのあと帝国議会に――』
「って、あーもう、そんな話はいいから!」
水萌がそう叫んだと同時、――展開していた『海盾』が、ばちぃっと激しい音を立てた。
巨大蟲が、縦を破らんとして頭を勢いよく振り下ろしてきたのだ。
水萌はハッとして、水膜に意識を向ける。この水の盾も『水精錬金』の力だが、しっかり意識を向けていないと破られかねない。
『ミナモ! とにかく、こいつが敵なのは街がいねえ! 早く、反撃するんだ!』
「う、うんっ……!」
水萌はコクと頷くと、きゅっと瞼を閉じる。『水精錬金』によって武器を造り出すため、意識を集中させる――が、そのとき、周囲を囲むドーム状の水膜がぐらりと歪んだ。
『オイ、ミナモ!』
オスティマが叫んだが、遅かった。
「へっ? ――って、きゃあああっ!?」
しゅるるるる、と数本の細い触手が地を這うように伸び進んできて、少女の足首に巻き付く。
武器精製に意識を向けたせいで、『海盾』への注力が揺らぎ、綻んだのだ。その隙を突かれ、文字通り、足元を掬われた。
始めの戦いのとき、力が100%引き出せていたあのときなら、『海盾』を維持しながらの武器精製も容易に行えた。
というか、『海盾』自体は特に何の意識を向けることもなく無意識下で展開され、水萌を守ってくれていたのだ。
それが、今は盾を維持させるのにも集中力が必要だし、並行して武器精製をすることができない。
やはり、まだ力を完全に力を引き出せていないせいだ。
バケモノはまたも、細かな歯が生え揃う口をあんぐりと開け、少女を引きずっていく。
「うっ……」
落ち着け、落ち着け――。
水萌は頭の中で、必死に自身にそう言い付けた。バケモノの口腔が刻々と迫る中、恐怖と焦りをかなぐり捨て、意識を集中させる。
少女の眼前に、水が湧き立つ。そして、キッ――と、バケモノを見据えたとき、水は途端に薄く鋭い刃の形状を成し、鉄へと変化した。
ナイフである。
『水精錬金』によって造り出せるのは銃器だけではないのだ。
造り出したナイフを意思の力で操り、振るう。――自身の細い足首に巻き付く縄のような触手を、ザン、と斬り裂いた。
「はあっ、はあっ」
すぐに立ち上がって、肩で息をする水萌。だが、触手は無数にある。数本、斬られた程度で怯むこともなく、また少女を捕らえるためにざわざわと伸びて来る。
水萌は気を落ち着けて、それらをまとめて斬り捨ててやろうと、たった今造り出したナイフへとまた意識を向ける。――だが。
ばしゃん、と。
ナイフは、音を立てて弾け、水へと還った。
「あっ……」
せっかく造り出した武器が、目の前で水へと帰化するのを見て、水萌は愕然とする。
……やはり、『水精錬金』によって武器を造り出すことはできても、それを維持させることができない。すぐに水へと帰化してしまう。
『ミナモ! こっちだ!』
ハッとして、オスティマの方へ振り向く。
ぬいぐるみは、大きな岩のそばで浮揚していた。
水萌はすぐに駆け出し、彼に促されるまま岩の陰へと飛び込んだ。向かって来る触手が岩に阻まれているうちに、水萌はまたすぐに駆け出して、巨大蟲と大きく距離を取った。
「はっ、はっ、はあっ……」
『大丈夫か、ミナモ』
「だ、大丈夫だけどっ……、ううん、大丈夫じゃない」
今はまだ怪我などしていないという意味では、大丈夫。だが、状況を見れば全く大丈夫ではない。
『ミナモ、落ち着け。さっき卵をぶっ壊したみたいにでっかい武器を造って、ぶっ放してやれ!』
「…………っ」
水萌は必至に息を落ち着けて、目を閉じる。
意識を集中させようと努めるが……、だが、うまくできない。
