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3章

78話:第千層

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 最短ルートを通り、わずか四日で九九九層まで攻略し、千層のボスの前までたどり着いた。

 「ここでラストだな……」

 早いとこ回収するもんを回収してここから脱出だ。

 「二人共ペースが速すぎですよ~」

 ちなみザルカヴァは途中から九兵衛さんにお姫様抱っこをされる形で道中を進んでいた。というのも俺と立花の速度だとザルカヴァでは持たないからだ。まぁおかげでザルカヴァはずっと心臓バクバクでウハウハだったのは言うまでもない。

 「まぁ俺達もけっこう疲れたよ」
 「二人に合わすのは無理です……」

 実と九十九もこんな感じでヘトヘトだ。今回は九兵衛さんの巨人王の能力とこの迷宮がマッチしているお陰で特に移動に苦はなかったが他の迷宮であればもっと手間取ったはずだ。

 「すまんな、だがもうここでラストだ」
 「そうね、二人でささっと倒すから横で見ていて」

 扉を開き中に入り俺と立花は闘技場の真ん中に残る。

 「来るぞ」
 「ええ」

 緑色の光が人型の形を作り襲い掛かる。

 オンラク
種族:神族?
レベル450
攻撃:400000
防御:400000
魔法攻撃:400000
魔法防御:400000
素早さ:400000
魔力:400000
固有スキル:神の光、■◆●の節制
称号:エクリプス創生神の使い、4大守護神

 クレセントとステータスは同等のようだな。なら最初から本気で行かせて貰うまでだ。

 「立花!」
 「ええ!」

 それぞれ本気モードになる。

 こいつにかける時間なんてないからな。

 「大賢者の叡智を使うわ」
 「オーケー」

 立花の大賢者の叡智は一定の範囲内いる相手のすべてを筒抜けにする。ステータス画面で見えない弱点部位や、相手の攻撃や奥義といったもの全てを覗く事が出来る。

 「あいつの固有スキルの何とかの節制は、相手の魔力使用や攻撃を制限するらしく自身が弱まるほどそれが強くなるらしいわ」
 「つまり相手をある程度削った所で大技を決まればいい感じかな」
 「そうね、私が指揮と補助をするわ。周平は前に」
 「あい」

