前世で魔神だった男、嫁と再会して旅をします。

明石 清志郎

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1章

18話:冒険者ギルド

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 ギルドに入り受付を探した。
 ギルドの中は賑わっており、依頼を受ける者や素材を交換する者、雑談している者と様々だが中の雰囲気は悪くない。こうして見てると昔の記憶がよぎり、また仲間と集まってまた色々やりたいと思えてくるものだ。

 入って左側が集会所で右が依頼受注する場所のようだな。正面にいる受付嬢っぽい人に話しかければいいか。

 「すいません、魔石や素材の交換はどちらの受付ですか?」
 「見ない顔ですね。冒険者の方ですか?」

 受付のお姉さんには俺達が物珍しく見えたのか色眼鏡で見られているようだ。

 「いえ、冒険者ではないです」
 「そうでしたか。では右側の一番奥の受付でお願いします」

 奥の受付に案内されるとそこにはごついおっさんが立っていた。肌は褐色で頭は光輝く肉体派のマッチョで、上半身はほぼ裸のこれまた筋肉がしまった美しい肉体だ。

 「魔石や素材の換金をお願いしたいのだが」
 「ふむ、では早速だしてもらいたい」

 とりあえず迷宮三五〇階から五〇〇階あたりのからだすか。

 俺は宝物庫からがどんどん素材や魔石を取り出しいった。ここら辺の魔石とかならまぁレアぐらいなはずだ。流石に伝説級の宝は出すのを自重しておく。
 だが俺のだしていく姿を見ておっさんはどんどん青ざめた顔をしていく。

 「まだあるがとりあえず三割ほどだ」
 「ふむ……黒の魔結晶に白の魔結晶、鉄巨人の核、ダークベヒモスの角、冥龍の牙……お前ら何者だ?」

 無理もない、これだけの素材を見て顔色を変えずにはいられないだろう。

 「そこは触れないでいただけると嬉しいわ……」
 「とはいってもな…お前ら冒険者じゃないんだろ?そんな伝説級の素材持っている以上野放しにはできないんだが……」

 なんとこれでも伝説級だったか……覚醒前の状態でもあまりにも弱かったし大丈夫だと思ったが甘かったか。
 男は怪訝そうな顔でこちらを見る、やはり簡単にすんなりいかないか……

 「それはどういう意味だ?」
 「いや、ぜひ冒険者ギルドに入ってもらいたいということだ」

 まぁそうなるよな。値段の割り増し考えてここは素直に申し出を受けておくか。ただ色々騒ぎにならないよう取り計らってもらう必要がある。

 「それは願ってもない話だけど、素材のことも含め是非特別ルームにでも案内して頂戴」

 横から立花が俺の考えを読み取ったかのように言う。

 「そうだな、ギルド加入の事も含めてここでは話しずらいな。実はこれよりいい素材あるし」

 するとおっさんは少し考えているような表情を見せてから口を開く
 
 「それはいいんだが……お前達の名前もしかして周平と立花って名前じゃないか?」

 えっ……こいつなんで俺達の名前を……

 「あなた何者かしら?」

 立花がすぐに殺気をむき出しにする。
 
 「確かに気になるな……何で俺達のことを知ってるんだ?」
 「まてまて、二人とも落ち着け。訳はしっかり話すから!」

 おっさんは慌てて俺達を宥める。立花と俺が殺気を見せた瞬間にこれだ。このおっさんも中々の手練れのようだが、それだけに力の差はしっかり理解したようだな。

 「いや、俺も総長から伝説級の素材を持ったカップルが現れたら、俺の元に連れてくるようにって言われててさ~いつ来るかはおおよそでしかわからないから、つい一月前にここにきてしばらく素材交換所で仕事をしてくれと言われたんだよ」

 その言葉に俺達は反応する。

 「ねぇその総長の名は?あなたと総長の関係は?」
 「ああ、総長の名は高天原九兵衛だ。どうせ知ってんだろ?で俺はシルキーサリヴァンっていうもので、総長の腹心でありここのギルドマスターだ」
 「なるほど……そういうことね」

 立花はその名前を聞いてある程度察したらしい。
 高天原九兵衛……昔の仲間の一人で俺や立花同様二十柱に名を連ねる男だ。


 陥没した大地とおぞましいほどの死体の山……そこで彼は俺を待っていた。死体の山の上に座っていた彼は俺が来ると降りてきた笑みを見せた。

 「九兵衛さんあなたが本当に来てくれるのですか?」
 「ああ、黒姫やランスロットにも頼まれているからね~それに僕と君は同胞じゃん?頼まれずとも君の助けになるつもりだったよ~」
 「ありがとう、これは?」

