青い星の管理人

 大宇宙にぽつんと浮かぶ青い星。
そこには80億人もの人間たちが住んでいる。
湾曲した星の表面には幾つもの国家が存在し、多種多様な文化圏があり、幾つもの言語があり、
肌や目の色が違う人種が各々の生活を営んでいた。
 だが、そこは星などではなかった......。
球体上の世界ではなく、広大な平面世界の一画にある収容所と呼ばれる施設の中だった。
施設の外周は分厚い氷の壁で取り囲まれ、内側に住む人々は外の世界の存在を誰も知らない。
地図上にある陸地や海が世界の全てだと思い込まされていた。
壁の内側に住む人間たちは囚人と呼ばれていた。

 収容所の外側にも世界があった。
そこにも多くの人間が住んでいた。
そこで生まれ育った好奇心旺盛なひとりの若い女性が旅に出る。
彼女は一般人には窺い知ることができない収容所の中を見てみたいという一心から収容所の管理人となる。
年に一度の内部監査で収容所の中に入ることができるからだ。
収容所内を分割統治しているのは外の世界から派遣された(看守)と呼ばれる工作員だった。
所内にいる六人の看守たちを訪ねる一風変わった出張旅行が始まる。
彼女は目を輝かせて入ってゆく、収容所の中へと......。
 そこで目にするあらゆるものが彼女の心の奥深くまで浸潤し、次第に魂が変容していく。

初めて対面する見知らぬ自分......、
触発され浮き彫りになる自身の本質......、
所内で繰り返されるおぞましい洗脳......、

 迷走する彼女の目に映る異世界は楽園なのか、それとも奈落なのか......。
囚人と呼ばれる人間たちは何者なのか......。


連載長篇小説 青い星の管理人 





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