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4話:脱出へ
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馬車の旅で一日を終えた。早くダルシャーン王国領へ入りたいのがそうすぐに行けるわけではない。
「まずは予定通りこの街についたね」
ついたのはニシンの街だ。ここも連邦軍の兵士がウロチョロしており油断は出来ない感じだ。
「あとどれぐらいでつけそう?」
「そうだね。このペースならあと三日程度で着くと思うよ」
ダルシャーン王国領に入ってしまえば、もう安心だろう。何故そこまでするかと言えばあのシャークの部下、名前はケルべスという名前なのだが容赦がなく、やるなら徹底的にという感じの男だ。流石に顔もよく見えなかった人間をそこまで執拗に追い求める事はしないが、あのままこの街に残っていたら危険だった事は間違いない。
「三日か……早くつければいいけど……」
「焦っているのかい?」
あんな風に強きに立ち向かえるような子が今更怖気づいたか……それとも別の事か……
「そういう訳じゃないんだけどね……」
「他の事かい?」
「ええ……」
「まぁ気が向いたら話してくれ」
無理に聞く必要もないからな。
「うん……そういえば戦闘経験はどれぐらいあるの?」
戦闘経験……まぁそれなりに積んでるけど決して強くはないからな。何ていえばいいだろうか……
「人並だよ。身体能力も高い訳じゃないし」
「そう……」
少し不安気な表情を見せる。まぁこの子よりは強いとは思うけどね。
「そう不安がらなくても大丈夫さ。俺がその分人より優れている能力があるんだ」
「能力?」
そう、これはNW時代にまず俺が習得した能力……それは気配探知だ。俺は遠く離れた場所でも殺気なんかも探知する事が出来る。つまり死なない為の能力を習得をしたのだ。
「例えば今ここで俺達をストーカーしたり、殺気を向けているような人物はいない。これは命を懸けて保証するよ」
俺の気配探知はNWの上位陣相手ですら、何かしらの違和感を感じるぐらいに優れていると自負している。
「成程ね……気配探知スキルはかなり高いという事かしら?」
「ああ、戦闘よりもそっちに極ぶりしているんだ。だから俺は極力戦闘は避けていくけどその方針で大丈夫?」
「そっちの方が嬉しいわ」
宿に向かって歩いていると歩いている人達の声が耳に入る。
「聞いたか?旧トリニ王国のリシェリア王女はまだ見つかってないらしいぜ」
「なんでもミスト連邦が攻めた時点で逃走したらしく、顔なんかもわかっていないらしい」
そう言えば少し前にそういうニュースを聞いたな。トリニ王国は少し前に滅んで、国王も殺されたって話だが、王女や数名の重鎮はまだ見つかってないとかでずっと探してたっけな。
「ぐっ……」
リーファは握り拳に、苦虫を嚙み潰したような顔を見せる。
「どうしたの?」
「な、何でもないわ……ミスト連邦がちょっと……」
まぁ最近は名前売れてるし、侵略戦争ばっかであんまりいいイメージないからな。しかもNWのメンバーが主導とか本当なら面汚しもいいとこだ。リーファも滅びた国の貴族とかの可能性もあるし、それならこんな表情でも納得だ。
「気持ちはわかるけど今は抑えて……目立つと面倒だからね」
「ええ、ごめんなさい……」
◇
宿へと着きお互いに部屋を取った後で俺の部屋にリーファが来る。
「遅くなったわ」
「大丈夫だよ。早速ご飯にしようか」
「ええ、でも本当にお金払わなくていいの?」
「大丈夫だよ。いずれパン売る時手伝ってもらうから」
アイテム袋からいくつかパンをだして差し出す。
「このピザっているのはおすすめだよ。後この卵パン辺りかな」
「フフッ、どれも美味しそうね」
リーファの顔に少し笑みが零れる。昼にパンをあげた時も凄く絶賛してたし、気に入ったのだろう。
「それでリーファは自分の身分を証明出来る者は持ってないよね?」
「ええ……国境を超えるにはそれがネックなのよ」
「前から南方に行く気はあった感じ?」
「ええ」
「だったら早速身分を証明できる物を作って国境を超えよう」
ミスト連邦とダルシャーン王国は現在戦争を行っていないが仲は決して良くはない。友好関係にあった小国をいくつも飲み込んでいる連邦だけに無理はない。ただ大国であるので連邦も侵略には気を使っている。そもそも飲み込んだ小国郡のい反乱分子を抑えていないし、仮に勝つ見込みでの侵略戦争をするならもう数年はかかるだろう。
「どうやって?」
一つは冒険者ギルドだが、連邦の領内における冒険者ギルドの権限を制限した事もあり、ギルドを次々に撤退しているのだ。結果連邦支配下の旧小国郡領ギルドではギルド加入をする事が出来なくなった。というのも征服した国の要人なんかの脱走を防ぐ為である。だが数多くの冒険者が滞在している事もあり、現在はギルド証さえあれば国境を超える事は容易だ。
「ギルドに加入さ」
「それは前も考えたけど不可能では……」
「だと思うよね?」
「えっ……」
身分が証明出来る物がないというのは冒険者や貴族でもなければ珍しい事ではない。国を抜けたきゃ役所に行き、理由を話して許可を貰う事も不可能ではないが時間もかかる。彼女は口ぶりからしてそれが出来ない身分……つまりそれは彼女が尋ね人である可能性は高い。
