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prologue かつて世界は滅びを迎えていた

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 学校の帰り道。
 駅へ向かういつもの道。

 雑沓の中で不意に呼ばれた気がして振り向いたらそこには何も無かった。

 行ったこと無いけど宇宙空間ってこんな感じ?
 目の前にはただ暗闇が広がってーーー。

 あ、地面がある。
 足元に石の地面? 床? て言うか、えっ、魔方陣!?



「聖女様!!」


 大きな男の声にビックリして振り返ると、10人くらいの人達が座って床に手を付いている。
 なにこの人達っ。今にも土下座しそうな雰囲気でこっち見てるんだけど…!

「聖女様!!」「聖女様だっ」「聖女様」「聖女様」……

 皆さん一斉に私に向かって聖女様聖女様言っている。怖いって!!

 これあれ?
 異世界召喚ってやつ?

 皆さんの後ろには私の背後と同じく暗闇が広がっているんだけど、暗闇の中にも所々建物っぽいものが点在しているのが見える。

 なんとなく察するよてか察したくないけどこれってーー!





 世界の終わりだ……。









「聖女様っ。突然このような世界にお呼びしました事、平に! 平にお詫び申し上げます!」

「申し訳ありません!」
「申し訳ありません!」

 一番前の男の人がお詫びを口にすると、他の人達もまた一斉に謝罪しだす。
 いや、お詫びはいいから元のところに早く帰して欲しい。だってなんだかこの暗闇がじわじわと広がっているような気が……。

「聖女様っ」

 言うな。
 お願い言わないで。

「どうか、どうかこの世界をお救い下さいーー!」

「無理です」

 無理。無理に決まってるでしょ!?
 なんでただの女子高生に世界救えるとか思ってんの!?
 そういうのは勇者とかの仕事でしょ! そもそも私は聖女なんかじゃないし!!

 それよりも。

「無理です! 元のところに帰して下さい!」

 早く。早く帰して欲しい。
 あの暗闇に呑まれる前に。

「っ…! 聖女様…!」

「私聖女なんかじゃありません! 世界をす、救うとかっ。出来ないし! 人違いです! だから早く帰して!」

「聖女様。我らが喚び出したあなた様が聖女で間違いありません。申し訳…」

「嘘よ!」

 謝るな!
 いや、こんなところに喚び出してるんだから謝罪は必要なんだけど…そうじゃなくて。
 謝るって、私に悪いことしたって思ってるって事だよね。
 それって突然喚び出した事への謝罪だよね? 
 だったらすぐに帰してもらえばそれでいいし…!

「どうか神に祈りを! 聖女様がお祈りくだされば聖女様を通して神がこの世界を救ってくださいます。特別な力など要りません。どうか、どうか神に祈りを捧げていただきたいのですーー!」

 それってシャーマンってやつ?
 ここの神様なんて知らないけどそんなでもいいの?
 てか、特別な力とか、無いんだ……。ちょっとがっかり。

「……祈るだけ? 本当に祈るだけでいいなら……」

「おおっ……!」「聖女様!!」「聖女様……!!」

 うっ。
 泣いてる……。



「あの。でも、お祈りしたらちゃんと元のところに帰してくださいね?」

 頼むよ!!







「聖女様……」





 嘘。
 嘘でしょ?

 てかさ。

 なんでナイフなんか出してんの……!?



「申し訳ありません……!!」






    嘘でしょう…………?
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