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これで商人の仲間入りです

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 ダルクに次の目的地を聞かれ、商人ギルドへ商人登録に行くことを伝えると「これをお持ちください、役に立つはずです。」と書状を貰った。どうやら推薦状らしい、貰える物は貰うことに決めた俺は喜んで貰い、ザックと合流した。

「コウ、大丈夫だったか?大商会の幹部となると腹芸の上手い奴しかいないから、本気で警戒しないと身ぐるみまで剥ぎ取られかねねぇ。あんまり関わり合いにはなりたくないな。」

 ザックの話を聞きながら、ガッツリ関わってしまいましたなんて口が裂けても言えない。俺だけの胸に秘めておこう。

「そうですね。ザックさん、俺はこのまま商人ギルドへと向かおうと思います。」

「おう、そうだな。それじゃあ俺が案内してやる。」

 そうしてザックに案内され、商人ギルドへとやって来た。場所は大通りに面した冒険者ギルドの近くだった。
 そして商人ギルドへと足を踏み入れた俺の目の前には冒険者ギルドとはまた違う活気があった。その活気は商人として成功してやろうとする、ギラギラしたものだった。
 俺はそんな光景を眺めながら、ザックに促されながら受付へと声をかける。

「すみません、新しく商人として登録にきたのですが。」

 俺の言葉に笑顔だった受付女性の顔が曇る。久しぶりにこんな態度をされたな、リリーを思い出す。だがこの受付女性は自分の気持ちを押し殺し、事務的に対応してくれた。
 そして簡単な説明を聞いた俺は試験を受けるために、受付の女性に推薦状を渡し奥へと通された。

 試験室でこれで試験に落ちたらダサいなと少し不安になりながら試験官を待っていると、少ししてキッチリと身だしなみを整えた痩せ型のオッサンがやって来た。

「お待たせいたしました。本日担当をさせていただきます、ジグと申します。推薦状の確認とザック様より聴き取りをさせていただいておりまして遅くなってしまいました。申し訳ありませんでした。それでは商人としてのルールと義務についてご説明させていただきます。」

 あれっ、試験はどうなったんだろう?焦らされるのはあまり好きじゃないんだけどな、、、聞いておこう。小心者の俺はテストの重圧に耐えきれずにジグに尋ねる。

「あのーすみません、試験はいつするんでしょうか?」

「ああ、試験ですか。今回はありませんよ。」

 えっ、ないの!?何でないの、気になるんだけど。

「普通、試験があるという話だったんですが、なぜ試験がないのですか?」

「今回はザック様の推薦と、サルバトーレ商会のダルク様の推薦でしたので試験は免除となりました。」

 あ~そういうことか、ダルクの推薦の力はそんなに大きいのか、大商会の力は偉大なようだな。でも試験を受けないでいいなら、ダルクの力を使わせてもらおう。

「そういうことですか、わかりました。ルールと義務について教えてください。」

 そして小一時間説明を受け、なんとなくだが理解はできた。
 大まかなルールだが、まず1つ目は商人として活動するためには商人ギルドでの登録が必要となる。登録とは商売をする上での業種や業態をお金を払うことで許可を貰うのだ。万が一登録にない業種や業態で商売を行うと罰金や商人資格の取消、ひどいときは犯罪者として捕まるらしい。これは気をつけないといけないな。
 そして2つ目のルールは商人資格を得て商人として活動を始めるとなったら商売を行う地域を管轄する商人ギルドへ開始登録が必要となる。これは税金を収納する支店をハッキリさせるためらしい。
 ルールとしてはだいたいこのルールを守っていればいいらしい。
 そして義務だが税金の支払いだ。税金は年間の金額が決まっているタイプではなく、純利益に対する一律20%の課税らしい。その中で15%が国へ納められ、5%が商人ギルドへと納められる。
 そして商会の義務として従業員の給与の20%を税金として納めなければならない。
 義務としてはその2つの税金を納めれば大丈夫のようだ。

 新人商人の講習も終わり、ジグから俺の商人資格の申請をどうするか尋ねられる。まず業態は下から屋台、行商、店舗ということになる。店舗にしておけば全ての業態を行えるらしい、デメリットは金額が高くなることだ。業種は種類の数に応じて金額が変わる、飲食や宿屋、商会、奴隷商等様々だ。
 どうしようか考えていたが、万が一登録業種や業態で違反すれば罰金があることを考えたら何でもできる方がいいよな、全ての商人資格を得るにはどれ位になるのだろう?

「ジグさん、全ての資格を取ろうと思ったらいくら位になるんですか?」

「全てですか!?初めから全ての資格を取られる方はあまりいませんが、白金貨1枚になります。」

 白金貨1枚か、、、高いな。だが今後を考えるとあったら便利だし、必要な時にお金がある訳でもないよな、、、。

「確認のために聞きますが、資格を取った後は税金以外の別費用はかからないで間違えないですよね?」

「ご安心ください、別費用はかかりません。初期費用は商人の方が破産した際の借金の充当に当てられます。」

 それなら安心だな、よし決めた。大は小を兼ねる、全ての資格を取っておこう。だって先程の取引でお金はあるからな。

「わかりました、全ての資格を取っておきます。」

「白金貨1枚ですが、本当によろしいのですか!?」

「はい、大丈夫です。」

 それにしても凄い驚きようだな、本当に最初に全ての資格をとる新人商人はいないんだろうな。

「承知いたしました。コウ様がそこまでおっしゃるなら全ての商人資格で受理させていただきます。」

 俺は収納より白金貨を取り出し、ジグへと渡す。

「ありがとうございます。それでコウ様、コウ様の商会名は何にいたしましょうか?」

 名前は決めてある、『フォルトゥナ商会』だ。俺がこのしていられるのもフォルトゥーナ様のおかげだ、だからこの名前にしたいと決めた。

「フォルトゥナ商会でお願いします!」

「本当によろしいんですか?」

「何か問題がありましたか?」

「問題といいますか、商会名に神様のお名前を用いると神様の意向にそぐわないと神罰が降るんですよ。昔も同じように神様のお名前をつけた商会がありましたが不正を行なった所、神罰により全ての商会の建物に雷が落ちました。そういったこともあり、商会に神様のお名前を用いないのが一般的なんですよ。」

 なるほど、そういうことか、だが悪いことをしなければいいんだろ。悪いことなんかやるつもりはないから、何も問題ない。

「悪いことはしないので、大丈夫です。フォルトゥナ商会でお願いします!」

 ジグさんは仕方なさそうに受理をしてくれた。こうしてフォルトゥナ商会が新たな商会の1つとして誕生した。俺はジグさんから商会員の証を貰い、新たなスタートをきることになった。
 勇者のお披露目会の時期の商売許可で少し手続きをして用事は済んだ。

 少し気になっていたんだが、税金等の考えが地球のルールに似すぎている。もしかしてルールを作ったのは昔の勇者なのか?

「税金等、素晴らしいルールですが、このルールを作られたのはどなたですか?」

「このルールの素晴らしさがわかられますか!新人商人にも優しい素晴らしいルールです。このルールを作られたのは、賢者アキラ様です。勇者としてこの世界へとやって来たアキラ様です、本当に素晴らしい肩なんですよ!」

 ジグの圧が強く少し引き気味に「そうですか、、、。」と答えるのが精一杯だった。だがやはり昔の勇者が関わっていたか、少し調べてみよう。昔とはいえ、同郷の情報を得て少し気分が上がり商人ギルドを後にした。
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