3 / 5
3話:旅立ち
しおりを挟む
次の日の早朝、打ち合わせ通り早速早く宿を出る。出るなら目立たない方がいいからだ。
「それでここから何処に?」
「そうだね。一度南方に下ろうか。あいつはいずれ北へ戻るはずだ。だから南に向かえば会う事はないはずだ」
飲みながら帰還命令が出されたら面倒だなんて大きな声で騒いでいたのを聞いていたからな。
「わかったわ」
早朝にでている馬車に早速乗り南方の街へと向かった。
「どこまで同行してくれるつもり?」
「俺の指定した場所に行くのも嫌だと思うし、そっちの指定が好ましいかな。だけど近すぎる街はNGで」
「なら……ダルシャーン王国領コウジャの街でいいかしら?」
「ああ、問題ないよ」
あそこまで行って暫くこっちに戻って来なければ大丈夫だろう。夜で少し薄暗かったし、あいつ酔っていたからな。二週間もすれば忘れるはずだ。
「そういえば昨日聞いてなかったけど仲間はいないのかい?」
するとリーファの表情は暗い。昔何かあったのだろうか。
「今はいないわ……」
「そうか……あてはあるのか?」
リーファは答えない。孤独の美少女ってのも何とも美しく映るものだ。NWにはそれでいて凛としてて強い人が何人もいたな。世話になった方は何人もいるし元気にしているといいがな。
「まぁあてのない旅も悪くはないよ」
「別にあてがないわけじゃ……ただ探しているよ……」
「男かい?」
「残念だけどそっちは疎いの。でも憧れた人は何人もいたわ」
「初恋かい?」
「フッ、そんなところね。そういうあなたはずっと一人?」
少し笑みが零れたな。やはり可愛い子は笑った方がより可愛い。
「三年前から一人で放浪の旅をしているんだ。それまでは仲間がいたけどね」
仲間というより先生や先輩という方が適切だろうな。あの人達から俺は色々教わった。そして真の化け物というのを知った。懐かしい話だ。俺がそもそもあそかにいた事自体おかしな話だからな。
「その仲間とは?」
「三年間誰も会ってないよ。たまに思い出すとまた会ってみたいななんて思うけどね」
伝説の五十人……大半がこの世界から去った今、次会うのは当分先だろう。一応死ねば向こうに行けるけどそんな気はさらさらない。初めからこの世界に未練がなきゃ俺もあの人達にすぐについていったからな。ちなみに死後の世界というわけではない。
「そう……また会えるといいわね」
「いつかは会えるさ。でも今回リーファと一緒にいるのは凄く新鮮だよ。こうして誰かと話して旅するのは久しぶりでさ」
「そうなんだ。ならせめてものお礼になったかしら?」
「そうだね。別に俺は謝礼なんか請求しないけどこうして話してくれたのを謝礼として受け取っておくよ」
それから話せる範囲でお互いの話をした。お互いに隠してるのは見え見えだけどそれを前提としてだ。気付くと昼も過ぎておりお腹の音が鳴る。
「そういえばお腹減ったわね……」
リーファもお腹を空かしたらしくお腹の音が鳴る。
「それじゃあ外のこの殺風景な荒野を移動するのを見ながら昼食かな」
「あっ、私買い忘れて……」
俺はアイテム袋からパン二種類と飲み物を渡す。NW時代に渡された超優れモノで個人使用&内部の時間停止と容量を特大という最高峰の物だ。
「どうぞ」
「でも……」
リーファはお金を払おうとする。勿論取る気はない。
「俺の奢りでいいさ」
「それじゃあいくら何でも……」
「あんまりお金も使えんだろう?」
「いや……」
何か躊躇しているな。毒でも入っているとでも思っているのだろうか。
「安心して、毒なんざ入ってないしさ」
「いやそういう事じゃなくて……この謝礼をいつ返せるかが……」
身なりと言い言動と言いお上品な貴族の令嬢と言った所だ。だがこの発言からして没落したのだろうか。
「んじゃこれ食べながら暇つぶしにでも付き合ってよ。俺一人だけ食べて食べさせないとか最低じゃん」
それを聞いたリーファは頭を下げて俺からパンと食べ物を受け取った。
「お、美味しい!」
「なら良かったよ」
「これはどこで?」
NW時代にさんざん料理作るの手伝わされたからな。パンに色んな具をのせて焼くのは覚えたのだ。
「俺が自分で焼いたんだ」
「自分で?」
「ああ、結構いい出来でしょ?」
「ええ……とても美味しいわ」
「一緒にいるまでは飯代はだすよ。無理やり付き合わせているのもあるからね」
「それは流石に……」
見たところただの箱入り娘というだけではない。それなりに鍛えている感じだが命を懸けた戦いに慣れているタイプでもなさそうだ。冒険者ギルドでも進めるか。
「気にしなくてもいいよ。これでもパン売ったりしてそれなりの貯蓄はあるんだ」