必死になって抑え込んでいた、恐怖や不安が堰を切ったようにぶり返して来て、集中できないのだ。少女の目の前に水の塊がふわりと浮き立つが……ぷるぷると震えるばかりで、うまく銃器の形を象れない。
やがて、耐え切れずに水がぱしゃりと弾けて地面に広がる。
『どうしたんだ、ミナモ……っ? 集中するんだ!』
「う……、だって……」
さきほどの、黒い卵。あれが相手なら、楽勝だった。まだ殻を破る前に先制をかまし、消し飛ばすことが出来た。だが、今対峙している怪物はそうはいかない。
勝利のビジョンが浮かばない。
たとい機関銃などを組成できても、おそらく数秒しか維持できない。それだけで、あの巨体を消し飛ばすことはできないだろう。
それに、銃を形成しているうちは『海盾』を張れない。あの怪物なら弾幕を浴びながらでも無理やり突進をかましてくることさえ出来るだろう。
そうして押し潰されるか、また足など掬われて口へ運ばれるか――。
防戦一方ではジリ貧。かといって攻めに転じても、決め手がない。
今、怪物とは距離を取っている。敵生物は問答無用でその距離を詰めてくることはなく、じっとその場に留まっていた。愚鈍な生物なのか、絶え間なく攻めてくるようなことはないのは幸いだ。
なんとか今の内にせめて息を整えようと、水萌はゆっくりと深呼吸をする。
「ふうっ、はあっ……」
少女が必死に深呼吸をしている一方。
巨大な蠕虫は、ふと不審な挙動を見せ始めた。
持ち上げていた頭を伏せ、のそり、と地面に張り付いたのだ。腹面がピタリと地面に接している状態。その状態で、体を前後させ始めた。
ずりずり、と、腹を地面に擦り付けるような動き。
一体、何をしているのか。確か腹面にはフジツボのように穴がびっしりと連なっていたが……。
ついに来た戦いの日。夜の海岸で、水萌は海から現れた『黒い卵』を見据える。
かつての夜に見た、『海蟲』の卵である。
卵にはヒビが入り、中身であるバケモノがチラと顔をのぞかせている。と言ってもディアニアに似たあのバケモノに顔のパーツはないが。
水萌は、敵が完全に姿を現すのを待たず、すでに術を発動していた。『水精錬金』、その神髄たる、水を媒介とした武器の精製。――少女の目の前にはすでに重厚な機関砲が形成されていたのだ。
水萌は、この場に至っても実はまだ術を完全習得できていない。
力の引き出し率は90%。
造り出した武器は、わずか十秒しか形を維持できない。
だが、それでも十分だろうとオスティマは考えた。
「くらえぇっ!」
水萌は叫び、そして造り出した銃器へ意思を伝達して引き金を引く。
次第に亀裂が広がっていく黒い卵に向けて、銃弾を放った。
どどどどどどど、と、地響きのような重い音が海岸に響く。
分厚い弾幕が、割れかけの黒卵へと襲い掛かる。――すぐに殻が弾け飛び、その中身へと大口径弾が炸裂する。ミチ、ベチ、と赤黒い肉が撃ち抜かれていく。
『水精錬金』によって造り出した銃弾は、元々は『水』だ。
着弾し、炸裂したのち、水へと還る。無数の弾丸が敵を撃ち抜いてすぐに水へと変わり、やがて霧が広がっていく。霧に包まれて敵の姿は見えなくなるが、それでも攻撃の手は止めない。
「ふっ、ん、……っ」
胸の前で拳を握り、なにかを必死に耐えるかのように苦しそうな声を出す水萌。
まだ完全に力を引き出せていないうちの武器精製は、意識をすり減らす。
水萌は、少しでも武器の造形を維持させようと意思の力を振り絞る。――が、数秒が経過し、綻びが生じた。機関砲なんて大きなモノを造ったせいか、十秒も経たずに限界が訪れてしまう。
やがて――ばっしゃああああああん、と、大きな水の破裂が起こった。
水萌の目の前に浮遊していた重厚な機関砲が、勢いよく水へと帰化したのだ。
