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これが駄目な大人のやり口です
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アクセサリーショップで楽しそうにしていたはずのその般若は笑顔の作り方を忘れたようで、今はただ怒りをにじませている。
俺は正直に掘り出し物探しに夢中になって3人のことを忘れていましたと言うわけにはいかないので、何と取り繕うかと考えるがいい言葉が全く思い浮かばない。
すると俺が言葉を発する前に般若が口を開く。
「コウ、私達のことなんか忘れて、ずいぶん楽しそうね。」
怖いです。ユキさん、めっちゃ怖いですよ。大怪我した時ほどではないが、めっちゃ怖い。
「い、いや、そんなことないですよ。」
俺は何とか声を絞り出したがユキの威圧に耐えきらず、後ろめたさもあってさっと顔を逸してしまった。
「コウ、何か言うことはある?」
「ごめんなさい、ちょっとしたでき心だったんです。反省しています。」
「はー。」ユキはさっきまでの怒りはどこへやら、呆れたように溜め息を吐いた。
「もういいわ、貴方が欲望に忠実なことはなんとなくわかっていたから。それで、私だけでなく、ミミやリザを放っておいた責任はどうとるつもり?」
責任、、、責任なんて言われてもどうすればいいんですか?俺には正解がわならない、誰か教えてくれ!
思考放棄したいが、それはできない。もういい、俺は駄目な大人だ、駄目な大人の力を見せてやろう!
「責任か、、、今からミミとリザの欲しい物を買ってやるぞ!もちろんユキの分も買ってやるぞ。」
ユキは俺の言葉に呆れた表情を浮かべて「コウ、あなたね」と言葉を発している所に、「こうおにいちゃん、ほんとう!?」と顔をキラキラさせて俺を見つめるミミの言葉によってかき消された。
「コウさん、、、私も欲しい物があります、、、。」
リザも恥ずかしそうにそう呟いた。
ユキは自分以外の2人が汚い大人のやり方で懐柔されたことで形勢が不利になったことを悟り「2人がそれでいいなら私もそれでいいわ。」と少し拗ねたように呟いた。
俺は何とか誤魔化すことができたのでホッとした。俺はご機嫌を損ねないように、まずはミミの欲しい物を買いに行くことにした。
「みみはこれがほしい!」
ミミに案内されたのは流れの種物屋だった。種物屋は野菜や果物の種、植物の種が売ってある店だ。この店は勇者降臨祭と銘打ったこの祭りに商機を見出し、他所から来た商人のようで、この地域で売っていない珍しい種を多く売っている。
そんな品揃えの中でミミが指を指したのはキラキラと輝くミミの頭より大きな種だった。こんな大きな種、どんな巨木になるんだよとツッコミたくなる。取り敢えず商人に何の種なのかを聞いてみる。
「すみません、この綺麗な種は何の種なんですか?」
「おう、この可愛い子のお父さんかな?この種、綺麗だろ。こんな種、これ以外で見たことないからな。だからこの種は何の種かわからないんだよ。何人もの人が芽を出そうと頑張ったんだが今まで誰も成功してないんだよ。それでも観賞用にもなる物だからな、それでもいいか?」
芽を出せない種って、もう種の役割を果たしてないだろ。たぶん中身が腐ってんじゃないか?そんな物を植えて芽がでないのも可愛そうだな。
「ミミ、この種、芽が出ないんだって。それでもいいのか?」
「だいじょうぶいっていってるからだいじょうぶ!」
だいじょうぶいって言ってる?ミミの知り合いにでも聞いたんだろうか?ミミが良いって言ってるならこれでいいのかな。
「すみません、この種はいくらですか?」
「おう、この種は銀貨10枚だ。」
店主が笑顔で教えてくれたが、金額が可愛くなかった。銀貨10枚はだいたい大人1人の3ヶ月分の生活費くらいだ。
植物の種ってそんなに高いのか?いや、前の世界でも数百万円の植物とかもあるって聞いたことがある。珍しいならこれ位の金額もあり得るのか。
「ミミ、これが欲しいんだよな?」
「うん!」
ミミの笑顔の為ならしょうがない、俺は娘に甘い駄目親父のように高価とわかっていながら購入することに決めた。ついでに一緒に売ってあったカンショの実も手に入れた。
カンショはサツマイモのことで、おそらく日本人が名前を決めたんだろう。だがここで甘味になる、サツマイモを手に入れることができて、店を離れたら、ミミと一緒に俺も笑顔満点だった。
ユキからはそんな高価な物を買って大丈夫なの?と心配された。俺はユキに俺の懐具合を聞くと驚いた後に、「そんな高価な物を買い与えて、ミミの教育に悪いでしょ。」と小言を言われた。だがミミの天真爛漫な笑顔を見ると、そんなユキの小言は全く耳に入ってこなかった。
俺は正直に掘り出し物探しに夢中になって3人のことを忘れていましたと言うわけにはいかないので、何と取り繕うかと考えるがいい言葉が全く思い浮かばない。
すると俺が言葉を発する前に般若が口を開く。
「コウ、私達のことなんか忘れて、ずいぶん楽しそうね。」
怖いです。ユキさん、めっちゃ怖いですよ。大怪我した時ほどではないが、めっちゃ怖い。
「い、いや、そんなことないですよ。」
俺は何とか声を絞り出したがユキの威圧に耐えきらず、後ろめたさもあってさっと顔を逸してしまった。
「コウ、何か言うことはある?」
「ごめんなさい、ちょっとしたでき心だったんです。反省しています。」
「はー。」ユキはさっきまでの怒りはどこへやら、呆れたように溜め息を吐いた。
「もういいわ、貴方が欲望に忠実なことはなんとなくわかっていたから。それで、私だけでなく、ミミやリザを放っておいた責任はどうとるつもり?」
責任、、、責任なんて言われてもどうすればいいんですか?俺には正解がわならない、誰か教えてくれ!