 さてまずはぶん殴って手ごたえを見るか。

 「おらぁぁ」

 早速相手の間合いに入り顔面に拳を入れると相手は吹き飛んだ。

 「おせぇよ」

 魔神モードで休むことなく肉弾戦に持ち込み一方的に殴り込む。

 「周平気をつけて、節制が発動しているわ」

 殴ろうとする手が一瞬止まる事で攻撃も止まり、反撃を喰らい後ろに吹き飛ぶ。

 「なるほど、連続攻撃は有効ではないみたいだな」
 「周平相手の体力は10%ほどカットしているわ。バフをかけるから攻撃力の高い攻撃を上手くあてて」
 「了解」

 立花は第七位階魔法のバオールをかけ全ての強化スキルを付与する。

 「いでよ絶門!」

 こちらも間合いに入る。どうやら俺のスピードも少し落ちているようで、これは油断できないな。

 「だがまだお前じゃ捉えきれてないようだ、覇剣!」

 無駄な攻撃よりも同箇所を攻撃して相手のスピードを落とすか……

 「神空閃!」

 攻撃すればするほど速度が落ちていくので、連続攻撃よりも大技で決める。この技やさっきの覚醒した実が見せた剣技が剣士としては最高峰の技だ。

 「ふぅ~」

 無事攻撃を当て、ここらで一度後ろに下がる。

 あれをやるか……

 「立花、居合をするから少し魔法で止めといてくれ」
 「わかったわ」

 一度下がり居合の構えをとる。

 「ベンドアの鎖!」

 オンラクの体を黒金の鎖で拘束する。立花が拘束してくれる間に攻撃の準備を終え、攻撃に入る。

 「神滅覇閃……」

 俺の放った斬撃はヒムヤーの右腕を吹き飛ばすと立花はすかさずその腕を鎖で拘束した。

 「斬られた腕をそのまま拘束してしまえば再生もできない……なるほど」
 「それにうまく連携する立花さんも凄い」
 「あの二人だから当然だよ~」

 ザルカヴァと実は感心したのか目が離せないようだ。

 「周平煉獄を!」
 「おう!」

 フィールドを煉獄へと誘う。

 「体力は残り七割ほどだしいいタイミングね」
 「極解!」

 ヒムヤーの左腕を吹き飛ばすと、動きが急速に鈍くなる。つまりそれだけ攻撃が聞いているという事だろう。

 「獄炎撃!」

 直撃するがどうやら威力まで弱体化しているようだ。

 「時間がたつに連れて動きや攻撃まで下がる仕様のようね……」
 「厄介な……」

 動きはまだ止まっているし直接殴り込むか……

 「煉獄拳!」

 渾身の一撃を当てた所でオンラクが緑色に光り始める。

 「周平逃げて!」 

 回避しようとするが俺の腕はオンラクの体から離れられない。俺はヒムヤーの光の放出をもろに喰らい吹き飛ばされる。

 「クソが……」

 傷ついた体を再生させようとするが、すぐに再生せず動きも相当ノロマになっているようだ。鎖からほどかれたヒムヤーが俺に向かい攻撃をしかけようとする。

 チッ……避けれんか……

 「させないわ!」

 立花は無数の魔弾を放ち攻撃を防いだ。

 「すまんな、立花」
 「大丈夫よ、あれの神の光の能力は大幅な節制のようね。クレセントは高い攻撃力に対しヒムヤー大幅なデバフ……やはり一筋縄ではいかないわね」
 「相手の体力は?」
 「残り三割を切っているわ」

 よしならば……

 「今度は俺が支援に回る、といっても一度しかまともな支援はできないがな」
 「フフッ、わかったわ」

 立花は俺の考えを読んだのか、それ以上聞くことなく前にでた。

 「いくわ、エレノアの光!」

 立花は連続魔で削るようだな。

 「破槍アイシングラス!」

 破壊の槍はヒムヤーへと直撃するがヒムヤーは耐え、両腕がないなか体から光の砲弾を放出する。

 「あれを喰らったら面倒ね、ダイオメドの盾」

 立花はさらに一度下がり魔法を発動する。ここで創生魔法を発動する時とは違う、大きな魔力を感じる。どうやらあれを使うらしい。

 「大いなる神罰エターナルジャッジメント!」

 第十位階をも超える神魔法……これなら速度はあまり関係ないし威力もかなり高い。さてそろそろ仕事をしないとな。

 光の裁きはオンラクに降りかかるがガードの態勢にはいっているようだな。

 「フフッ、これはおとりよ……周平!」
 「あいよ」

 攻撃が終了と同時に発動するのは魔神の戒律を発動する。これは逆らう者に容赦のない罰を与えるというもので、死を与えることもできるがオンラク相手では死を与えることはできない。だが不完全ながらも相手の能力を一時的に封じこめることができ、魔法は貫通した。

 「立花俺はまだ動きが鈍い、頼んだぞ!」 
 「ええ、とどめはいただくわ」

 立花はローズメイデンを手に接近する。

 「ハァァァァ!」

 立花の斬撃は容赦なく体を貫き、ヒムヤーの体は徐々に光を失っていく。

 「とどめね、ディバインバルカン!」

 ヒムヤーは完全に消滅した。まぁ不完全とはいえ、二十柱二人だし勝って当然か。立花は俺の元に駆け寄る。

 「フフッ、少し直接攻撃をしすぎね」
 「まぁな、後ろに立花がいたから好きにやらせてもらったよ」

 サシでやる時はもう少し考えてやらんとだな。ステータス差はけっこうあるが偽神の攻撃は侮ってはいけないということだな。

 「まぁ予定通り短時間での決着はついたし、その為の直接攻撃だったんだろうけど気をつけて……」

 立花は心配そうな顔で俺を見る。あまり心配をかけてはいかんな。

 「ああ、俺は常に勝つために考え戦っている、サシならやつの攻撃をもろ喰らうような真似はしないさ」

 サシでやっていたら確かに少し苦戦したかもしれないな……あの程度の奴にここまで苦戦をしてはいけないな。
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