少年カイザー(挿絵複数有り)

めめくらげ

文字の大きさ
上 下
21 / 128

快適お部屋交換

しおりを挟む



「……風呂についてくるなとまでは言わないけど、一緒に入るならお願いだから2メートル以内に近づかないで」

「あれだけのことをしておいて、いけしゃあしゃあとよく言えるな」

浴場に向かう道すがら、天音が振り返ってきっぱりとハルヒコに言った。

「それとこれとは別だよ。いいか、僕は今までのおだやかで優しい僕を取り戻したいんだ。君に関わっていたらいずれとんでもないことをしかねない。見てるだけでイライラするのにももう疲れた。怒らせないようにしろと君に言っても無駄だろうが、せめて僕の視界に極力入らないでほしい」

「ぬう……マジの拒絶じゃないか」

「今度から減点方式にする」

「何だそれは?」

「僕のとなりで着替えたり身体を洗ったらマイナス2点」

「いきなり理不尽すぎるぞ」

「身体に触れたらマイナス5点。指先でもアウトね。もちろんぶつかってもだ。2メートル離れてればぶつかることは無いだろうけど」

「俺を痴漢扱いか」

「立派な痴漢だろ。おまけにストーカーだ」

「ちっ、じゃあ服越しなら?」

「これは風呂場に限った話じゃない。部屋とか学校でも減点する」

「相部屋で2メートル離れるのは無理だ」

「部屋では1メートル離れてくれればいい」

「……」

「あとは、1回話しかけてくるごとにマイナス1点」

「おいフザけるな、日常生活に支障が出まくりだ」

「なーにが支障だ、僕と君のあいだで重要な話なんかしないだろ?教科書を借りるときだけなら構わないが、それ以外ではマイナスだ」

「……最終的にどうなる?」

「マイナス20で僕はこの寮を出て行く」

「は?」

「君に出て行けとは言わないよ。実家は島なんだろ?でも僕は下町の方だから、通えない距離じゃない。だから僕が出て行く」

「……」

「わかったら離れて歩いてくれ。あ、あと今からスタートだぞ。金輪際話しかけるなよ」

「小学生か貴様……」

マイナス1点、と言ってさっさと歩き出す。しかし昨夜、手段をかえりみない天音の過激な一面を知ったせいか、ハルヒコは不本意ながらしぶしぶ「ルール」に従い、風呂場では近付くこともからかうこともなく過ごした。だが周囲の生徒たちは、さすがに昨日の今日ではまだ互いの遺恨も色濃いのだろうと、不自然に距離を開けて関わりを絶ったふたりを見ても、特に疑問は抱かなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

私の事を調べないで!

さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と 桜華の白龍としての姿をもつ 咲夜 バレないように過ごすが 転校生が来てから騒がしくなり みんなが私の事を調べだして… 表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓ https://picrew.me/image_maker/625951

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

上司と俺のSM関係

雫@更新予定なし
BL
タイトルの通りです。

処理中です...