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順調だと思っていたら、大きな落とし穴がありました

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 ザックにお礼を伝え、ようやく全ての用事がすんだ。家に帰ると裏庭でミミとリザがコンジキ達と戯れていた。

「ただいまー!おーいミミ、リザ、コンジキ達と遊んでいるのか?」

 俺がミミ達に叫ぶがコンジキが「コケッ?」とこちらを振り向いたがミミ達は聞こえなかったのか、こちらを振り向かない。まだ遊びたい盛りなので、いっぱい遊んだ方がいい。そう思い、今日は久しぶりにいろいろあり、疲れたので少し部屋で休むことにした。

 俺は仮眠から目覚め、リビングに行くと少し空気がピリついた気がした。何かあったのかと思い、俺は近くにいたユキに尋ねる。

「ユキ、何かあったのか?」

「ええ、何かあったわ。この間、私達は約束を破られて悲しい思いをしたの。しかもその人はその約束自体忘れてるのか、謝罪の1つもないのよ。コウは約束を守らない人をどう思う?」

 約束を守らない奴か、人との約束を守らないなんてまともな奴じゃないな。それよりも、ユキの表情は笑顔だが、目が笑ってない。ものすごく怖い。

「約束を守らないなんて、最低な奴だな。そいつの顔が見てみたいよ。」

 俺の言葉にユキは作り笑いを止め、顔が引きつり、肩がワナワナと震えだす。

「まだ、わからないみたいね。」

 全然わからない、何をユキ達は怒っているんだ?

「私は貴方のことを言ってるの!!!」

 え、俺のこと?何か約束とかしてたっけ?

「何のことだっけ?」

「何のことって、ふざけてるの!私達がどれだけ楽しみにしてたと思っているの!もう、コウのことなんて知らない!」

 ユキはそう言い残して部屋を出ていってしまった。

「コウさん、、、本当に、、忘れたんですか?」

 リザが悲しそうな顔をして俺の顔を見てくる。そんな顔で見られてしまうと、ひどい罪悪を感じてしまう。

「ごめんなさい、わかりません。」

「ミミちゃんも、、ユキちゃんも、、コウさんと一緒に遊びに行くのを、、楽しみに、、していたんですよ。」

 あっ、いろいろありすぎて、忘れていた。
 これはヤバい、さーと血の気がひいていく。

「コウさん、、、やっぱり忘れていたんですね。コウさんは、、、戦い等で忙しかったと、、思います。でも一緒に遊びに行くっていう、、大切な時間を忘れられたら、、悲しいです。特にユキちゃんは、、楽しみにしていたので、、、。」
 
 忙しかったなんて忘れていい理由にはならない。一生懸命どう謝っていいのか考えるが、上手い方法は思いつかない。
 そんな俺にミミが頬を膨らませてプンスカと怒ってくる。

「みみはおこってます!ぷんぷんです!こうおにいちゃん、ごめんなさいは?わるいことをしたら、めっなんだよ。そしてごめんなさいしないとだめなの!」

 悪いことをしたら謝る、そんな当たり前のことすらしていないことをミミに気付かされる。

「ミミ、リザ、本当にごめんなさい。」

 俺は二人に深々と頭を下げる。

「ごめんじゃたりません。だいじな、だいじなやくそくをわすれるこうおにいちゃんなんかゆるしてあげません!こうおにいちゃんなんてだいっきらい!」

 そう言うとミミは部屋を飛び出していった。
 ミミの言葉が、商人になれたと1人舞い上がっていた俺の胸に突き刺さる。
 ショックで呆然としている俺へとリザがやって来る。

「私は無理ばかりするコウさんを許せません。」

 そう言うとリザも部屋から出ていってしまった。
 
「コウさん、大変だったのはわかりますが女性陣を怒らせたら大変ですよ。」

「そうだぞ、コウ。あそこまでユキ達を怒らせたら大変だぞ。」

 今まで関わり合いにならないように離れていたハルとアクトが同情したように話しかけてくる。

「コウもゴブリン退治であれだけ頑張ったのにな。」

「そうだけど、ユキやリザ、ミミもあれだけ楽しみにしてたから、仕方ないよ。コウさん、謝り続けるしかないですよ。」

「そうだよな、謝るしかないよな。」

 俺が沈んでいると、明るい声でジルが帰ってきた。

「ただいまー。今日は男だけか、何かあったのか?」

「ああ、大問題が発生した。」

「何だコウ、しけた面して何があったんだ?」

「ああ、実は、、、。」俺はジルに事の顛末を伝える。

「それはお前が悪い。」

「それは俺もそう思う。問題はどう仲直りするかなんだ。どうしたらいいと思う。」

「まずはしっかり謝る、そして後はお前の誠意を見せろ。」

 誠意、誠意か、、、なるほどな。俺は誠意のみせ方を考える。そして計画を立てた。上手くいくかはわからない、だがこれ以上のことは考えられない。
 俺はジル、ハル、アクトに計画を伝え、ユキ、ミミ、リザと仲直りをするべく計画に移ったのだった。
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