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1章

27話:次の道

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 ミックスを心身ともに滅多打ちにした俺達は、ハインツ公爵家を脅し、今回の件に関わった使用人の解放と報復をした場合に全てをバラすと脅した。あと今後はギルドの監査をいれ、同意なしに性的屈辱なんかを与えた場合等も同様の措置をとる等、たくさんの条件を付けたわけだが、一番こっちにとって良かったのは毎月口止め料金貨百枚を上納することだ。これで何もしなくても勝手にお金が入るようになったのだ。

 「色々世話になったな~」
 「気にするな。結果ギルドにもいい利益が向く形となった」
 「だな~しかしミックスの奴……一週間強制外出強要とかある意味死よりも辛いな……」

 俺達がここを出るまでの約一週間、頭を隠さず俺達に会いに来るということまで強要した。流石に下半身は可哀そうだから勘弁してやったがな。

 「ああいうのは殺しても良かったが使い道は十分ある」

 前世の記憶が蘇ってきたので、人を殺るのに躊躇はないがなるべく不用意な殺しは避けたいのが本音だ。勿論戦争となれば話は別だがな。

 「そうね。私達にお金をくれるいい金づるだし、そこだけは有用だからね~」

  立花は随分とニコニコだ。こいつも激しくバカみたいに笑うことはあまりしないがミックスは相当面白かったのだろう。あんな爆笑してんのいつぶりだってぐらいに笑ってたな。

 「ハハッ、お前達だけは敵に回さないようにするよ……まぁ総長の戦友ってだけでも怖いぐらいだ」
 「あの人と肩を並べられるのは少ないからな~あの人が戦友なんて言うのは確かに限られている」

 あの人にとって信頼できる奴や部下は仲間、親しい者は友達。そして背中を預けられるのは戦友だって昔言っていたからな。まぁ今の俺も立花も不完全だからあの人の方が全然強いがな。

 「それでこの後のおすすめルートを教えてくれないかしら?」
 「おおっ、そういえばそうだったな~まず何処に向かうかだな」
 「周平どうする?」
 
 最初は陣のいるファラリス連邦の首都ファラモンドに行こうと思ったが、九兵衛さんとの再会という選択肢もでてきた。今後のことを考えれば昔の仲間との再会をするべきだろう。あいつらが全員揃えば世界を相手に戦争をし屈服させることも不可能ではないからな。

 「そうだな……まずはファラモンドと思っていたが九兵衛さんとの再会を先にした方がいいかもな」
 「そうね、九兵衛さんと接触をした方が今後のサポートもある。それが賢明ね」
 「ああ。というわけでギャラントプルームだ。」
 「オーケー。大雑把だが地図なんかも渡したいからついて来てくれ」

 再びギルドのVIPルームに行き説明を受けることになった。

 「ええっとまずはこれだな」

 シルキーサリヴァンはテーブルの上に丸めてあった地図を広げた。

 「これが世界地図ってやつだな。昔九兵衛さんやお前達騎士団の手で作ったんだったな」

 昔この世界に来る前に、二十柱の王であるルシファーさんがくれた物を一般に流通させたのだ。こういうファンタジーな世界だと、正確な世界地図なんざ出回ることは少ないが、この世界は俺達二十柱にとっても特別な世界であるから別だ。

 「そうだな、厳密には騎士団で作ったものではないが俺達が広めたのは間違いない」
 「そうね。確かここはここら辺かしら?」
 「そうだな。それでギャラントプルームはここいらでファンドはここら辺だ」

 四つの大陸があり、それらの真ん中にギャラントプルームがあるのだ。そしてギャラントプルームには冒険者ギルドの総本山がある。

 「ギャラントプルームに行くにはここからこのアルマンゾールってとこに行けばいいのか?」
 「そうだな。そこまでは馬車がでているからな」
 「そこからは歩きか?」
 「いやアルマンゾールで確か馬車が出ていたはずだから乗り換えという形になる。直通便に関しては総長の意向で許可を出していない」

 そこはあくまでも一つの国ということになっているということかな。というかこんな場所前はあったかな……

 「なぁ立花?」
 「なぁに?」
 「ギャラントプルームって昔あったっけか?」
 「あらやっとお気づきね。こんなとこ昔はなかったわよ」

 そもそもここいらは海だったよな?こんなに大地いつできたんだ?