「うわっぷ」
『ぬおっ』
水萌は水の爆発の勢いに押され、どてっ、と尻餅をついてしまう。オスティマも、軽いぬいぐるみの体のため、水に呑まれて地面に転がり落ちる。……二人はすぐに起き上がった。
数メートル先。機関砲の連射をさく裂させていた場所には、もうもうと霧が立ち込めている。
「や、やったかな……?」
『やったか……?』
二人、声を揃えて言った。
潮風にふわりと撫でられ、霧が晴れていく。岩肌の地面が露出した。……その地面には、細かな肉片が無数に散らばっている。
もはやバケモノの肉体は、原形をとどめていない。
機関砲の弾幕をモロに受け、細切れになっている。――やがてその肉片は、どろり、と溶けだしていった。しゅううぅ……と怪しい煙を発しながら、ずるずると溶け、波に攫われていく。
あとには、何も残らない。
夜の海岸には、ぽつり、と、スク水姿の少女と赤いドラゴンのぬいぐるみだけが残された。一瞬の静寂ののち、近くの雑木林に風が吹き抜けて、ざああああ、と枝葉が擦れ合う音が鳴る。
それはまるで、敵生物を殲滅してみせた少女を湛える大衆の拍手のようだ。
「や、やった……!」
『おう。――無事、【海蟲】を倒したな……!』
一息置いて、わっ、と歓喜する水萌。
「あはは、なーんだ、余裕じゃん!」
『まあな、そりゃそうさ! 【大いなる海の加護】を受けたお前だ、力を100%引き出せていなくても、あんなチンケなバケモノを倒すには十分だったってわけだな!』
「えへへ」
少女とぬいぐるみは、手を取り合ってくるくると踊り回った。――この二週間、懸命に敵の攻撃に備えてきたが、いざ戦いの本番となれば、なんとあっさりしたものだろう。
これで、海底にて地上侵略を策謀するテロリストたちに勝ったのか。
「さ。帰ろうよ、ドラコ!」
水萌は嬉しそうに言った。少女の身には有り余る重責を脱した解放感からか、とても爽やかな笑顔である。その足元に、ざん、と緩やかな白波が寄せた。
「ん?」
足先に冷たい水の感触があり、水萌は不思議そうな顔で振り返った。
自分が立っているのは、波が及ぶような位置ではなかったはずだが。
またも、ざざん、と波が寄せてきた。今度は足首まで白波に覆われ、靴の中が完全に浸水してしまう。
『どうした、ミナモ?』
「な、なんだろ、波が急に……」
風が強まった気配はない。それなのに、急に波が強く押し寄せてきたのだ。小首をかしげながら海の様子を窺う水萌。――と、そのときだった。
ざっぱああああああん、と。
水中で爆発でも起きたかのような、激しい水音が、突然、静寂な夜の海岸に響き渡った。
「わっ!?」
『んなっ』
噴水の様に勢い良く立ち上る水柱。高く宙を舞い、飛沫となって少女とぬいぐるみの頭にふりそそぐ。バケツをひっくり返したように頭上から降ってくる水に驚き、水萌は軽くうずくまるように身を屈める。
「…………?」
しばしして、ゆっくりと顔を上げた水萌は……目の前の光景に、ぎょっと目を見開いた。
オスティマも同様に驚いている。ただし、ぬいぐるみのアクリル素材のつぶらな瞳は、驚きによって大きく見開かれることはないが。
ぬ、と。
大きな影が、水萌とオスティマの前にあった。
海中から何か大きな影がまっすぐ伸びている。月明りに逆光となっていて、シルエットとしか見えず、何か分からない。……影は、大木のように大きい。実際、木か、細長く隆起した岩か何かかと思えた。
しかし、そうではない。
海の中から細長く突き出た素の影は、ゆらり、と蠢いたのだ。
『――ミナモ、下がれッ!』
オスティマがその大きな影の挙動に気付き、ハッとして水萌に言った。水萌は、なぜかと問い返すよりもまずは言われた通りに後方へ引き下がった。
