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◇その涙は嘘じゃない◇
しおりを挟む只今、元凶のお城に戻って参りました。私含め総勢16名の異世界人が、城の離れに勢揃いしてます。皆さんお弁当をがっついて居ます。冷凍みかんもバカ売れしてます。この世界にはお米は有るらしい。しかしご飯を炊くと言う概念が無いそう。茹でて食べるそう。主食は丸いパンもどき。確かに日本人なら白いおまんまが食べたい。ほか弁でもがっつきなくなるよね。皆さん気のすむまで食べて下さいよ。デザートも有りますよ?
皆さん満腹になった所で、先ずは念入りに話し合い。何て思ってたら、お腹いっぱいで居眠り者続出。しまった!程々にすべきだったよ。仕方無いので、取り敢えず皆さんにはお昼寝してもらう。私とカズ君は転移で湖畔へ。ログハウスを出し、皆が寛げる位のスペースに拡張する。食物や飲み物。生活用品もセット。転移を繰り返し、起きた人から連れてきた。皆が揃った所で仕切り直し。
神から聞いた事。元の世界に戻る為に必要な事。皆真剣に聞いて居る。皆の心配は、やはり戻った時の事。自分の居る場所は有るのか?長く此方に居た人こそ心配が募る。その点は1度彼方へ行き、戻って来たカズ君が皆を安心させてくれた。ゲートを潜ると、此方へ引きずり込まれた時に居た場所、もと居た時間の約数分後に戻る。転移では無く、自分も含めて時を戻す形の様だ。つまり戻れば、召還される以前と同様に生活出きる訳だ。時間軸は皆同じ西暦の日本。最高5才程若返る訳だが、会う事も可能。もし、元の場所には戻りたくない。他の人と一緒に居たい等の場合は、手を繋ぐ等の接触で可能。そして私達4人は戻らない。その点も伝えた。
するとここで1つ問題が発生する。此方に残りたいと言う人が出た。しかし残って此方で生活出きるのか?今回戻らなければ、2度と戻れない。私達はゲートを破壊する。2度と私達の様な人を生みたくない!それでも残るのか?この説得により、私達4人以外は全て帰還する事となった。
皆も何か手伝いたいと言ってくれた。しかし後は鍵奪取のみ。少人数の方が決行し易い。皆に伝える。早ければ明日にはゲートを開ける。ゲートに近付く程に邪魔が入るだろう。戦いになるかもしれない。帰還してからの事もふまえ、今晩はゆっくりし鋭気を養って欲しい。その言葉に真皆真剣に首肯く。温泉は良い風呂だよ?指で4・1・2・6(よ・い・ふ・ろ)とゼスチャーしながら、ちょっとお茶目に言ってみた。皆の緊張も幾分和らいだ様だ。緊張でガチガチでは困るからね。
皆に説明後、4人で王妃様の私室に転移した。王妃様は涙を流しながら謝罪し、戻らない決心をした私に赦しを乞うた。そして全ての異世界人の皆にごめんなさいと更なる涙を流す。その涙は嘘じゃない。でも私は王妃様を赦すとは言えなかった。王妃様は悪くない。頭では理解はしているが、声には出せなかった。私は王妃様の涙に一言、有り難うと伝えた。王妃様から、王太子、姫の鍵を含め、3本の鍵を受けとる。そしてお守りにと、魔道具で有るブレスレットを私とナミさんの腕に嵌めてくれた。王の鍵は今晩中に何とかしてくれるそうだ。私達はそのまま、双子王子の鍵奪取に向かう。ナミさんとリキ君はそのまま、王弟(宰相)の鍵奪取に向かっていった。
*****
只今、お城の中庭の東屋に潜伏中だよ。双子王子は今日は、城下町の視察に言ってるらしい。まあ視察にかこつけた遊びだよね。この東屋は、城門から入ると良く見える。今回私が囮になる。カズ君は反対したが、双子を誘き出すにはやはりこれが1番確実だ。私がわざと捕まり、そこにカズ君が乱入。王子達は多分私を監禁するだろう。そこを抑えて、逆に監禁しちゃう訳だ。そしてパンツゲッツ。
王妃様から貰った国宝だと言う、防御リングを嵌める。ブレスレット型の魔道具だ。効力は、結界・無効・通信。この3つの魔法の呪文が込められている。結界は自身の周囲に簡易結界を張る。この結界は、物理&魔法の攻撃等、害を与えようとする物を弾く。無効は既に与えられた害意をキャンセルする。毒や媚薬等の薬効の除去。簡単なキズ等の治癒。自身に届く前なら、魔法さえ無効化出きるそうだ。そして通信。ブレス同士は共鳴する。ナミさんとは勿論、ブレスに魔力を込めた者とも話せる。込めた人数分可能。私達のブレスには、王妃様に姫様、そして王太子も込めてくれていた。しかしかなりの空きが有った為、残りはカズ君が充填している。つまり5人と通信可能で有る。
王妃様は、王様の鍵をゲットしたら、ブレスで連絡をくれるそうだ。
《カズ君?これが有るから大丈夫だよ?気を付けるけど、もしもの時はカズ君を真っ先に呼ぶよ。絶対に助けてくれるって信じてるよ。カズ君がアイツらに負ける筈無いじゃん。》
ちょっと煽て気味に微笑みながら言ってみる。
〈当たり前だろ?でもお前だって負けないよな。そのブレスで無双しちゃうんじゃね?俺の出る幕無さそうだな。〉
《え~。そこは任せとけって言うシーンだよ。それに王子達のパンツ剥がすの嫌だよ。絶対に助けに来てよねっ!》
〈突入したら、嬉々としてパンツ剥いてるとか無しだぜ。まあ兎に角、しおらしく捕まっとけよ?助けに入るまで余計な事するなよ?ブレス有るから貞操は守れるだろ?〉
《幾らなんでもそんな事しないよ!捕まったら、直ぐに結界張っとくよ。ナミさん達の方も心配だよ。皆に迷惑かけない様に、絶対に大人しく捕まってるよ。》
*****
〈マリー聞こえる?王弟捕獲したわよ。ただ暴れて大変なのよ。カズ君ちょっと来れるかしら?魔法で黙らせてくれると助かるんだけど。リキが気絶させてくれたんだけど、起きちゃって煩いのよ。みのむしみたいにぐるぐる巻きにしてるのに、良くこれだけ動けるわよね?〉
確かに何か転がると言うか蠢く音が響いてるよ。
《カズ君行ける?》
〈ああ行って来る。取り敢えず大人しくさせて、直ぐに戻って来る。王子達捕獲したら、一緒に監禁すれば良いよな。俺が戻るまで、マリーは絶対に無茶するなよ。もし王子達に捕まったら、大人しくしてるんだぞ?もしもの時は必ず呼べよ。〉
《了解~。ナミさん達、警備とかに見つかったら不味いよ。早く行って大人しくさせて来なよ。そっちこそ気を付けてよ?》
〈ああ、じゃあ行って来る。〉
カズ君行ったね。瞬間移動便利だね。私も魔法使いたかったな。何て考えてたら、王子達が戻って来たよっ!さあ囮作戦決行だよ!
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11/22連載開始。12/15日完結。6話よりH描写入ってます。お読み戴き有り難うございました。
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