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「外に出たらまずいぞ!!先に玄関行け玄関!!」

ざわつく寮生たちに彼らの行方を聞いても、すでに走り去った後でありなかなか見つからない。そのため、耀介の指示で4人はすぐに玄関へ向かった。しかしそこに着くなり、耀介が「やべえ、遅かった……」と蒼白になった。玄関扉は開け放たれ、入り込む夜の冷たい空気が肌をヒヤリとさせた。

「近所の人に見つかったら、もう次こそまとめて終わりだ」

「ふたり揃って野外フルチンはさすがにやべえなあ」

門の外に出て一帯を見回すが、影らしきものは見当たらない。

「靴も履かないでどこ行っちゃったんだあ?」

「素っ裸なのに靴履くほうがおかしいだろ」

「ははん、確かに。あいつらちゃくちゃくと野人に進化してってるなあ」

「退化でしょ」

「だーっ!!そんなこたどうでもいいんだよ!!とりあえず手分けして……」

耀介が言いかけたが、ふと動きを止め耳を澄ました。

「おい、何か声する」

「声?」

「ほら……」

4人が輪になって目配せをしながら、「音」に集中する。声というより動物のうめき声のようなものだが、確かに何かが聞こえた。

「……これ、裏庭から?」

「かも」

「行ってみっか」

4人が連れ立って恐るおそる裏庭へ回る。すると声はどんどん近く大きくなり、高鷹が「ビンゴっぽい」と言った。そしてたどり着いた4人は、その光景を目にするなりげんなりとし、ため息が漏れるのと同時に肩の力も抜けていった。

「ぐぬっ、ぬっ、ぐおっ……ギブ、ギブギブ、ギ……がふっ……」

全裸の天音が同じく全裸のハルヒコに全力のスリーパーホールドを喰らわせ、頸動脈を絞められるハルヒコの眼前には、あの地蔵が立っている。そしてふたりはすでに取っ組み合ったのか、全身泥にまみれていた。「これ止めた方がいいの?」と珠希があきれ返っていたが、ハルヒコがピクピクと痙攣しだしたのを見て、耀介と高鷹がようやく止めに入った。

「おい天音、チョーク!チョーーク!!死ぬぞ!!」

ギリギリと締め上げていたが、ふと力を抜いたところで高鷹が天音の両腕を取り、興奮しているので耀介がそのまま背後から抱きすくめ、ずりずりとハルヒコから力づくで引き剥がした。するとハルヒコはそのままバタリと背中から倒れ、技のせいか地蔵のせいかは分からぬが、またしても泡を吹いて失神していた。

「失神KOってやつだな。」と高鷹が言うと、「どっちも負けだ大バカ野郎」と耀介が苦々しい顔で吐き捨てた。だが窓から覗いていた寮生にバスタオルを投げてもらうと、天音の身体を覆ってやり、「もっかい風呂入るぞ」と抱き起こしてやった。倒れたハルヒコは前回と同様に、大吾郎と高鷹が風呂場までわっせわっせと運んでいった。
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