一秒の間を置いて、地響きが鳴る。
大きな影が、どしん、とその身を振り下ろしたのだ。
岸の岩肌が揺れる。ちょうど、水萌が立っていた位置だった。……オスティマに言われて後退していなければ、ぺしゃんこだ。
「こ、これって……」
距離を置いた水萌は、ようやくその巨大なモノの姿をはっきりと見た。
それはまるで、大きな芋虫だ。
節がない長い体。手も、足もない。先細りの頭部、その末端にはすぼんだ口のような穴があるだけで、目や触角のようなものもない。
「な、な、なにこれっ!? ねえドラコ、こいつは何!?」
『わ、分からねえ……。だが、こいつは……』
地面に振り下ろした頭を、ずりずり、とまた引き上げていく巨大生物。のっそり、と鎌首をもたげる。
さきほどは逆光となって窺えなかったが、ぼてっと膨らんだその腹の表面には、フジツボのように突起した細かな穴が連なっていた。
ついに敵が放つ生体兵器を打倒したかと思った矢先、突如、夜の海に現れた次なる怪物。
腹面の穴は異様なれども、しかしその長く伸びる体形は、まさしく蠕虫様――『ワーム』と総称される虫の様相なのである。
『こ、こいつも、敵が送り込んできた生体兵器か……!』
確かに、目の前の生物は明らかに自然に生息するようなものではない。これもまた、黒い卵の中にいたバケモノ同様、海底の敵が繰り出してきたものではないだろうと察せられる。
「どういうこと!? さっきの卵のヤツを倒したら、それで終わりじゃなかったの? なんなの、あれは一体……」
はっきりと意味が分からず、問い返そうとした水萌だったが、そのとき、おぞましい気配を感じて言葉途中でバッと振り返った。
さきほど勢いよく身を振り下ろしてきた巨大蠕虫は、またゆっくりと鎌首をもたげ、少女とぬいぐるみをぬっと見下ろす。
また頭を振り落としてくるのかと身構える水萌だったが、敵生物はその場から動きはせず、奇妙な挙動を見せる。
頭部の先、すぼめている口の辺りが、もぞもぞと蠢き始めたのだ。何をするつもりなのか……じりじりと後ずさりながら水萌は注意深くそれを見る。
やがて、巨大な蟲の口が、にゅるにゅると突き出されていった。
まるで体の内側を捲り返すように、吻が長々と伸びていく。
陥入吻である。
伸びきった先でかぱっと口が開き、そこからわさわさと細かな物が生えて来る。イソギンチャクの触手のようなもので、口周りに髭の様に生え、その中心に見える丸い口には鋭い歯が生え揃っている。
触手で獲物を掴み取って口へと運び、鋭い歯で噛み刻んで喰うのだろうという生態が見て取れる。
陥入吻と、その口から伸ばす細かな触手。まるで星口動物のような姿である。
そしてまた、持ち上げた体を勢いよく振り下ろしてくる。
『あぶねえ、ミナモッ!』
「う、うんっ」
オスティマに言われるまでもなく、水萌は慌てて飛びのいた。……が、その足首に、しゅるりと細い縄のようなものが幕着く。イソギンチャクのような細い触手が伸び、少女の足をからめとったのだ。
「うわっ!?」
バランスを崩し、地面に手をついて倒れ込んだ。息を吐く間もなく、ずるる、と引きずられる。
そして、ぐいっと吊り上げられた。いきなり、逆さ吊りの状態となる。
少女の体を吊り上げた巨大なバケモノは、すぼんだような口を思いきり広げる。
当然、少女をその口腔内へ放り込み、ずらりと並ぶ歯で骨を砕き、磨り潰したのち、呑み込むためである。
ぐん、と触手が引かれ、ルミナの小さな体はひょいと軽々しく放られる。
「あ」
刹那、頭の頂点から足先までを稲妻の様に鋭く貫く、鮮烈な感覚。――死の予感。
「う、……こ、このッ!」
一瞬よぎった、おそろしい感覚。
