前世で魔神だった男、嫁と再会して旅をします。

明石 清志郎

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1章

7話:慢心と罠

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 百二十五層での休憩中雪や杉原が俺の元に来た。

 「やっほー」
 「お疲れ様~」

 クラストップ二というか学年トップ二美女が俺の元に来る。
 学校では毎日玉砕報告が絶えなかった二人だ。
 そんな二人が目の前にいたらどこに目線を置くか考えているうちに頭がショートしてしまう、特に杉原の強調された胸元には視線が吸い寄せれる。
 こんなエロい体している杉原だけあってよくストーカーする奴もいたな。
 その度に俺と陣はそういう輩を成敗していたのを思い出す。

 「おっ、雪、周平君が私達に見惚れているよ」
 「えっ、本当?」
 「いきなり何を言うんですかね杉原さんよー」

 見惚れないわけないって。

 「てへっ」

 まぁ2人とも可愛いから当然だ、俺だってあいつのことがなければどっちかもしくは両方とそういう仲になることを望んだに違いない。

 「二人とも後ろで見てたけど凄いな」

 月島の魔法も杉原の弓の技術もクラスメイトの中ではピカイチだし訓練時よりもさらに向上している。
 やはり実戦を重ねるとより技術が向上するんだな。

 「だって後ろに周平君がいるからね」
 「そうね、周平君の存在が雪や私を強くしているのよ」

 こんなこと言われると心がグッと動きそうになる、この二人ならあいつの穴を埋めてくれる日が来るかもしれないな。

 「ははっ、まったく何言ってんだか~」

 俺も二人がいたから今がある、その恩返しの為にも何かあれば助けなくてはな。

 「本当だよ、大事な存在がいると人は強くなれるんだから」

 全く真顔でそんなこと言われたらちゃんと目が見れないぜ。

 「ふふっ、雪ばっかり周平君の気を引こうだなんてずるいわ~」

 杉原が雪を遮り俺を見る。

 「周平君の為に強くなるからね~」
 「ふ、二人とも恥ずかしいぜ……」
 「フフッ、周平君がまた私達に惚れちゃったね~」
 「うん、美里ちゃんあともう少しだね!」

 
 後も少しどころかもう寸前だわ、でもあいつも忘れちゃいけないんだ……

 この二人も特別だが奴はそれ以上だった……だから俺はまだ向き合えずにいる。
 
 「ハハッ、何言ってんだよ~」

 笑ってその場を濁す。
 俺の今の疑似ステータスはこんな感じだ……

 神山周平
レベル40
種族:人間族ヒューム
職業:旅人
攻撃:2500
防御:2500
魔法攻撃:2500
魔法防御:2500
素早さ:2500
魔力:2500
ギフト:戦士適性、魔法適性、身体強化、成長速度アップ
異能:天の糸(AA)
称号:駆け出しの旅人


 一応クラスでナンバーワンに調整している。

 「でもここまで向上したのは周平君のおかげだよ。魔法を放つときに目を瞑って一歩下がるとか至近距離での魔法攻撃時に躊躇するとか魔法を放った直後は視野が極端に狭くなってるとか色々教えてくれたからだよ~」

 月島は言いやすかったのもあるが四人の中では一番指摘をしたからな。

 「そうね、周平君が私たちに色々ご指導してくれたおかげね」
 「ご指導なんてそんな大層なもんじゃないだろ?ただ難癖つけただけだろ」

 木幡の奴には本当に難癖をつけてやったよ。

 「でもその難癖が結果俺達を向上させたのも事実さ」

 俺達3人の会話に横からナチュラルに入り込んできたのは嶋田だ。
 しかもさっきから一緒に会話してたんじゃないかってぐらいに全然違和感がなかったしこれがクラスのリーダーのスキルか……恐ろしい。

 「指摘を受けた時は気に入らなかったが結果神山の洞察力が的確だったわけで少し悔しいがな」

 木幡の上から来る嫌味たらしい発言には思わず苦笑いしてしまう。
 こいつはそもそも素直さが足らないな。
 元々クールなんだろうけど何でも上からかっこよく決めようとしなくてもいいのにと俺以外の奴も思っているに違いない。
 まぁこの容姿にクールな所が女子に大人気なわけだが…

 「みんな強くなってくれて何よりだ、これからも頼むよ」

 一応余分な二人も含めて言っておく、世話になったことには変わりはないからな。

 「こちらこそよろしくね」

 微笑みながら言う月島は天使に違いないな。


 ◇


 百二十五層での休憩を終えた後も問題なく進み百四十四層まで到達した。

 「今日は百五十層までだな。初めてのクラス全員参加の攻略もいい感じに進んでいるな」

 タピットは満足げだ。
 まぁ俺はまだ何にもしてないがな。
 俺もいつの間にかタピットと一緒に前衛にいた、そろそろ前に出ろとのことだ。
 当然タピットやその他の精鋭が俺を護衛しながらだ。

 「そうですね、みんなそろそろバテてくると思いますからね~」

 前を見ると菱田達三人はいち早く先を進んでいるのが見え、小部屋を開けて入っていくのが見えた。

 菱田達三人が小部屋を見つけて入るとそこには宝箱があり、三人は当然宝箱に目がくらみ近づいた。
 間近で見るとその宝箱には髑髏のマークがあった。

 「おっ、宝箱じゃん。ラッキー~」

 大野はその場ではしゃいだ。
 少し大きめの宝箱でおそらくレアなアイテムが入っているではないかと想像を膨らませたのだろう。

 「ちょっと待てって大野。これはいかにも罠って感じだな……」
 「確かに……よく見るとこれは危険かもね」

 秋山ははしゃぐ大野を止めると大野も冷静になる。
 宝箱自体は鍵穴はなく普通に開けられそうな感じである。
 だが刻まれた髑髏の紋章が二人を躊躇させているのだろう。
 遠目で見ているが俺なら普通にスルーだ。

 しかし菱田はそれを見て躊躇するどころかより好奇心にかられているのか宝箱を開ける気でいる。

 「でもこういう宝箱ってその分レアなアイテムの可能性もあるんじゃないか?」
 「隼人君?」
 「考えてもみろ。確かに罠っぽいがここまであからさまというのは逆にこれを開けてレアなアイテムをゲットしろってことなのさ」

 その安易な考えは駄目だろ。

 「さすがは隼人君。そこに気づくとは……」

 いや、止めろよ。

 「だろ、どうせ後ろにたくさんいるんだしここはとりあえずアイテムだけ回収して俺達の物にしようぜ」
 「「了解~」」
 「それによ、この俺がいるんだし開けて魔物がでてきても撃退してやんよ」

 どうせ開けるなら菱田がボコボコになるぐらいの奴がいいかな。

 「隼人君頼もしいな」

 そんな菱田の強気な発言に安心したのか二人は心置きなく宝箱を開けたのだ。
 俺自身も止めることなく三人のやり取りを後ろからそれを見ていた。

 「あれは……」

 だが共に歩いていたタピットがその光景をを見て、開けようとするのを止めようと声をかけ、急いで向かったが一足遅かった。
 タピットの声が三人に聞こえた同時に宝箱を開けたのだ。

 「なんだこの音は?」

 大きな轟音が響くと同時に宝箱から大きな巨人が召喚され3人の目の前に現れたのだ。
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