思考放棄したいが、それはできない。もういい、俺は駄目な大人だ、駄目な大人の力を見せてやろう!
「責任か、、、今からミミとリザの欲しい物を買ってやるぞ!もちろんユキの分も買ってやるぞ。」
ユキは俺の言葉に呆れた表情を浮かべて「コウ、あなたね」と言葉を発している所に、「こうおにいちゃん、ほんとう!?」と顔をキラキラさせて俺を見つめるミミの言葉によってかき消された。
「コウさん、、、私も欲しい物があります、、、。」
リザも恥ずかしそうにそう呟いた。
ユキは自分以外の2人が汚い大人のやり方で懐柔されたことで形勢が不利になったことを悟り「2人がそれでいいなら私もそれでいいわ。」と少し拗ねたように呟いた。
俺は何とか誤魔化すことができたのでホッとした。俺はご機嫌を損ねないように、まずはミミの欲しい物を買いに行くことにした。
「みみはこれがほしい!」
ミミに案内されたのは流れの種物屋だった。種物屋は野菜や果物の種、植物の種が売ってある店だ。この店は勇者降臨祭と銘打ったこの祭りに商機を見出し、他所から来た商人のようで、この地域で売っていない珍しい種を多く売っている。
そんな品揃えの中でミミが指を指したのはキラキラと輝くミミの頭より大きな種だった。こんな大きな種、どんな巨木になるんだよとツッコミたくなる。取り敢えず商人に何の種なのかを聞いてみる。
「すみません、この綺麗な種は何の種なんですか?」
「おう、この可愛い子のお父さんかな?この種、綺麗だろ。こんな種、これ以外で見たことないからな。だからこの種は何の種かわからないんだよ。何人もの人が芽を出そうと頑張ったんだが今まで誰も成功してないんだよ。それでも観賞用にもなる物だからな、それでもいいか?」
芽を出せない種って、もう種の役割を果たしてないだろ。たぶん中身が腐ってんじゃないか?そんな物を植えて芽がでないのも可愛そうだな。
「ミミ、この種、芽が出ないんだって。それでもいいのか?」
「だいじょうぶいっていってるからだいじょうぶ!」
だいじょうぶいって言ってる?ミミの知り合いにでも聞いたんだろうか?ミミが良いって言ってるならこれでいいのかな。
「すみません、この種はいくらですか?」
「おう、この種は銀貨10枚だ。」
店主が笑顔で教えてくれたが、金額が可愛くなかった。銀貨10枚はだいたい大人1人の3ヶ月分の生活費くらいだ。
植物の種ってそんなに高いのか?いや、前の世界でも数百万円の植物とかもあるって聞いたことがある。珍しいならこれ位の金額もあり得るのか。
「ミミ、これが欲しいんだよな?」
「うん!」
ミミの笑顔の為ならしょうがない、俺は娘に甘い駄目親父のように高価とわかっていながら購入することに決めた。ついでに一緒に売ってあったカンショの実も手に入れた。
カンショはサツマイモのことで、おそらく日本人が名前を決めたんだろう。だがここで甘味になる、サツマイモを手に入れることができて、店を離れたら、ミミと一緒に俺も笑顔満点だった。
ユキからはそんな高価な物を買って大丈夫なの?と心配された。俺はユキに俺の懐具合を聞くと驚いた後に、「そんな高価な物を買い与えて、ミミの教育に悪いでしょ。」と小言を言われた。だがミミの天真爛漫な笑顔を見ると、そんなユキの小言は全く耳に入ってこなかった。
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