確かな死の予感を、すぐに気合いで振り払った。
危機的状況の中、瞬時に意識を研ぎ澄まし、力を引き出す。
水の膜が、少女を守った。
水萌を中心として、ドーム状の薄い水膜が広がる。――『海盾』である。始めの夜には無意識のうちに発動したものだったが、今は意識して展開させた。
それは少女を喰らおうと広げられた口よりも大きく、ばしゃん、と、弾かれる。
「うわっ」
水球のシールドごと宙を舞う水萌。そのまま岩肌の地面に叩きつけられるが、その衝撃もまたシールドにより守られる。
「…………っ、ふう」
『へ、平気か、ミナモっ』
「う、うん、なんとか……」
間一髪であった。
なんとか逃れられたとはいえ、ぞわぞわと揺れ動く細かな髭のような触手――それに足首を掴まれ、長く伸びた吻に向かって引き込まれていくというのは、少女の心にトラウマを植え付けかねないおぞましい体験である。
水萌は蟲などには耐性があるが、それでも単純に『危うく捕食されるところであった』という恐怖は容易には拭えない。
水膜に守られている今なお、わずかに肩を震わせている。
それでも、頭の中に巣食うのは恐怖心よりも困惑の方が大きい。
「どういうことなの、ドラコ。あの卵のヤツを倒したら終わりじゃなかったの? せっかくあれを倒したと思ったら、急にこんなでっかいバケモノが出て来るなんて……」
『お、俺にも分からねえ。敵が送り込んで来るのは、独自に造り出した生体兵器【海蟲】だけだと聞いていた。俺の姉貴が敵の懐に潜りこんで得た情報なんだ、間違いはない筈なんだが……』
「でも実際に別のヤツが来てるじゃん、そのあなたのお姉さんの情報が間違いだったんじゃないの!?」
『何を、姉貴が間違ってたなんて、そんなわけあるか。俺の姉貴は優秀なんだぞ。アトランティスの帝都大学を首席で卒業して、そのあと帝国議会に――』
「って、あーもう、そんな話はいいから!」
水萌がそう叫んだと同時、――展開していた『海盾』が、ばちぃっと激しい音を立てた。
巨大蟲が、縦を破らんとして頭を勢いよく振り下ろしてきたのだ。
水萌はハッとして、水膜に意識を向ける。この水の盾も『水精錬金』の力だが、しっかり意識を向けていないと破られかねない。
『ミナモ! とにかく、こいつが敵なのは街がいねえ! 早く、反撃するんだ!』
「う、うんっ……!」
水萌はコクと頷くと、きゅっと瞼を閉じる。『水精錬金』によって武器を造り出すため、意識を集中させる――が、そのとき、周囲を囲むドーム状の水膜がぐらりと歪んだ。
『オイ、ミナモ!』
オスティマが叫んだが、遅かった。
「へっ? ――って、きゃあああっ!?」
しゅるるるる、と数本の細い触手が地を這うように伸び進んできて、少女の足首に巻き付く。
武器精製に意識を向けたせいで、『海盾』への注力が揺らぎ、綻んだのだ。その隙を突かれ、文字通り、足元を掬われた。
始めの戦いのとき、力が100%引き出せていたあのときなら、『海盾』を維持しながらの武器精製も容易に行えた。
というか、『海盾』自体は特に何の意識を向けることもなく無意識下で展開され、水萌を守ってくれていたのだ。
それが、今は盾を維持させるのにも集中力が必要だし、並行して武器精製をすることができない。
やはり、まだ力を完全に力を引き出せていないせいだ。
バケモノはまたも、細かな歯が生え揃う口をあんぐりと開け、少女を引きずっていく。
「うっ……」
落ち着け、落ち着け――。
水萌は頭の中で、必死に自身にそう言い付けた。バケモノの口腔が刻々と迫る中、恐怖と焦りをかなぐり捨て、意識を集中させる。
