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少年篇
作戦決行 side マリン
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ここまで一切緩めることなく、自分の精神と魔力を使いカリルを解放するために全力に取り組む
聖魔法や聖女の祝福等は魔力も必要だが、それ以上に精神とスタミナが大事なのだ
だから、魔力が少なくてもスタミナと精神さえ強ければある程度は使うことが出来る
そんな中自身の懐かしい記憶が思い浮かぶ
助ける事に全力で余裕などないはずなのに、あの時のことを、カリルと初めて会った日のことを
七年前、私がまだ七歳の頃に私の先生と共に、国王陛下の孫になる子供の出産に立ち会う事になった
その子供は、グランキー帝国の火竜の称号を持つ公爵、ガイル・フォン・ミハイル
ジークライア王国、元第一王女、リルアナ・フォン・ミハイル
二人共、とても優しく本当にカリルのことを愛していた
今となっては、何故といった言葉しか出てこないが、正直私には分からない
本当にかわいかった、始めた生まれたばかりの子供に私は胸を躍らせていた
まるで、弟が出来たかのような、そんな感覚だった
声をかけ、手を伸ばすと、小さい手で優しく私の指を握るその姿は私にとって
この子の姉になろうと誓った日だった
その場にいた、国王陛下は涙を流し、ガイルもリルアナも優しく微笑みながら涙を流していた
そして無事に生まれたことを喜んだ私達は、数日間屋敷に泊まることになった
そんなある日、カリルの事を私が少し目を離した隙に、窓から入ってきたカラスに襲われた事件が起きた
私がカリルの面倒を見ると買って出たのに、屋敷の外、下段の花に惹かれて部屋を出てカリルを一人にしたのだ
もう屋敷の中は大騒ぎで、皆総出でカリルの周りに囲んでいたカラスを追い払ったのだ
だが、カリルは沢山傷を負っており衰弱しきっていた
顔は真っ蒼になっており、血を流し続けたのだろう
目を瞑って浅い呼吸を繰り返しながら、何とか生きようとしているような様子だった
恐らく乱暴につつかれたり、くちばしで噛まれたり、ひっかかれたのだろうと分かる傷がいくつかあり、全員がカリルが死なないか不安になり
リルアナは、あまりのショックにその場で倒れるように気を失う
ガイルも強がってはいたが、その目には涙が浮かんでいて、余裕はない感じだ
誰もが、もう無理なのかと諦めかけていた所に、あらあらと落ち着いた声でカリルに近づいていく先生
カリルの体中についていた痣や傷をあっという間に直してしまったのだ
それだけでは終わることはせず、次の瞬間先生は少し祈った後に、カリルのおでこに手を当て自身の精気を分け与え始めた
勿論周りの者たちは止めようとする…………当然だ、精気を与えると言う事は、自身の生命力を分け与える、つまり寿命を削る行為なのだ
だけど、先生は辞めなかった、カリルが回復するまで自分の精気を注ぎ続けた
しばらくたった頃、カリルは元気が出始めたのか、落ち着いた様子で寝息を立て始めて、しっかりと深く呼吸を始めたのだ
そして、全員が良かったと絞り出すように、安どのため息を吐いた瞬間
勢いよく先生が私のところに向かってきて、思いっきり平手打ちをされた
周りにいた、ガイルや国王陛下は少し戸惑いながら、止めようとしたが、先生は私に怒鳴りつけた
「今回私がいなかったら一人で生きていくことのできない小さな命を殺しかけたのですよ! もっと自分の行動に責任を持ちなさい!」
いつも穏やかな先生からは考えもできない程の剣幕だ
だけど、幼いながらも、先生の言っていることがしっかりと理解できていた
そうだ、私が殺しかけたと言っても過言ではない
一人でご飯も、歩くことも何もできない、そんな小さな赤ん坊を私は自分がただ興味を惹かれたからという理由で、大事だと言った命を放棄したのだ
自然と涙を流しながら、謝っていた
子供だからと許されることではない、私よりも小さくか弱い命なのだ
その日を境に私は、カリルに何かあった時は、何が何でも守って見せようと誓った
なんで、今これを思い出したのかは分からない
もしかしたら、あの日の先生がしたように、私がカリルを助けようと全力だからだろうか、それとも、カリルに別の感情があるからなのだろうか
どちらにしても、私はカリルを絶対に失いたくない
そして、あの頃のように無邪気に笑うカリルをもう一度見たいんだ
もうあんな、何も期待していないような、どこか遠い目をしていたカリルを見たくない
私が…………私が救うんだ!
自分が出せるだけの力を、一気に全力以上に解き放った
カリルを救うために、守るために
次の瞬間、首輪に大きな爆発が起きる
最初から聞いていたことだが、あまりの爆発力から自身の体に一気に冷や汗と、恐怖心が出始めた
自身の心を、どんどん支配していく負の感情を抑えようと必死になっていき、焦燥感に駆り立てられる
だが、目の前に映っていたカリル、立っていたのだ
フラフラのはずなのに、誰よりも辛いはずなのに、歯を食いしばって立っていた
何をやっているのですか、私は…………
守ると決めたカリルが、私たちを信じて歯を食いしばっている時に、何を諦めかけているのですか!
絶対にカリルを救って見せると誓ったんです、やって見せないさい!
オラクリル・マリン!!!!
カリルの姿に鼓舞された自身の心
そして、そんな自分に反応したように現れる、黒い靄の様などす黒い塊
「カリルを…………殺させはしない! 私が救って、カリルを解放するんだ!