 「ああ、それは確か九兵衛さんの巨人王の大地の力で無理やり作ったって言ってたいたな……俺も土地を増やすなんて流石に疑っているがどうなんだ?」
 「うん……可能だよ」
 「可能ね……」
 「マジか!あれは本当だったのか……」

 巨人王は大地を操る能力を有しているからな。これぐらい造作もないことだ。海を操る人魚姫とは能力的には対になる存在だ。

 「それじゃあこのままアルマンゾールに行ってラグーサの大森林に入る感じだな~」
 「そうね。その後どうするかは九兵衛さんに会ってからね」

 クレセントの大迷宮は攻略したとして、次はレガリアかオンラクでラストはオルメタって感じになりそうだな。

 「ああそうそう。九兵衛さんがお前達がギャラントプルームに来るってなったら、その時はアホヌーラ山脈を越えて来るように伝えてくれと言われていたよ」
 「九兵衛さんが?」
 「ああ、行けばわかるそうだがアルマンゾールからそっちのルートを通ってくれ。どのみち行くことになるからなと言っていた」

 どのみち行くことになるか……ということは何処か行くべき場所がその山脈内のどこかにあるということだろう。

 「お前達には関係ないだろうが、魔物はそこそこ強いし、天候も荒れやすいから少しは楽しめるかもしれん」
 「それは面白そうだな~」

 多少は強い魔物ならそれなりに楽しめるだろうし素材も金になる。今後の為の資金稼ぎには持って来いだな。

 「となると色々と買い込む必要があるわね~」
 「だろうな。この街であれば旅の道具は大体揃う。どうせ洋服の仕立てで一週間いるなら見て回るといい」


 ◇


 王都アスタルテにいるクラスメイト達は夜寝静まっていた。夜の外出は基本的に許されてないがこっそり出かける者もしばしばいる。雪と美里はこっそり城を抜け出し迷宮へと向かった。

 「雪大丈夫?」
 「うん。おそらくつけられてはないと思う」
 「約束したのが今日の夜だったもんね」
 
 二人はとある人と迷宮で会う約束をしていた。魔法もその人にこっそり教えてもらっていたのだ。

 「でもあのクラス会議……正直嫌になるよね……」
 「そうだね……」

 二人は周平がああいう扱いを受けているのが気に入らなかった。誰よりも高い能力があり、リーダーシップをとるにも一番優れているのは周平だと二人は考えていた。それは仲がいいからだけでなく、客観的に見た上での判断だ。確かにリーダーシップを取る能力に関しては嶋田も負けていないが、様々な判断をする時彼は情を優先する。それが人気で慕われる理由でもあるが、同時に二人が周平に比べて劣る理由だとも考えていた。

 「大体みんなして周平君嫌いだからってさ……」
 「そうだね……でもあれで犯人に少し揺さぶりをかけることが出来たはずだよ」
 「そうね~まぁ周平君が迷宮から出てきた時点で動揺したとは思うけどね~」

 あそこで彼女が、あの件を口に出して言ったのは今後クラスでああいったことが起きないようにするのと、怪しいと思う人間の顔色を見る為でもあったのだ。

 「問題は実行犯じゃなくてそれを裏で引いた黒幕だけど、正直怪しいのが結構いてあんまりわからなかったんだよね~」
 「まぁしゃーなしね。でもやっぱり怪しいのは結局あそこら辺でしょ?」
 「うん。あの中で黒幕は誰だって話になるとね……」

 二人は予め、周平に二人気をつけろと言われて人物がおり、そこから黒幕を探し出そうとしていたのだ。

 「犯人がボロでも出してくれればいいんだけどね~」
 「ハハッ、それは中々難しいだろうね~」

 二人は迷宮に入り攻略を終えた二百層にワープして入る。一度攻略した層は、攻略した人のみ転移装置でワープして行くことができ、その場合ボスは発生しない。だが別の攻略者がボスと戦っている場合は移動はできない。

 二人は転移し二百層の闘技場まで行く。

 「おおっ二人とも来たな~」
 「フフッ、お待たせ~」
 「夜遅くにご苦労様~早速会議の話を聞こうか?」
 「うん、周平君!」



 
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