少女の眼前に、水が湧き立つ。そして、キッ――と、バケモノを見据えたとき、水は途端に薄く鋭い刃の形状を成し、鉄へと変化した。
ナイフである。
『水精錬金』によって造り出せるのは銃器だけではないのだ。
造り出したナイフを意思の力で操り、振るう。――自身の細い足首に巻き付く縄のような触手を、ザン、と斬り裂いた。
「はあっ、はあっ」
すぐに立ち上がって、肩で息をする水萌。だが、触手は無数にある。数本、斬られた程度で怯むこともなく、また少女を捕らえるためにざわざわと伸びて来る。
水萌は気を落ち着けて、それらをまとめて斬り捨ててやろうと、たった今造り出したナイフへとまた意識を向ける。――だが。
ばしゃん、と。
ナイフは、音を立てて弾け、水へと還った。
「あっ……」
せっかく造り出した武器が、目の前で水へと帰化するのを見て、水萌は愕然とする。
……やはり、『水精錬金』によって武器を造り出すことはできても、それを維持させることができない。すぐに水へと帰化してしまう。
『ミナモ! こっちだ!』
ハッとして、オスティマの方へ振り向く。
ぬいぐるみは、大きな岩のそばで浮揚していた。
水萌はすぐに駆け出し、彼に促されるまま岩の陰へと飛び込んだ。向かって来る触手が岩に阻まれているうちに、水萌はまたすぐに駆け出して、巨大蟲と大きく距離を取った。
「はっ、はっ、はあっ……」
『大丈夫か、ミナモ』
「だ、大丈夫だけどっ……、ううん、大丈夫じゃない」
今はまだ怪我などしていないという意味では、大丈夫。だが、状況を見れば全く大丈夫ではない。
『ミナモ、落ち着け。さっき卵をぶっ壊したみたいにでっかい武器を造って、ぶっ放してやれ!』
「…………っ」
水萌は必至に息を落ち着けて、目を閉じる。
意識を集中させようと努めるが……、だが、うまくできない。
必死になって抑え込んでいた、恐怖や不安が堰を切ったようにぶり返して来て、集中できないのだ。少女の目の前に水の塊がふわりと浮き立つが……ぷるぷると震えるばかりで、うまく銃器の形を象れない。
やがて、耐え切れずに水がぱしゃりと弾けて地面に広がる。
『どうしたんだ、ミナモ……っ? 集中するんだ!』
「う……、だって……」
さきほどの、黒い卵。あれが相手なら、楽勝だった。まだ殻を破る前に先制をかまし、消し飛ばすことが出来た。だが、今対峙している怪物はそうはいかない。
勝利のビジョンが浮かばない。
たとい機関銃などを組成できても、おそらく数秒しか維持できない。それだけで、あの巨体を消し飛ばすことはできないだろう。
それに、銃を形成しているうちは『海盾』を張れない。あの怪物なら弾幕を浴びながらでも無理やり突進をかましてくることさえ出来るだろう。
そうして押し潰されるか、また足など掬われて口へ運ばれるか――。
防戦一方ではジリ貧。かといって攻めに転じても、決め手がない。
今、怪物とは距離を取っている。敵生物は問答無用でその距離を詰めてくることはなく、じっとその場に留まっていた。愚鈍な生物なのか、絶え間なく攻めてくるようなことはないのは幸いだ。
なんとか今の内にせめて息を整えようと、水萌はゆっくりと深呼吸をする。
「ふうっ、はあっ……」
少女が必死に深呼吸をしている一方。
巨大な蠕虫は、ふと不審な挙動を見せ始めた。
持ち上げていた頭を伏せ、のそり、と地面に張り付いたのだ。腹面がピタリと地面に接している状態。その状態で、体を前後させ始めた。
ずりずり、と、腹を地面に擦り付けるような動き。
一体、何をしているのか。確か腹面にはフジツボのように穴がびっしりと連なっていたが……。
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