改めてNW時代に得た遺産は偉大である。金使いが荒いわけでもないし一応収支はプラスになるように生活していたからな。
「今あなたを護衛にするお金があれば雇ったかもしれないわね」
「ハハッ、宛のない旅だし、よきゃ付き合うよ。久しぶりにこうして喋るのも楽しくてね」
「あなたという人間は良くわからないわ」
「彷徨ってる感じだからかもね」
この三年ただ自分という何かを追い求める旅だったからな。あの時あいつと色々なければ今頃また違う未来があったに違いない。
「私も今心細いし仲間と合流するまでは一緒にどうかしら……」
少し言いにくそうだに言う。だがそれも悪くない……大して強くはないがちょっとした護衛ぐらいは出来るだろう。
「まぁあいつが完全に来ない事を確認したいし付き合おうか」
こうして数年ぶりにの孤独の旅は思わぬところで終わりを告げたんだ。
「それでここから何処に?」
「そうだね。一度南方に下ろうか。あいつはいずれ北へ戻るはずだ。だから南に向かえば会う事はないはずだ」
飲みながら帰還命令が出されたら面倒だなんて大きな声で騒いでいたのを聞いていたからな。
「わかったわ」
早朝にでている馬車に早速乗り南方の街へと向かった。
「どこまで同行してくれるつもり?」
「俺の指定した場所に行くのも嫌だと思うし、そっちの指定が好ましいかな。だけど近すぎる街はNGで」
「なら……ダルシャーン王国領コウジャの街でいいかしら?」
「ああ、問題ないよ」
あそこまで行って暫くこっちに戻って来なければ大丈夫だろう。夜で少し薄暗かったし、あいつ酔っていたからな。二週間もすれば忘れるはずだ。
「そういえば昨日聞いてなかったけど仲間はいないのかい?」
するとリーファの表情は暗い。昔何かあったのだろうか。
「今はいないわ……」
「そうか……あてはあるのか?」
リーファは答えない。孤独の美少女ってのも何とも美しく映るものだ。NWにはそれでいて凛としてて強い人が何人もいたな。世話になった方は何人もいるし元気にしているといいがな。
「まぁあてのない旅も悪くはないよ」
「別にあてがないわけじゃ……ただ探しているよ……」
「男かい?」
「残念だけどそっちは疎いの。でも憧れた人は何人もいたわ」
「初恋かい?」
「フッ、そんなところね。そういうあなたはずっと一人?」
少し笑みが零れたな。やはり可愛い子は笑った方がより可愛い。
「三年前から一人で放浪の旅をしているんだ。それまでは仲間がいたけどね」
仲間というより先生や先輩という方が適切だろうな。あの人達から俺は色々教わった。そして真の化け物というのを知った。懐かしい話だ。俺がそもそもあそかにいた事自体おかしな話だからな。
「その仲間とは?」
「三年間誰も会ってないよ。たまに思い出すとまた会ってみたいななんて思うけどね」
伝説の五十人……大半がこの世界から去った今、次会うのは当分先だろう。一応死ねば向こうに行けるけどそんな気はさらさらない。初めからこの世界に未練がなきゃ俺もあの人達にすぐについていったからな。ちなみに死後の世界というわけではない。
「そう……また会えるといいわね」
「いつかは会えるさ。でも今回リーファと一緒にいるのは凄く新鮮だよ。こうして誰かと話して旅するのは久しぶりでさ」
「そうなんだ。ならせめてものお礼になったかしら?」
「そうだね。別に俺は謝礼なんか請求しないけどこうして話してくれたのを謝礼として受け取っておくよ」
それから話せる範囲でお互いの話をした。お互いに隠してるのは見え見えだけどそれを前提としてだ。気付くと昼も過ぎておりお腹の音が鳴る。
「そういえばお腹減ったわね……」
リーファもお腹を空かしたらしくお腹の音が鳴る。
「それじゃあ外のこの殺風景な荒野を移動するのを見ながら昼食かな」
「あっ、私買い忘れて……」
俺はアイテム袋からパン二種類と飲み物を渡す。NW時代に渡された超優れモノで個人使用&内部の時間停止と容量を特大という最高峰の物だ。
「どうぞ」
「でも……」
リーファはお金を払おうとする。勿論取る気はない。
「俺の奢りでいいさ」
「それじゃあいくら何でも……」
「あんまりお金も使えんだろう?」
「いや……」
何か躊躇しているな。毒でも入っているとでも思っているのだろうか。
「安心して、毒なんざ入ってないしさ」
「いやそういう事じゃなくて……この謝礼をいつ返せるかが……」
身なりと言い言動と言いお上品な貴族の令嬢と言った所だ。だがこの発言からして没落したのだろうか。
「んじゃこれ食べながら暇つぶしにでも付き合ってよ。俺一人だけ食べて食べさせないとか最低じゃん」
それを聞いたリーファは頭を下げて俺からパンと食べ物を受け取った。
「お、美味しい!」
「なら良かったよ」
「これはどこで?」
