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家族になろうよ

準備完了の後は買食いタイム

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 武器屋を出て防具屋と道具屋に行ったが、あんまり内容もなく、必要なものだけ買ってきた。
 防具は絶対に死にたくなかったのでB級の魔物の革を使った、レザーアーマーを買った。
 プレートアーマー系もあったが即諦めた。なぜかって、俺がヒョロヒョロだからだよ。泣けてくる、絶対に強くなってやる。
 『命を大事に』の俺がなぜA級じゃなかったかというと、単純にお金が足りなかったからだ。B級魔物の物でも金貨7枚したからA級の物は察してくれ。  
 金貨7枚は高いが、それでも命には代えられないから安い買い物である。それに加えて革靴、革手袋、マントを替えも考えて3セット購入した。
 マントはあまり高い物だと追い剥ぎに会いそうだったので、安物を買った。
 全部で金貨7枚銀貨60枚銅貨50枚を支払った。

 ちなみに買った防具はこんな感じだった。

イーラベアーのレザーアーマー
防御力    98
魔法防御力   73

スネッルブルの革手袋
防御力     46
魔法防御力  36
敏捷性     16

スネッルブルの革靴
防御力     45
魔法防御力  37
敏捷性    20

布のマント
防御力      1

 製作者ボーナスはなかった。ガバルはやっぱり腕が良いことがわかる。


 それから道具屋に行き、ポーションを5個買い、銅貨50枚を支払った。
 ポーションの効果はHP30回復だった。
 もしもの時の心の安定剤に購入を決断した。
 後は布袋や紐等、ちょっとした物を購入した。

  これで冒険に行く準備は整った。
 だが、もうお昼を過ぎていたので今日の冒険を諦めた。
 時間もあるし、異世界メシを堪能しよう。

 
 異世界メシを堪能するため、大通りへとやってきた。
 市場や屋台等が並び凄く賑わっていた。
 屋台から食欲をそそる良い匂いがして、思わずお腹からキューという音がした。

 そういえば今日は朝ご飯を食べていないことを思い出し、がっつり食べれるものをさがした。
 屋台にはスープや串焼き、麺料理等いろいろあった。
 異世界といえば串焼きや黒パンを浸しながら食べるスープだろ、食べてみるしかない。
 まずはハズレが少なそうな串焼きを食べよう。
 串焼きの屋台は多くどこで食べようか迷っていたが、少し高めだったが何の肉かを表示している店にした。原材料表示は大事である。
 マッドラビットの肉串、鉄貨3枚。
 マッドラビット、、、泥ウサギ、本当に美味しいのだろうか。
 しかし目の前からは香ばしい肉の焼ける匂いがする。
 空腹には勝てず、とりあえず1本買ってみる。

 『実食』ということで塩で味付けされた串肉にかぶりつく。
 肉は柔らかく、味は脂がのっているわけでもないのに旨味があるクセのないお肉だった。
 これは美味しい、すぐに買った1本を食べ終え、追加購入の2本もすぐに食べ終えた。
 串焼きに満足し、次はスープを食べようと串焼き屋の親父に美味しい店を訊ね、スープを買いに向かった。
 スープ屋も美味しいからか、ひっきりなしに客が来ていた。
 これは期待できる。
 俺も1杯購入して座れそうな所に向かう。

 いい感じの広場を見つけた俺は広場のベンチに腰掛ける。
 鶏ガラのような匂いのするスープを食べようとしていると、ボロボロの服を着た薄汚い5歳位の女の子がやってきて俺の方をじっと見てくる。
 すごい食べ辛い、俺が一口食べようとすると目の前の幼女の喉が鳴る。
 ものすごく食べたいのだろう。
 だが俺も、ものすごく食べたい。
 しかし幼女の視線に負け、声をかける。
 傍から見れば、お巡りさんを呼ばれるところである。
 しかし、俺には迷子かもしれない子供を助けるという大義名分がある。

「どうしたの、迷子かな?」

 できるだけ優しい声で言う。
 幼女はキョトンとした表情で顔を傾ける。
 薄汚いけど、可愛らしい。連れて帰って養ってあげたい。お巡りさん案件である。

「まいごじゃないの。おなかすいたの。」

 可愛らしい、ぎゅっとしてあげたい。

「お名前は何て言うの?」

「おなまえ?おなまえはミミっていうの。」

 ミミがそう言うとお腹からキュルッと可愛らしい音がなった。
 とりあえずスープと黒パンを幼女に渡す。

「ありがとう」

 満面の笑みで幼女はスープを食べ始めた。
 スープをスプーンで掬って口にいれる。
 最初は驚いた顔をしたがとたんに頬が緩み幸せそうな顔をする。
 そして何度もそれをくり返す、見ているだけで幸せになる時間だった。
 幼女は満足そうに全部食べた後、はっと何かに気付いたような表情をしてみるみるうちに両目に涙が溜まり始めた。
 その姿を見て何と声をかけたらよいかわからず、オロオロしてしまった。

「どうしたの?ご飯が不味かった?」

「ちがうの、ごはんがおいしくってぜんぶたべちゃったの。」

 声を震わせて教えてくれたが、理由がわからない。

「もっと食べたかったの?」

 ミミは泣きながら首を横に振る。

「ユキちゃんたちにももっていきたかったの。なのにぜんぶたべちゃった、、、。ミミはわるいこなの。」

 そう言うとミミはさらに泣き出した。

「ミミちゃんは悪い子じゃないよ。だってみんなのことを思ってるじゃないか。」

「ほんとぉ?」

 ミミはようやく泣くのを止めて、上目遣いで俺を見てくる。
 俺はミミが泣き止んでくれたことにホッとした。

「本当だよ。それでユキちゃんっていうのは兄弟なのかな?」

「ちがうよ、ユキちゃんはユキちゃんなの。みんなでいっしょにすんでるの。」

 ここまで話を聞いてもしかしてと思いあたることがあった。
 日本では見かけることはないが海外では多いというストリートチルドレンというやつではないだろうか。

「ミミちゃんはどこに住んでいるのかな。」

「すんでいるところ?」

「そうだよ、ミミちゃんが住んでる所だよ。」

「やねがあるところだよ。あながあるから、すこしさむいの。でもみんなでいればあったかいんだよ。」

 ミミが笑って答えてくれるが、不憫すぎる。
 どうにかしてやりたい。

「そうなんだね。ミミちゃんは何人で暮らしているの?」

「うーんとね。」

 ミミは一生懸命に指を折りながら数える。
 しかし数えている数字と折っている指の数が違う。
 またそこが可愛らしい。

「ぜんいんで6にんだよ」

「そうなんだね、教えてくれてありがとう。」

 俺は笑ってお礼を言うが、多分折った指の数が5本だったから、5人だろう。
 ミミを養うには他の4人も養う必要があるだろう。これは簡単に行動したら恐らく誰も救われないだろう。
 助けたいが、今は答えを出せない。
 悔しいが今日はミミに仲間の分のスープを4つ買って持たせてやった。
 自由にやりたいように生きると決めたのに、悔しさだけが残った。
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