元勇者で神に近い存在になった男、勇者パーティに混じって魔王討伐参加してたら追い出されました。

明石 清志郎

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6話:旅立ち

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 次の日の朝になり目を覚ます。二人が泊まっている宿に一緒に泊まることにした。パーティを組んでいるわけだし一緒に行動をしようと決めたからだ。

 「おはよう~」
 「おはようございます~」
 「おはよう」

 宿と直結している食堂で顔を合わせ、ニッコリ笑顔で挨拶を交わす。やっぱり朝から元気よくだな。

 「それで今日はどうする?」
 「そうね……ここら辺でる魔物だとあんまり強いのは出ないから他の街への移動がいいかなってミーナと考えてたんだけどどう思う?」
 「ありだと思う。ただ勇者たちはこっから北に向かったはずだから、そっち方面じゃなければありがたい」

 流石に勇者と鉢合わせするのは嫌だからな~折角新しく出来た仲間と楽しくやろうとしているのに、水を差されたらたまらないからな。

 「わかったわ!私達昔から妖精達の住むミステア大陸に行きたかったんだけど、どうかしら?」
 「それは歓迎だよ。それじゃあここから西に向かう感じかな」
 「はい!それじゃあ決まりですね~」

 ミーナはご機嫌の様子だ。可愛いし俺を慕ってくれる。前みたく掌返しされたら今度こそ人間不信になるが、ミーナの性格考えてそれはないと信じたい。

 「それでどうやっていくかなんだけど……」

 シーラが言いにくそうな顔を見せる。

 「どうしたんだい?」
 「馬車で行きたいんだけど……そんなお金が……」
 「私達って回復魔導士がいないから、武器や回復薬ばっかり余分に買ってたからあんまり貯金がないんです……」

 ミーナは悲しそうな顔を見せる。確かに光の精霊の加護を受けた回復役は、人間族では珍しい部類で貴重な存在だ。回復役ってだけでギルドじゃ需要が凄いらしいからな。

 「てことは今まで歩きでここまで来たのか?」
 「まぁ色々ね。近いときは歩いたし、行商人の護衛代わりに乗せてもらったりかしら」
 「なるほど~」

 この街のカジノでも能力使って暴れてもいいんだけど、それだと少し卑怯だよな。

 「陣さん馬車なんて都合のいい物持ってませよね?」
 「今はないな……だがお金の方の蓄えはある程度あるし馬車を買うか?」

 馬車ってかなり高いから、蓄えの八割ぐらいなくなるけど、今後の為を考えれば必要な出費だな。あいつらと別れる時馬車もしっかりくすねておけば良かったと今更ながら後悔だ。

 「いいの!?」
 「ああ、どうせ買わないといけないだろうし」
 「でも……何から何までジンさんに頼るのは……」

 ニーナは申し訳なさそうな顔でこちらを見る。あいつらにもこれぐらいの可愛げがあれば良かったんだがな~

 「大丈夫だよ。もうパーティを組んだわけだし、移動には必要だからな~」

 馬車を買う為にお店へと向かった。

 「というわけだ、これぐらいの予算で六人乗りぐらいまでいけそうなのが希望だ」
 「それでしたらこれでどうでしょうか?」

 出されたのは俺サイズでマックス六人乗りの、屋根付きのやつを出された。

 「その予算で大きい馬を一頭だとこれが一番無難かと思います」
 「了解、それじゃあこれで頼む」

 金貨三百枚を差し出し購入したのだが、二人はその金貨を目の前に、まじまじと見ており、そんな大金見るのが初めてのようで、驚いている様子だ。

 「いつかは二人もこれぐらいのお金を得れる日が来るから大丈夫だよ」
 「流石にそのビジョンは見えてこないわよ……」
 「私達が持っていたのは最大で金貨十枚ぐらいですし、それ稼ぐのにも凄く苦労したんです……金貨三百枚なんて……」

 まぁ勇者共もこんなに金は持っていない。これは昔立ち寄った街で、凄いイラつくことがあって、ついカジノで裏操作して大量ゲットしたその残りだ。
 
 「ハハッ、二人とも素質があるから大丈夫。それじゃあ行こうか~」

 ラシットの街を出て、ミステア大陸を目指すべき西へと向かった。

 
 ◇


 街を出てリーゼン平原からバーズ大森林へと向かう。その森が隣接するエリンギ王国との国境になっており、その手前の村が関所となっている。

 「エリンギ王国入りは冒険者ギルドのメンバーであれば出来るの?」
 「ええ、冒険者ギルドに加入していれば基本的には問題ないはずよ~」
 「へぇ~なら問題ないか」
 「何かあるの?」
 「いや、これでも元勇者だしさ~早いとこ国境を越えたいなって……」

 一応俺の顔を知っている者もいるし、まだ脱退はバレてないだろうから問題になる前にこの国を離れたいというのが本音だ。

 「成程ね……それなら暫くはリレイルに戻らない方がいいわね」
 「申し訳ない……」
 「気にしなくていいわ」
 「そうです!私達パーティですから!一緒に頑張りましょう!」

 シーラもだけどこんな可愛い二人とパーティ組めるのは本当に運が良かったな。捨てる神あれば拾う神ありとはこの事だ。あっ、一応この世界の神より、権限も力も上だったっけ。

 「ありがとう。二人とパーティを組めて嬉しいよ」
 「フフッ、私もです!これから色々教えてください」

 顔を赤くして可愛いな。

 「というかジンは馬も操れたわけ?」
 「ああ、一応ね。さっきから動かしているし今更だよ」

 勇者はみんな叩き込まれているからな。これに関してはリレイル王国に感謝をするところだ。

 「いや、そうなんだけど何でも出来るし何か弱点とかないの?」
 「ハハッ、まぁ女の子には弱いよ。実際万引きとかされた時男だったら容赦なく魔弾を放つけど、女性だと気が引けて逃がしちゃうかも」

 やっぱり美少女とかだと顔に当たって、怪我でもしたらどうしようなんてなっちゃうからな。二十柱の先輩方にそれを話したら大半はその気持ちはわかると同意してくれたものだ。

 「ムッ、駄目ですよジンさん!悪い事したらしっかり捕まえないと!」
 「ミーナの言う通りよ。女性が弱点となるとあんまりジンを放ってはおけないわね~」
 「そうだねシーラ。ジンさんが変な女について行ったら大変だし」

 女性が弱点ってだけで何でそこまで発展するんだ……流石に色目使われてホイホイいくのは大いなる二十柱としての矜持があるからな。先輩に凄い女性にダメダメなのが一人いたけどあれぐらい駄目だと、逆に色んな意味で尊敬できてしまう。

 「ハハッ、二人のような美少女を差し置いてそんなことはしないよ」
 「び、美少女?」
 「ふぇっ、私達がですか?」
 「ああ、だからほいほい他の女のとこには……ってあれ?」

 後ろを見ると二人して顔を赤らめている。

 「美少女……うんジンから見たら私は美少女……」
 「ジンさんが私のこと美少女だって……」

 何やら二人してブツブツと何かを言っているようだ。二人とも十七歳で可愛さも備えつつも大人っぽくなってきた感じだ。もう数年したらもっと綺麗になること間違いない。

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