NW時代にさんざん料理作るの手伝わされたからな。パンに色んな具をのせて焼くのは覚えたのだ。
「俺が自分で焼いたんだ」
「自分で?」
「ああ、結構いい出来でしょ?」
「ええ……とても美味しいわ」
「一緒にいるまでは飯代はだすよ。無理やり付き合わせているのもあるからね」
「それは流石に……」
見たところただの箱入り娘というだけではない。それなりに鍛えている感じだが命を懸けた戦いに慣れているタイプでもなさそうだ。冒険者ギルドでも進めるか。
「気にしなくてもいいよ。これでもパン売ったりしてそれなりの貯蓄はあるんだ」
改めてNW時代に得た遺産は偉大である。金使いが荒いわけでもないし一応収支はプラスになるように生活していたからな。
「今あなたを護衛にするお金があれば雇ったかもしれないわね」
「ハハッ、宛のない旅だし、よきゃ付き合うよ。久しぶりにこうして喋るのも楽しくてね」
「あなたという人間は良くわからないわ」
「彷徨ってる感じだからかもね」
この三年ただ自分という何かを追い求める旅だったからな。あの時あいつと色々なければ今頃また違う未来があったに違いない。
「私も今心細いし仲間と合流するまでは一緒にどうかしら……」
少し言いにくそうだに言う。だがそれも悪くない……大して強くはないがちょっとした護衛ぐらいは出来るだろう。
「まぁあいつが完全に来ない事を確認したいし付き合おうか」
こうして数年ぶりにの孤独の旅は思わぬところで終わりを告げたんだ。
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
転生しても山あり谷あり!
tukisirokou
ファンタジー
「転生前も山あり谷ありの人生だったのに転生しても山あり谷ありの人生なんて!!」
兎にも角にも今世は
“おばあちゃんになったら縁側で日向ぼっこしながら猫とたわむる!”
を最終目標に主人公が行く先々の困難を負けずに頑張る物語・・・?
骸骨殿下の婚約者
白乃いちじく
ファンタジー
私が彼に会ったのは、九才の時。雨の降る町中だった。
魔術師の家系に生まれて、魔力を持たない私はいらない子として、家族として扱われたことは一度もない。
――ね、君、僕の助手になる気ある?
彼はそう言って、私に家と食事を与えてくれた。
この時の私はまだ知らない。
骸骨の姿をしたこの魔術師が、この国の王太子、稀代の魔術師と言われるその人だったとは。
***各章ごとに話は完結しています。お気軽にどうぞ♪***
World End
nao
ファンタジー
法術という異能によって成り立った世界で、無能力者の少年ジンは狂った神が人間の魂に刻み込んだ魔物化の呪いによって姉や友人、彼を包んでいた世界の全てを失う。
失意のドン底にあった彼は善神と自称する神ラグナから世界の真実を伝えられる。彼は狂った神への復讐を誓い、ラグナの庇護の下で力を蓄えて狂神を打倒するために力を蓄える。やがて新たな旅に出た彼は仲間と出会い、そして運命の出会いを遂げる。
大切な仲間達と出会い、別れ、人間世界に仇なす者となっても彼は旅を続ける。強大な力の前に、数多くの仲間を失い、傷つきながらも最後まで戦い抜いた末に彼が辿り着いたのは世界の終焉と安息だった。
これは人々から怨まれ、多くを失いながらも最後まで戦い続けた男の物語である。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
勇者召喚に巻き込まれたけれど、勇者じゃなかったアラサーおじさん。暗殺者(アサシン)が見ただけでドン引きするような回復魔法の使い手になっていた
はらくろ
ファンタジー
早乙女 辰馬、31歳独身、土日祭日しっかり休めるホワイトなサラリーマン。
バスで最寄り駅まで十五分、途中、美形な少年と可愛らしい双子の少女の幼馴染みみたいなリア充三人組の学生と毎日エンカウント。
その度に『リア充爆発しろ』と優しく呪う。
事故みたいな衝撃を受けた後、それが『勇者召喚』だと知ったけど、俺はただ『巻き込まれた』だけで勇者でもなんでもなかった。
持っていた魔法が、空間魔法(アイテムボックスみたいなやつ)と、回復魔法、これはワンチャン逆転あるかと尋ねたところ、別に珍しくないと苦笑された。
空間魔法があるなら仕事があるからと、冒険者ギルドに行くように言われ、俺だけ口止め料のようなお金を少々もらって城下町へ。
異世界デビューでせめて、幸せな家庭を作れたらとリア充目指して、安定した生活を手に入れようと、思ってたんだけどね……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる