前世で魔神だった男、嫁と再会して旅をします。

明石 清志郎

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3章

74話:迷宮攻略その一

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 三百層まではなんなく進んだ。

 「ここまで三日ほどで今地上は夕方かな~」

 九兵衛さんが言う。三日で三百層の扉の前まで進めたのでスピードとしては悪くない。

 「さて三百層のボスだが実が一人で倒してくれ」
 「了解」

 三百層のボスをソロで攻略する。これが三〇一層以降に行くための必須事項だ。

 「本当はザルカヴァにソロでやらせたいが少しキツイだろうから実で」
 「一人で倒さないと深層に行けないんでしたよね?」
 「そう、しかも三百層のボスはステータスが平均三万ぐらいだからまだちょっと早いな」
 「一人が必須ならしょうがないですね……」

 ザルカヴァは少し落ち込んでしまう。やらせてあげたいが途中で介入してしまうと、その条件を満たさなくなるし、一度倒してしまえば復活に時間もかかってしまう。

 「まぁ気にするなザル、深層に入れば嫌でもパワーアップできる」
 「うん、みのるんも頑張って!」

 俺達は扉を開き中に入ると実以外は闘技場スペースからでて実一人だけ中央に近づくと魔物が現れた。

 ウシュムガル
レベル160
種族:獣族
攻撃:23000
防御:20000
魔法攻撃:20000
魔法防御:21000
素早さ:20000
魔力:20000
固有スキル:混沌の牙、大地の舞

 現れたのは翼のない大きな龍の怪物だ。

 「いくぞデカブツ!」

 実はコントラクトスキルの戦国統一絵巻を発動する。

 「賤ケ岳七本槍!」

 実の攻撃はウシュムガルへと直撃、刀を手に居合の態勢に入る。

 「絶空閃!」

 実の斬撃がウシュムガルの体が二つに分けた。

 「みのるんやる~」
 「当然です、実君がこの程度の敵に遅れをとるなどありえません」
 「まぁここからだな、三〇〇層のボスは第二形態がある」

 ウシュムガルは肉体を再生させ第二形態へと変化させる。クラスメイト達はここで苦戦を強いられていたんだったな。

 ウシュムガル改
レベル200
種族:獣族
攻撃:35000
防御:30000
魔法攻撃:30000
魔法防御:32000
素早さ:30000
魔力:30000
固有スキル:混沌の牙、大地の舞

 ウシュムガルは舞いをはじめ実を襲いかかった。まぁ余裕で倒してくれるはずだ。

 「遅い……」

 実は刀でそれを受け止め押し返す。

 「本当の牙を教えてやるよ……」

 実はウシュガルムに向かい異能を発動する。実の異能である剣歯虎の牙は上半身を剣歯虎サーベルタイガーへと姿を変えるものだ。

 「嚙み砕いてやるよ」

 上半身を剣歯虎へと変化させた実は首元を噛みつき、ウシュガルムは悲鳴をあげる。

 「実はあんまし異能は使いたがらないんだがな」
 「フフッ、相手を見てムキになったようね」
 「あの実君はあまり美しないです……」

 九十九はあまり実の異能はあまり好きじゃないんだよな。異能自体はまり美しくなく野性的だからかな。嶋田のやつは両腕を変化させるだけだからむしろいい感じなんだけどな。

 「終わりだ……ソードファング!」

 首を完全に嚙み砕き勝負は決した。

 三百層のボスをソロで倒し深層への道が開かれた。ステータス三万超えを一瞬で倒すあたりさすがは実といった感じだ。

 「私もあれぐらいの実力があればな……」
 「まぁ実もかなり恵まれているからな、ザルもいずれは到達できるよ」
 「精進します」
 「ふふっ、これより下は雑魚でも一万を軽く超える魔物が出てくるしかなり鍛えられるわ」


 ◇


 「ここが深層か~」

 三〇一層以降は外観が変わる。地形も層ごとに変わり環境への適応も必要となってくる。実達は深層に来るのは初めてだったな。

 「とりあえず五百層までの雑魚敵は今まで通りの配置で、九兵衛さんは後ろをよく見ていてくれ」
 「了解よ~」

 どうやら迷宮ごとに出る魔物の属性がでるようだ。クレセントは炎属性が多めだったイメージだがここは土属性が多めのようだ。

 「風属性が有効な傾向にあるな、相手にもよるがそれを見極めて効率よく相手を倒していくんだ。ザルは槍に属性を付与してうまく倒すんだ」

 雑魚敵もまだステータスが平均五千ぐらいだし三人でも問題ない。三百層までにかかった時間は三日、実際各層をくまなくさがせばもっと時間がかかるのだろうが、最短ルートを通って進んでいる。

 「立花の魔法は流石だな」

 立花は創生魔法バードキャッチャーの線を使用して敵の気配や下への正確なルートを導きだしているのだ。

 「五百層までのボスは三人でうまく連携して倒してくれ」

 五百層のボスならステータスは精々五万ぐらいだろうし、そこまでは三人で問題ないだろう。
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