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家族になろうよ

うちの子になりませんか

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 ミミに連れて来られたのは街外れの廃墟だった。俺の購入した家よりボロボロで今にも崩れそうな部分もあり、とても住めたものではなかった。

「ミミちゃん、本当にここに住んでいるの?」

「そうだよ。」

 ミミに何を当然のことを聞いているんだという顔をされたが、本当にここに住んでいるのがわかり、ショックである。

「ゆきちゃ~ん、かえったよ。」

「おかえ、、、ミミ、この人達は誰なの?」

 12歳位の金髪の美少女が現れた。俺らのことを観察するように、ジロジロと見てくる。恐らくユキちゃんがこの娘なのだろう。どうやらユキには歓迎されていないようである。

「ゆきちゃん、こうおにいちゃんとじるおにいちゃんなの。ごはんをたべさせてくれるひとなの。」

「へえー、ご飯を、、、」

 ユキは気が強そうなツリ目をさらに細めて俺らを睨みつけてくる。

「ミミ、前にも言ったけど、人は簡単に信じたらいけないのよ。」

「こうおにいちゃんとじるおにいちゃんはいいひとなの。」

「ミミ、この人達はミミが可愛いから付き纏っているロリコンなの。絶対に信じちゃいけない人達なのよ。」

 酷い言われようである、ジルはともかく俺はロリコンではない強く抗議しなければいけない。

「まあまあ、ユキちゃん。ジルはともかく俺はロリコンじゃないよ。」

「おいおい、ふざけんなよコウ。お前はともかく俺はロリコンじゃねぇ。」

「黙りなさい、このロリコン達。ロリコン達は早くここから立ち去りなさい。」

 取り付く島もないとはこのことである、俺も大人だ大人の余裕をみせよう。

「知らない人が来たから不安なのはわかるよ、今日は俺達はいい話を持ってきたんだ。まずは話を聞いてくれないか。」

「黙れ、ロリコン。知らないロリコンのいい話なんて胡散臭いにきまってるでしょ。バカなの?もしかしてミミだけじゃなくて、私まで許容範囲内なの。恐ろしいロリコンね。」

「さっきから聞いてればロリコン、ロリコンうるさいんだよ。自分が狙われてるなんて思い上がってんじゃねぇよ。お前にミミちゃんの千分の一の価値もない、、、なんてね。嘘だよ、泣かないで。」

 別に日和ったわけではない。例え目の前のユキが涙目になって肩をぶる振るわせてたなんて、全く関係ない。ただ少し言い過ぎたなとは思った。

「ガキに何ムキになってるんだよ。おいっ、ユキって言ったなこれを使え。」

 ジルはそう言うと、ユキにハンカチを差し出した。ユキは何も言わずにそれで涙を拭く。さらりとハンカチを出せる所が本物のイケメンだなと感心する。

「こう、ゆきちゃんをいじめたらめっ、なんだよ。」

「ごめんなさい。」

 ミミに怒られてしまった、反省である。

「もうしないので、許してください。」

「あやまるならゆるします。もうやったらだめだよ。」

「はい。」

 ミミの怒りをなだめていたら、ユキが落ち着いてきたので本来の目的を切り出す。

「それで今日俺達が来た目的はミミ達、ここに住んでいる者を一緒に住まわせようと思ってやってきた。絶対に来たくない奴もいると思うから、無理にとはおやもわないが、できればミミ等小さい子供は保護したいと思っている。他に何か聞きたいことがあれば答えるから聞いて欲しい。」

「小さい子供を保護したいなんて、そんな話を信じると思っているの?そういう趣味があるから、連れていきたいだけじゃないの?」

「急にこんなことを言っても信じてもらえないのは仕方ないと思う。だが俺は本気だ、小さい子供がこんな所で飢えに怯えながら暮らしているのは間違っていると思っている。」

「もし貴方の言っていることが本当だったとして、どうやって暮らしていくつもりなの?お金もかかるし、広い家も必要になるわよね。そんな大金を貴方は用意できるの?」

「俺は大金を持っている訳じゃないし、Fランク冒険者で収入が多い訳じゃない。だが汚いが家はある。少しみんなにも働いてもらうかもしれないが、どうにかなると思っている。」

「やっぱり、私達を働かせるために連れていくつもりなのね。甘い言葉には騙されないわよ。」

「言葉が悪かったな、働いてはもらうが内容は掃除や家事の手伝いなんかを考えている。それに将来のやりたいことが決まっている奴は将来の経験になるようなことを仕事を通して勉強させてもいいのかなって思っている。だが強制するつもりはない。」

 俺がそう言うと、ユキは考え始めた。仲間の一生を左右するかもしれないことだ、時間がかかってもしょうがない。

「いい話なのかもしれないわ。でも私は今日会ったばかりの貴方達を信用することができないわ。」

 ユキから真剣な表情で言われ、一生を決める決定をすぐに決めさせようとしたのは間違いだったなと思った。

「そうだよな、自分だけでなく仲間の一生を決める決定をすぐに決めさせようとしてすまなかった。」

 ジルの方は俺の決定にしたがうようで、何も言わず俺と共に帰ろうとした。すると玄関の方から男の子の声が2つ聞こえ、声の主がやってきた。

「ただいま。おいっここに何のようだっ、、、て疾風のジルさんですよね?握手をしてもらってもいいですか?」

 ジルは仕方なさそうに2人に握手をしてやっていた。飲んだくれの兄ちゃん位のイメージでしかないが、A級冒険者の有名人であることを思い知らされた。

「ところで、なんでジルさんはこんな廃墟にお越しくださったんですか?」

「ちょっと俺の連れが、お前らと一緒に住みたいって言ったから一緒に着いてきたんだ。」

「一緒に住みたいですか?どういうことですか?ユキっどういうことだ。」

「アクト、聞いた通りよ。その男が私達と一緒に暮らしたいらしいわ。」

「一緒に暮らしたい?それをやって何の得があるんですか?奴隷にでもするつもりですか?」

 アクトと呼ばれた少年はユキと同じように疑いの目で俺を見てくる。彼等が生きていくには疑り深くなるのはしょうがないのだろう。俺が口を開こうとしたがジルが話し始めたので、ジルの言葉を聞く。

「奴隷にするなら話し合いにくるか。こいつがミミって娘を見て、助けたいと思ったから来たんだ。得より損の方が大きいだろうな、それでもやりたいらしい。疑うのは自由だ、だが人生を変えるチャンスはそう多くないからな。さあ帰ろうか、コウ。」

「ちょっと待ってください、時間はとらせないから少しだけ時間をください。」

「ミミ、この人とジルさんをどう思う?」

 アクトはユキではなくミミに訊ねる。

「あーくん、こうおにいちゃんとじるおにいちゃんはやさしいの。」

 満面の笑みで答えるミミを見てアクトは決心を決めたのか表情を変えた。

「コウさんと言うんですね、俺達を一緒に住まわせてください。ただ我儘を言いますが、全員の意見を聞いて、住みたい奴だけになるのを許して貰えませんか?」

「ああ、もちろんいいぞ。無理矢理はいけないからな。それと最初は掃除になると思うからな。」

「掃除くらいなら大丈夫です。それでいつから住み始めるつもりですか?」

「いつでも大丈夫だけど、いつからがいい?」

「できれば早いほうがいいです。」

「それなら明日の7の刻に大通りの広場に集合な。」

「わかりました。ユキ、それでいいな?」

「分かったわ。」

 アクトがユキに聞くと、ユキは納得がいっていない様子だったが一応了解した。

 後は皆で話し合うだろうと思い、俺達はミミ達の住む廃墟を後にした。
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