 確かにここは山賊がたむろする場所ではあったが、何もここまでしなくてもと思ったものだ。


 「君と俺との出会いに水を差す輩がいたもんでね~どうせならそいつを使ってより記憶に残るようにしてみたんだ~」

 俺達が作った騎士団のメンバーであり二十柱の一角、巨人族始祖である巨人王の力を受け継いだ男。
 風貌は三十代のおっさんでよく夜のお店に一緒に行った記憶が……その度に立花に連れ戻されていたのがなつかしい。

 「九兵衛さんは今どこに?」
 「総長はギルド総本山があるギャラントプルームにいる。とりあえず素材は全部確認したうえでお金に換算するから、VIPルームで待っててもらいたいのだがいいか?」
 「頼んだ」


 ◇


 VIPルームに案内され、そこで素材が現金換算されるのを待っていた。

 「まさか九兵衛さんが冒険者ギルドの総長とは……」

 さすがと言うべきか。あの戦争終結後も色々活動していたようだ。

 「ええ、びっくりね」
 「あの男も九兵衛さんの部下なら信用してもいいかもな」
 「ただあの男が私達や九兵衛さんがどういう存在なのか知っているかね」
 「ああ……」

 二十柱というのは、本当はこの宇宙を守護する立場にある存在であり、この世界でも当然守護神のような存在だ。だが神を名乗る奴らが二十柱を排斥し自らをこの世界の神とし、二十柱を異端ということにして世界に広めた。それがダーレー教であり、人間族の大半が信じているだけに俺達は異端ということになる。
 
 彼が九兵衛さんが二十柱であるかを知っているかだ。いかに腹心といえど教えていないかもしれないからな。

 「お待たせしたな」

 シルキーサリヴァンが扉を開けて入ってきた。

 「とりあえずお金の換算だがあの分だけで白金貨が百枚、金貨が六十六枚、銀貨が五十二枚、大銅貨が四十四枚、銅貨が三十枚ってとこだ。ちなみに中貴族よりの蓄えがだいたい白金貨五百枚ってとこだな」

 まじか……残りの素材はもっとレアだろうから全部売ったら……
 価値だが銅貨十枚で大銅貨一枚、大銅貨十枚で銀貨一枚、銀貨百枚で金貨一枚、金貨百枚で白金貨一枚というレートで世界共通だ。

 「ちなみにここでの換金はこれ以上資金的にすぐには無理だしもっと強い魔物のレートはここじゃつけられん」

 まだ半分もだしてないのにギルドの資金運用に影響するレベルのなのか……
 まぁこれだけ金あれば当分困らんな。

 「九兵衛さんのとこで残りは変えてもらうとするか」
 「その方が確実だ。あとこれはここだけの話だが……神殺しのことは隠しておけ。話は聞いているがあんたら総長同様二十柱で魔神と大賢者だろ?」

 シルキーサリヴァンは知っていたようだ。まぁ俺達を自分の元に連れてくるよう指令をだしている以上、知っていて当然っちゃ当然ではあるな。
 九兵衛さんが俺達が来るのを知っていたのは、黒姫の未来予知の能力によるものだろう。

 「知っていたんだな」
 「ああ、総長に来る二人のことを聞いていたからな。俺はダーレー教が嫌いでね。一応反逆罪にならによう隠しているし、無宗教を貫いているから神殺しには賛成だ」

 人族だからって全員が全員信仰しているわけでないということか。反ダーレー教も探せば割とたくさんいるかもな。

 「九兵衛さんの腹心はみなそんな感じなのかしら?」
 「ああ、九兵衛さん正体を知るのは俺含め八人だ。この国のもう一つの大ギルドがファウンドという街にあるが、そこにいるギルドマスターは俺同様総長の腹心だ。それとこれも総長に言われた通り、仮だがVIPランクの発行もしておこう」
 「VIPランク?」
 「冒険者のランクは実力に応じて銅、鉄、銀、金、白金、黒というランクに分かれている。黒は九兵衛さんのみだが、それと同等のランクを発行しろとのことだ。当然縛りはないしどこのギルドでもVIP待遇だ。依頼の強制なんかは九兵衛さん頼みごとを聞く感じ以外ではない」

 悪くない条件どころか非常にいい。九兵衛さんは俺達が飲むような条件をあらかじめわかった上でだしているわけだがな。

 「それはいいわね~九兵衛さんもわかっているじゃない~」
 「そうだ、ちなみに同等ランクの発行は初らしい。白金はギルド職員では俺達腹心八人ともう二人の計十人、冒険者扱いなのが十人だ。よく覚えておくといい」

 白金クラスになるとそれぐらい少なくても当然か。

 「了解、素材出してとんずらの予定だったけど少し街を回るか~」
 「フフッ、そうしましょ~」
 「出る時にまた声をかけてくれたら色々手配するからよろしく。それとこれがギルドカードな」

 黒く光るギルドカードを渡された。
 装飾がされており、いくらかかったんだと言わんばかりの品だが、彼曰く総長自ら手製を込めて作った品とのことだ。
 

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