「まぁそこは俺に任せて」
久しぶりのギルドだが、今でも使えるはずだ。あの裏技を……
「まずは予定通りこの街についたね」
ついたのはニシンの街だ。ここも連邦軍の兵士がウロチョロしており油断は出来ない感じだ。
「あとどれぐらいでつけそう?」
「そうだね。このペースならあと三日程度で着くと思うよ」
ダルシャーン王国領に入ってしまえば、もう安心だろう。何故そこまでするかと言えばあのシャークの部下、名前はケルべスという名前なのだが容赦がなく、やるなら徹底的にという感じの男だ。流石に顔もよく見えなかった人間をそこまで執拗に追い求める事はしないが、あのままこの街に残っていたら危険だった事は間違いない。
「三日か……早くつければいいけど……」
「焦っているのかい?」
あんな風に強きに立ち向かえるような子が今更怖気づいたか……それとも別の事か……
「そういう訳じゃないんだけどね……」
「他の事かい?」
「ええ……」
「まぁ気が向いたら話してくれ」
無理に聞く必要もないからな。
「うん……そういえば戦闘経験はどれぐらいあるの?」
戦闘経験……まぁそれなりに積んでるけど決して強くはないからな。何ていえばいいだろうか……
「人並だよ。身体能力も高い訳じゃないし」
「そう……」
少し不安気な表情を見せる。まぁこの子よりは強いとは思うけどね。
「そう不安がらなくても大丈夫さ。俺がその分人より優れている能力があるんだ」
「能力?」
そう、これはNW時代にまず俺が習得した能力……それは気配探知だ。俺は遠く離れた場所でも殺気なんかも探知する事が出来る。つまり死なない為の能力を習得をしたのだ。
「例えば今ここで俺達をストーカーしたり、殺気を向けているような人物はいない。これは命を懸けて保証するよ」
俺の気配探知はNWの上位陣相手ですら、何かしらの違和感を感じるぐらいに優れていると自負している。
「成程ね……気配探知スキルはかなり高いという事かしら?」
「ああ、戦闘よりもそっちに極ぶりしているんだ。だから俺は極力戦闘は避けていくけどその方針で大丈夫?」
「そっちの方が嬉しいわ」
宿に向かって歩いていると歩いている人達の声が耳に入る。
「聞いたか?旧トリニ王国のリシェリア王女はまだ見つかってないらしいぜ」
「なんでもミスト連邦が攻めた時点で逃走したらしく、顔なんかもわかっていないらしい」
そう言えば少し前にそういうニュースを聞いたな。トリニ王国は少し前に滅んで、国王も殺されたって話だが、王女や数名の重鎮はまだ見つかってないとかでずっと探してたっけな。
「ぐっ……」
リーファは握り拳に、苦虫を嚙み潰したような顔を見せる。
「どうしたの?」
「な、何でもないわ……ミスト連邦がちょっと……」
まぁ最近は名前売れてるし、侵略戦争ばっかであんまりいいイメージないからな。しかもNWのメンバーが主導とか本当なら面汚しもいいとこだ。リーファも滅びた国の貴族とかの可能性もあるし、それならこんな表情でも納得だ。
「気持ちはわかるけど今は抑えて……目立つと面倒だからね」
「ええ、ごめんなさい……」
◇
宿へと着きお互いに部屋を取った後で俺の部屋にリーファが来る。
「遅くなったわ」
「大丈夫だよ。早速ご飯にしようか」
「ええ、でも本当にお金払わなくていいの?」
「大丈夫だよ。いずれパン売る時手伝ってもらうから」
アイテム袋からいくつかパンをだして差し出す。
「このピザっているのはおすすめだよ。後この卵パン辺りかな」
「フフッ、どれも美味しそうね」
リーファの顔に少し笑みが零れる。昼にパンをあげた時も凄く絶賛してたし、気に入ったのだろう。
「それでリーファは自分の身分を証明出来る者は持ってないよね?」
「ええ……国境を超えるにはそれがネックなのよ」
「前から南方に行く気はあった感じ?」
「ええ」
「だったら早速身分を証明できる物を作って国境を超えよう」
ミスト連邦とダルシャーン王国は現在戦争を行っていないが仲は決して良くはない。友好関係にあった小国をいくつも飲み込んでいる連邦だけに無理はない。ただ大国であるので連邦も侵略には気を使っている。そもそも飲み込んだ小国郡のい反乱分子を抑えていないし、仮に勝つ見込みでの侵略戦争をするならもう数年はかかるだろう。
「どうやって?」
一つは冒険者ギルドだが、連邦の領内における冒険者ギルドの権限を制限した事もあり、ギルドを次々に撤退しているのだ。結果連邦支配下の旧小国郡領ギルドではギルド加入をする事が出来なくなった。というのも征服した国の要人なんかの脱走を防ぐ為である。だが数多くの冒険者が滞在している事もあり、現在はギルド証さえあれば国境を超える事は容易だ。
「ギルドに加入さ」
「それは前も考えたけど不可能では……」
「だと思うよね?」
「えっ……」
身分が証明出来る物がないというのは冒険者や貴族でもなければ珍しい事ではない。国を抜けたきゃ役所に行き、理由を話して許可を貰う事も不可能ではないが時間もかかる。彼女は口ぶりからしてそれが出来ない身分……つまりそれは彼女が尋ね人である可能性は高い。
「まぁそこは俺に任せて」
久しぶりのギルドだが、今でも使えるはずだ。あの裏技を……
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