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しおりを挟む「正確にはしゃぶる直前のとこで俺が部屋に入っちまって、それで慌てて部屋から逃げてきた」
「はああ?!なにそれ?!よーすけ、それホントに見たの?!」
「見た……さっき見た。それで渦川に追いかけられたけど逃げ切ってきた」
「こ、こーよー……」
「おい、それはさすがにシャレんなんねえぞ……ど、どういういきさつでそうなった?」
「知るかそんなの」
「ふたりってそんな関係だったの?だって、ハルヒコくんずっとサラとべったりだったじゃん」
「サラはカイザーのチンポしゃぶったことあんのか?」
「バカかおめー、なに聞いてんだ」
「ない。してあげようかって聞いたけど断られた」
「お前も答えなくていいよ!」
「さ、サラ……渦川くんに……そんなこと……」
「あーもー、そんなこたぁいいんだよどーだって!天音と渦川のそーゆー現場を見ちまったあげく、渦川にギンギンのチンコ丸出しで追いかけられたんだぞ!!俺が怖がって泣いてた理由がこれでわかったろ?!」
「泣く意味はわかんないけど、確かにそれは怖いね……ねえ、天音やっぱり頭おかしくなってるんだよ……絶対そーだよ」
「こりゃあ明日精密検査だな……人格が変わっちまってるかもしれねえ」
「縛ってでも大っきい病院連れてこう!」
「待て……それよりさ、今ふたりって部屋にいるのか?」
大吾郎の問いかけに、4人がピタリとおし黙る。
「……その、そういうことしてたんなら、ふたりって今ごろ……」
「やめてえええ!!想像したくない!!」
「やめろゴロー!!ずっとそれを考えまいとしてたんだ俺は!!」
「か、カイザーが挿れるのかな?どーいう体位でヤッてるんだろうな?」
「お前はさっきからひとりだけ論点がおかしいんだよバカ高鷹!!」
「……天音もハルヒコも、したくてしてるんじゃない気がする」
ひとりだけすぐに冷静さを取り戻したサラが、静かに切り出した。
「あ、ハルヒコはどうかわかんないけど……さっきの天音、違う人にのっとられてるみたいにおかしかったから。倒れて混乱してたのかもしれないけど、それにしても何ていうか……ホントの天音じゃないみたいだった」
「それってつまりどういうことだ?」
「変なこと言うけど、やっぱり高鷹が言ってたとおり、昨日トンネルで何かトラブルを起こして、その……」
「呪われたってか?」
サラが弱々しくうなずく。
「バカバカしいと思うだろうけど、みんなもあの姿を見ればわかると思う。アイスを食べてからとたんにおかしなことを言い出したんだ。僕の名前も、ゴローのことも忘れちゃってたし。ね、ゴロー?」
「うん……目つきも変だったし、話し方も……いつもけっこうハキハキ話すのに、さっきの天音はなんか、舌足らずというか、子供じみてるというか……」
「それこそ倒れたせいでそうなってるんじゃないのか?」
「それだけじゃない雰囲気だったんだ。とにかく、実際の天音を見てみないとわからないだろう。今は取り込み中かもしれないけど」
「ぐああ!」
耀介が髪をかきむしるように頭を抑えた。
「……理由はどうあれ、今すげーやられてる、俺の心が……」
「なんで耀介が傷ついてんだ?」
「わかんねえけど、何かこう……将来娘が生まれたとして、その娘に男ができたときって、こういう気持ちなんだと思う……」
「まぁまぁよーすけサンよぉ、いずれ誰しもセックスはするんだ、今からその絶望を味わってタフになっとけよ。たぶんマジの娘の方がもっとつらいぜ」
「うぅ……渦川みたいなのもヤだけど、もしも娘がお前みたいなクソ馬鹿野郎にとられたらと思うと……」
「いつだって一定数の女は馬鹿な男に惚れやすいからな」
「なんの話してんの」
「……な、なんの話してたっけ?」
「天音のこと、嫌うなよって話だろ」
「そーだっけ?」
「はあ、とりあえず今後のことを考えよう」
「今後っつっても、まずは明日精密検査を受けて、頭がおかしいことを確認しなけりゃな」
「……もし万が一正常だったら?」
「俺たちは天音と渦川にどう接していくのかってことになる」
「どう接するも何も今までどーりだろ、付き合い方変えるなんてメンドくせえよ。あんまりダルい人格になってたら放置だけどな。けどカイザーとただ乳繰り合うだけの関係だってんなら、そこにはフタをするだけで、俺たちは今までとなんにも変わらねえよ。たぶん」
「こんな狭い寮で変な気なんか使いたくないもんね。今までどおり付かず離れず、プライベートには深入りせず……その鉄則を守るだけでいいのかも」
「だいたい野郎同士の内輪で何がどうなろうが、いちいち気にしてらんねえって。男女のグループだったらすげえ面倒なことになってるかもしれねえけど……とは言え今回のことも衝撃っちゃ衝撃だけどな」
「ともかく芳賀くん方式で、穏便にいこうってことか」
「そーだそーだ。教育委員体質だ」
するとそのとき、サラが談話室の入り口の方を見て、「あ……」と声を発した。つられて他の男たちも視線の先を見やると、その場は今まででいちばん重苦しい沈黙に包まれた。
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