聖魔法や聖女の祝福等は魔力も必要だが、それ以上に精神とスタミナが大事なのだ
だから、魔力が少なくてもスタミナと精神さえ強ければある程度は使うことが出来る
そんな中自身の懐かしい記憶が思い浮かぶ
助ける事に全力で余裕などないはずなのに、あの時のことを、カリルと初めて会った日のことを
七年前、私がまだ七歳の頃に私の先生と共に、国王陛下の孫になる子供の出産に立ち会う事になった
その子供は、グランキー帝国の火竜の称号を持つ公爵、ガイル・フォン・ミハイル
ジークライア王国、元第一王女、リルアナ・フォン・ミハイル
二人共、とても優しく本当にカリルのことを愛していた
今となっては、何故といった言葉しか出てこないが、正直私には分からない
本当にかわいかった、始めた生まれたばかりの子供に私は胸を躍らせていた
まるで、弟が出来たかのような、そんな感覚だった
声をかけ、手を伸ばすと、小さい手で優しく私の指を握るその姿は私にとって
この子の姉になろうと誓った日だった
その場にいた、国王陛下は涙を流し、ガイルもリルアナも優しく微笑みながら涙を流していた
そして無事に生まれたことを喜んだ私達は、数日間屋敷に泊まることになった
そんなある日、カリルの事を私が少し目を離した隙に、窓から入ってきたカラスに襲われた事件が起きた
私がカリルの面倒を見ると買って出たのに、屋敷の外、下段の花に惹かれて部屋を出てカリルを一人にしたのだ
もう屋敷の中は大騒ぎで、皆総出でカリルの周りに囲んでいたカラスを追い払ったのだ
だが、カリルは沢山傷を負っており衰弱しきっていた
顔は真っ蒼になっており、血を流し続けたのだろう
目を瞑って浅い呼吸を繰り返しながら、何とか生きようとしているような様子だった
恐らく乱暴につつかれたり、くちばしで噛まれたり、ひっかかれたのだろうと分かる傷がいくつかあり、全員がカリルが死なないか不安になり
リルアナは、あまりのショックにその場で倒れるように気を失う
ガイルも強がってはいたが、その目には涙が浮かんでいて、余裕はない感じだ
誰もが、もう無理なのかと諦めかけていた所に、あらあらと落ち着いた声でカリルに近づいていく先生
カリルの体中についていた痣や傷をあっという間に直してしまったのだ
それだけでは終わることはせず、次の瞬間先生は少し祈った後に、カリルのおでこに手を当て自身の精気を分け与え始めた
勿論周りの者たちは止めようとする…………当然だ、精気を与えると言う事は、自身の生命力を分け与える、つまり寿命を削る行為なのだ
だけど、先生は辞めなかった、カリルが回復するまで自分の精気を注ぎ続けた
しばらくたった頃、カリルは元気が出始めたのか、落ち着いた様子で寝息を立て始めて、しっかりと深く呼吸を始めたのだ
そして、全員が良かったと絞り出すように、安どのため息を吐いた瞬間
勢いよく先生が私のところに向かってきて、思いっきり平手打ちをされた
周りにいた、ガイルや国王陛下は少し戸惑いながら、止めようとしたが、先生は私に怒鳴りつけた
「今回私がいなかったら一人で生きていくことのできない小さな命を殺しかけたのですよ! もっと自分の行動に責任を持ちなさい!」
いつも穏やかな先生からは考えもできない程の剣幕だ
だけど、幼いながらも、先生の言っていることがしっかりと理解できていた
そうだ、私が殺しかけたと言っても過言ではない
一人でご飯も、歩くことも何もできない、そんな小さな赤ん坊を私は自分がただ興味を惹かれたからという理由で、大事だと言った命を放棄したのだ
自然と涙を流しながら、謝っていた
子供だからと許されることではない、私よりも小さくか弱い命なのだ
その日を境に私は、カリルに何かあった時は、何が何でも守って見せようと誓った
なんで、今これを思い出したのかは分からない
もしかしたら、あの日の先生がしたように、私がカリルを助けようと全力だからだろうか、それとも、カリルに別の感情があるからなのだろうか
どちらにしても、私はカリルを絶対に失いたくない
そして、あの頃のように無邪気に笑うカリルをもう一度見たいんだ
もうあんな、何も期待していないような、どこか遠い目をしていたカリルを見たくない
私が…………私が救うんだ!
自分が出せるだけの力を、一気に全力以上に解き放った
カリルを救うために、守るために
次の瞬間、首輪に大きな爆発が起きる
最初から聞いていたことだが、あまりの爆発力から自身の体に一気に冷や汗と、恐怖心が出始めた
自身の心を、どんどん支配していく負の感情を抑えようと必死になっていき、焦燥感に駆り立てられる
だが、目の前に映っていたカリル、立っていたのだ
フラフラのはずなのに、誰よりも辛いはずなのに、歯を食いしばって立っていた
何をやっているのですか、私は…………
守ると決めたカリルが、私たちを信じて歯を食いしばっている時に、何を諦めかけているのですか!
絶対にカリルを救って見せると誓ったんです、やって見せないさい!
オラクリル・マリン!!!!
カリルの姿に鼓舞された自身の心
そして、そんな自分に反応したように現れる、黒い靄の様などす黒い塊
「カリルを…………殺させはしない! 私が救って、カリルを解放するんだ!
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